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安倍政権は犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の成立を目指し、既に国会で審議が始まっている。
「テロ等準備罪」はテロ組織等の「組織的犯罪集団」が重大な犯罪を計画・合意し、犯罪の準備行為を行った段階で処罰の対象とすることを可能とする、いわば計画した重大犯罪の実行以前に処罰の対象とすることを可能とする犯罪となっているゆえに犯罪の実行前に捜査対象とし、あるいは立件するためには監視なくしてそのような段階に進むことは不可能で、広範囲で徹底的な監視を絶対要件とする監視至上主義を前提とせざるを得ないとこれまでブログに書いてきた。
監視方法は固定電話の盗聴、室内に仕掛けた盗聴器からの会話の盗聴、盗撮、携帯電話の通話記録の閲覧、そして犯罪メンバーと覚しき人物への直接の接触は危険だから、そのような人物が私用で接触する民間人への聞き取り捜査、張り込み等が考えられる。
ところがCIAのスノーデン元職員が2013年にアメリカのNSA(国家安全保障局)から持ち出した機密文書のうち13のファイルをアメリカのネットメディア「インターセプト」が日本時間4月24日夕方6時頃からネット上で公開を始め、その中にNSAが「XKEYSCORE」というネット上の電子メールや通話記録などを収集・検索できるとされる監視システムを日本側に提供したとする記述があることを2017年4月24日付け《NHK NEWS WEB》が伝えていた。
もしこのことが事実だとすると、組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画・合意し、犯罪の準備行為を行うという、犯罪実行前の段階で「テロ等準備罪」名目で取締り・立件して処罰の対象とするためには絶対的要件としなければならない監視の方法は上記挙げた以外にネットで遣り取りする電子メールや通話記録等の収集を最強の武器として後ろ盾としていた可能性は否定できないことになる。
尤もこの報道によってそれが事実如何に関わらずテロ等の組織犯罪集団を立ち上げている、あるいは立ち上げようとしているメンバーたちは報道を学習してネットを使った通信を行わないことになるだろうから、監視は容易ではないことになる。
だとしても、取締り側は如何なる監視も排除することはできない。監視なくして犯罪実行前のその事実の感知は不可能であることに変わりはないからだ。
いや、このこと以前の問題として既に監視社会は始まっているのかもしれない。ネット上の通信だけではなく、ブログ等での反政府の言論を収集、その人物が何らかの集団メンバーであったり、メンバーとなった場合は組織的犯罪集団と目した監視対象とするといったことを開始しているのかもしれない。
ブログサービス会社がそのことに協力して反政府言論を集めている可能性も否定できない。
安倍晋三なら、遣りかねない印象が強い。
上記記事は防衛省のこの報道に対する発言を伝えている。
防衛省「問い合わせのあった未公開文書がどのような性格の文書であるか承知していないため、防衛省としてコメントすることは差し控えます」
先ずそのような事実はないと否定しなかった。
報道が事実だとしても、ネット上の通信を傍受していたと肯定することはない。
通信傍受にしても盗聴にしても、全ては秘密裏の監視としなければ、監視の用をなさないことになる。特に犯罪実行前の犯罪の合意と計画の段階で取り締まるためには監視は絶対的な秘密と確実性を守らなければならない。
そしてそのような監視はそれが組織的犯罪集団だと特定するためには組織的犯罪集団かどうか分からない段階から始めなければならないために勢い集団と呼ぶことができる集団の多くを監視対象とせざるを得なくなる。
いわば監視至上主義に立った監視社会が出現することになる。