2017年3月28日の参議院決算委員会で大門実紀史共産党議員が入手した森友学園理事長籠池泰典が首相夫人としての安倍昭恵付きだった経産省出向の谷査恵子宛に送った書面を基に安倍晋三を追及したと2017年3月28日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。
大門実紀史共産党議員「主な内容は『早く買い取れないか』などといった要望だ。およそ半年ぐらい後には実現したことになり、満額回答ではないか」
対して安倍晋三は満額回答を否定、ゼロ回答とした。
安倍晋三「妻が小学校の名誉校長を務めていたことなどが、行政機関に忖度を働かせたことは全くないわけで、そのような決めつけは、日本の行政機関そのものを貶めるものではないか」
要するに日本の行政機関は首相や首相夫人の意向を忖度して、先回りしてその意向の実現を図ることはないし、首相はもとより閣僚や他の有力政治家の口利きを一切受け付けない絶対正義の存在だと位置づけて、そのような絶対正義の存在である日本の行政機関が忖度や口利きで動くと決めつけるのは貶めることになると決めつけている。
もし日本の行政機関が安倍晋三が絶対保証するように口利きや忖度で動かない絶対正義の存在であるなら、文部科学省の組織的な違法天下りが発覚、OBを含めて43人が処分されるといった不正行為を発生させる余地は持たないはずである。。
違法な天下りで私利私欲を恣(ほしいまま)にするが、政治家の口利きや忖度は絶対受け付けることはないとするのは絶対正義であることを絶対とせずにその時々に応じて絶対正義であることから離れるご都合主義を働かすことになって、絶対正義は仮面でしないことになる。
大体が絶対正義の組織など存在しないし、絶対正義の人間など存在しない。
だが、安倍晋三はそうであるとは限らないにも関わらず日本の行政機関を絶対正義と規定することで政治家の口利きや忖度を受け付けることはないという構図を作り上げることで首相夫人安倍昭恵を通した安倍晋三の、あるいは安倍晋三自身による直接の口利きや行政機関自らの忖度は一切無かったとする好都合な論理を打ち出している。
籠池泰典が谷査恵子宛に送った書面とその返信の文面を見て、満額回答なのかゼロ回答なのか見てみる。
「籠池泰典手紙全文」(産経ニュース/2017.4.3 21:25) 小学校敷地の件について(H27・10・26) 小学校用地として豊中市野田1501の国有地を買売予約附定期借地として契約。(国土交通省航空局の土地)交渉先は近畿財務局 当方としても買収をしたかったが資金調達都合があったので10年以内に購入希望としたところ、10年定借という当方にとっては切迫感のある契約となった。事業用定借というのは長期間借りることにより経営が安定するのだが長期間使用する必要がある学校という扱いが財務省側はしていないので非常に不安である。 学校が事業用地で定借10年は短かすぎ(10年以内に買い取りし、それができなければ建物を取りこわして原状に復する)、10年で買い取るつもりではあるが、事業環境が変わったりするのでやはり50年定借として早い時期に買い取るという形に契約変更したいのです。でないと安心して教育に専念できない。 買い取り価格もべらぼうに高いのでビックリしている。 A※ さらに現在、借地契約のあと、土壌汚染や埋蔵物(ガラなど)を撤去しており、本来国が契約前に撤去するか、撤去をしている間は賃借料(250万円/月)が発生しないのが民民契約だが、国との契約だから従ってもらわねばならぬということで現在に至る。建物建築時から借料が発生するのが本来であるのにおかしいと思う。 安倍総理が掲げている政策を促進する為に※国有財産(土地)の賃借料を50%に引き下げて運用の活性化を図るということです。 ※学校の用地が半値で借りられたらありがたいことです。 Aの関係してですが、平成27年2月契約事前の段階で、財務と航空の調整の中で学園側が工事費を立て替え払いして平成27年度予算で返金する約束でしたが、平成27年度予算化されていないことが9月末発覚し、平成28年度当初に返金されるという考えられないことも生じています。11月中に土壌工事が終わりますのに、4ケ月間のギャップはどう考えているのか航空局の人間の感覚が変です。4ケ月間の利息は? ふりまわされています。 新聞記事と当方の契約書を同封いたしますのでよろしくお願いします。 籠池拝 |
先ず第一に中学生や高校生が同級生にカネの無心するわけではなく、大の大人なら、カネを持っていないと分かっている相手にカネを無心する手紙は出さないということである。貸して貰いたいと思っている金額のカネを貸しても十分にカネに余裕のある相手を狙って無心の手紙を出す。
籠池泰典は安倍昭恵付きの谷査恵子に手紙を出せば、自身の要望が通る可能性を予定して手紙を出したはずだ。要望が通る可能性もない相手に要望の手紙を出すバカはいない。
当然、谷査恵子自身が国交省や財務省と交渉して籠池の要望を通す力があるかどうかが問題となる。ネットで調べてみると、東大文学部を卒業しているが、一般職試験を経て経産省にノンキャリアとして入省となっているから、谷査恵子自身に自身が所属している経産省に対してばかりか、ましてや所属外の財務省や国交省の政策や方針を動かす力は持っていないはずだし、籠池自身にしてもそのことは理解していたはずだ。
要するに籠池泰典は谷査恵子のバックに安倍晋三夫人の安倍昭恵が控えていることを承知しながら谷査恵子に要望の手紙を出した。谷査恵子に向かって手紙を書きながら、実は安倍昭恵に向かって手紙を出していたことになる。
谷査恵子のバックに安倍昭恵が存在せず、谷査恵子自身に財務省や国交省に掛け合って籠池の要望を通す力ないということなら、谷査恵子に要望の手紙を出す程籠池はバカではないだろう。
では、要望に対する返信のFAXを見てみる。
「内閣総理大臣夫人付谷査恵子氏から籠池泰典氏へのファクス返信」(PAGE/2017.03.23 19:09 ) 塚本幼稚園 幼児教育学園 総裁・園長 籠池 泰典 様 前略 平素よりお世話になっております。 先日は、小学校敷地に関する国有地の売買予約付定期借地契約に関して、資料を頂戴し、誠にありがとうございました。 時間がかかってしまい申し訳ございませんが、財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました。 大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようでございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。 なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております。 内閣総理大臣夫人付 谷査恵子 ※明日より出張のため、携帯番号がしばらくつながらない可能性がございます。 ご迷惑をおかけいたします。 籠池様 平素よりお世話になっております。 先月頂戴しました資料をもとに、財務省国有財産審理室長の田村嘉啓氏に問い合わせを行い、以下の通り回答を得ました。 1) 10年定借の是非 通常、国有地の定借は3年を目安にしているが、今回は内容を考慮し、10年と比較的長期に設定したもの。他の案件と照らし合わせても、これ以上の長期定借は難しい状況。 2) 50年定借への変更の可能性 政府としては国家財政状況の改善をめざす観点から、遊休国有地は即時売却を主流とし、長期定借の設定や賃料の優遇については縮小せざるをえない状況。介護施設を運営する社会福祉法人への優遇措置は、待機老人が社会問題化している現状において、政府として特例的に実施しているもので、対象を学校等に拡大することは現在検討されていない。 3) 土壌汚染や埋設物の撤去期間に関する賃料の扱い 平成27年5月29日付 EW第38号「国有財産有償貸付合意書」第5条に基づき、土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。 4) 工事費の立て替え払いの予算化について 一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園と国土交通省航空局との調整にあたり、「予算措置がつき次第返金する」旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中。 |
谷査恵子はFAXに「時間がかかってしまい申し訳ございませんが、財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました」と書いているが、法律で決められている国有地の売買予約付定期借地契約の内容を変えることになる要望なのだから、例え籠池泰典から谷査恵子自身が依頼を受けた立場にあったとしても、純粋に個人の立場で問い合わせするには力不足であって、安倍昭恵の存在があって初めて問い合わせることができる要望であろう。
こういう事情にあるから、「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」という手順を踏むことになった。
籠池から来た手紙を安倍昭恵が目を通し、安倍昭恵の指示に従って財務省に問い合わせをし、その回答を安倍昭恵の報告したという経緯を取ったはずだ。
籠池泰典は谷査恵子のバックに控えている安倍照恵に対して国有地の「10年定借」を「早い時期に買い取る」という付帯条項をつけて「50年定借」に契約変更したいと要望した。「早い時期」を「10年で買い取る」予定でいる。
その上、「学校の用地が半値で借りられたらありがたい」と借地料の半額値下げを要望し、「買い取り価格もべらぼうに高いのでビックリしている」として、暗に買い取る場合の価格の値下げを要望に付け加えている。
対して谷査恵子は財務省の回答を「3年」を「10年」と設定したが、「50年定借」は難しいと伝えた上で、「遊休国有地は即時売却を主流とし、長期定借の設定や賃料の優遇については縮小せざるをえない状況」だとして、「50年定借」よりも早期の買い取りへの流れに持っていこうとしている。
但し買い取る場合の価格の値下げの要望には一切触れていなくて、ゼロ回答となっている。
だが、現実には不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地をゴミ混入率47.1%の1万9500トン・ダンプカー4000台分の産業廃棄物が土中に存在するからと、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積り、この金額を差し引いて約1億3400万で森友学園に格安で売却している。
これを籠池泰典の要望に添った値下げと見るかどうかはゴミ混入率47.1%の1万9500トン・ダンプカー4000台分の産業廃棄物が土中に実際に存在したどうかということ、その撤去・処理費用が実際に見積もったとおりの8億1900万円もしたかどうかにかかってくる。
だが、産業廃棄物の量もその撤去・処理費用の見積りも外部に発注する一般例に反して廃棄物の撤去費積算の経験がない国交省大阪航空局が工事業者にヒアリングしたりして見積っていること、実際に1万9500トン・ダンプカー4000台分が存在したかどうか、あるいはそれだけの量が外部に運搬されたかどうかも確認していないことなどの不透明な事態が明らかになっている。
当然、これを手の込んだ値下げの遣り口と見ることもできる。
この根拠として小学校建設のために地下9.9メートルの深さに到達する杭を打つ場所の地下埋設物(ゴミ)の調査のための二本のボーリングによって得た土を共産党の辰巳孝太郎が「産業技術総合研究所」で調べて貰ったところ、地表以下3メートルのところまではゴミは存在するが、3メートル以下9.9メートルまでの間は地表の風化によって生成された砕屑 (さいせつ) 物、火山噴出物、生物遺骸などが海底や地表に堆積した天然の堆積物から成っていて、ゴミは存在しないという報告を受けていることを挙げることができる。
「産業技術総合研究所」の調査結果が正しいか否かは小学校建設のための杭打ちに実際に携わった杭打ち業者を国会に参考人招致して、地下9.9メートルまでを掘削してゴミを除去してから土を埋め戻して、そこに必要本数の杭を打ち込んだのか、あるいは地表から3メートルまでは建物のベースを打つために掘削してゴミを除去したが、そこから下は掘削しない地山の状態で杭を打ち込んだのか証言させれば、簡単に分かることである。
これまでの知る範囲での国会質疑やマスコミ報道を見ると、掘削せずに地山のまま杭を打ち込んだ状況にあるようだ。
これが財務省や国交省の手の込んだ値下げの遣り口だとしたら、安倍晋三夫人安倍昭恵という存在の国有地借地や売却への関与を安倍晋三自身の意向と踏んだ財務省や国交省の忖度が働いた値下げか、あるいは実際には安倍晋三の意向を受けた安倍昭恵の意向を安倍晋三自身の口利きと解釈した結末となる。
大体がだが、再度繰返していうことになるが、大体が安倍晋三はそうであるとは限らないにも関わらず日本の行政機関を絶対正義と規定することで政治家のどのような口利きも忖度も受け付けることはないという構図を作り上げること自体が、あるいは作り上げることによって首相夫人安倍昭恵を通した安倍晋三の、あるいは安倍晋三自身による直接の口利きや行政機関自らの忖度は一切無かったとする好都合な論理を打ち出していること自体が土台無理がある。
いずれにしても日本の行政組織の絶対正義を持ち出すことは安倍晋三や安倍昭恵の口利きや忖度の否定の根拠とはならない。このことは確実に言うことができる。