安倍晋三の中国の尖閣沖領海侵入、2013年国会で「冷静かつ毅然とした対応」とできぬことを約束

2017-07-17 07:22:13 | 政治

 中国海警局の船が尖閣沖周辺の日本領海侵入のみならず、2017年7月15日の午前1隻、午後2隻の計二回、長崎県の対馬沖と福岡県の沖ノ島沖の日本の領海に今回初めて相次いで侵入したという。

 7月15日付「産経ニュース」記事によると、午前中の領海侵入に対して海上保安庁の巡視船が無線で領海から出ていくように呼びかけると、30分後に領海から出たが、午後に入り、午前中の船を含む計2隻が再び領海侵入。

 要するに無線やマイクで領海から出ていくよう呼びかけるのも恒例、呼びかけたとしても、一時的な効果のみの恒例となっているのは尖閣沖の日本領海への度重なる領海侵入が既に証明している。

 同侵入を伝えている「NHK NEWS WEB」によると、〈各国の軍の艦船などには、ほかの国の秩序や安全を害さなければ、その国の領海を通過できる「無害通航権」が国際法で認められていて、外務省によりますと、今回の中国海警局の船の航行がこれに当たるかどうか確定的には言えないとして、抗議ではなく、関心の表明を行った〉ということだが、午前中日本の領海に入った船が午後になって他の1隻と再び入ってきたということは「無害通航権」の行使には見えない。           
  
 同じ7月10日には中国海警局の船4隻が尖閣沖の日本の領海に相次いで侵入した。先月6月26日以来で、今年に入り合わせて18日だと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。

 中国の公船が尖閣沖日本領海に侵入するのも恒例となっているが、政府が首相官邸の危機管理センターに設置の「情報連絡室」を「官邸対策室」に切り替えて情報収集と警戒監視に当たるのも恒例となっている。

 この記事では触れていないが、日本の外務省が在日中国大使館に「尖閣諸島は日本の固有の領土である」と抗議すると、中国側から「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の固有の領土である」とお互いが領有権を主張するのも恒例となっているのだろう。

 恒例とは一種の儀式化である。儀式は一般的には何らかの有益性を持って初めて意味を持つ。決まりとして単に繰返すだけの儀式となっていたなら、意味を持たない。


 「海上保安庁」のサイトには尖閣諸島周辺海域の中国船の日本領海侵入確認延隻数が載っている。2012年9月に野田民主党政権が尖閣諸島を国有化して以来、領海侵入延隻数がぐっと増えている。  

 2017年に入って6月30日までで確認延隻数は63隻にのぼっている。一度に3隻、4隻と領海侵入した場合、無線やマイクで領海から出るように呼びかけるのを1回と数えると、呼びかけの恒例化した儀式は延隻数よりも少なく計算しなければならないが、それでもかなりの回数、恒例化した儀式を繰返していたことになる。

 首相官邸の危機管理センターに設置の「情報連絡室」を「官邸対策室」に切り替える恒例化した儀式もそれなりの回数を繰返し、情報収集と警戒監視に当たる、これまた恒例化した儀式を同数繰返してきた。

 第2次安倍政権2012年12月26日発足後から2カ月と約10日後の2013年3月7日の衆議院予算委員会。文飾は当方。

 萩生田光一自民党議員「私は、新聞ですとか週刊誌の記事をもとに質疑をすることは本意ではないんですが、また、今さら民主党政権下の非をあげつらうつもりは全くございませんけれども、事安全保障の問題ですので、あえて触れておきたいと思います。

 一昨日、産経新聞の一面に驚くべき記事が載りました。

 昨年9月の尖閣諸島の国有化後、挑発を繰り返す中国海軍の艦船に、一つ目、海自は15海里、約28キロの距離を置いて近づかないようにというふうに求められた。二つ目、他国軍の艦船の領海侵犯に備えるためには先回りして領海内で待ち構えるのが常套手段なんですが、それも自制をせよ、こう言われた。

 そして三つ目、海洋監視船はヘリを搭載可能で、ヘリが飛び立てば即領空侵犯になるので空自のスクランブルの必要性がある、こういう議論をしていたんだけれども、当時の岡田副総理は、軽微な領海侵犯だから中国を刺激するな、海上保安庁に任せればいいと準備を認めなかったという記述であります。

 先日、レーダー照射の事案で、民主党の委員は、政府の対応を遅いと断じ、中国海軍の解説までしていただき、問題意識をもっと高く持つようにと促しておりましたけれども、もしこの記事が事実とすれば、民主党政権時代の間違ったメッセージがもたらした当然の結果と言えます。

 政府は、本件について事実を確認しているのでしょうか。また、安倍内閣にかわり、これらの対応は具体的にどのように変わったのか。お尋ねいたします。

 安倍晋三「尖閣諸島周辺海域において中国公船による領海侵入が繰り返されている等、我が国を取り巻く情勢は厳しさを増しています。

 このため、海上保安庁において、大型巡視船の新規建造や海上保安官の大幅な増員などにより専従の警備体制を確立し、その体制を強化するとともに、自衛隊の艦艇、航空機等を用いた警戒監視と適切に連携するなどして、その警戒警備に、現在、万全を期しているところであります。

 そして、今委員が御指摘になられたこの警戒警備の状況については、前政権のこととはいえ、我が方の手のうちにかかわることでございますので、詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、あえて一言申し上げさせていただければ、前政権下においては、過度に軋轢を恐れる余り、我が国の領土、領海、領空を侵す行為に対し当然行うべき警戒警備についても、その手法に極度の縛りがかけられていたというふうに私は承知をしております。

 このことは、相手方に対して誤ったメッセージを送ることにもなり、かえって不測の事態を招く結果になることすらある、私はそう判断をしたわけでございまして、安倍内閣を発足させた直後から、この危機的な状況を突破するために、前政権の方針を根本から見直しを行いました。そして、冷静かつ毅然とした対応を行う方針を示したところでございます。

 今後とも、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くという決意のもとに、引き続きしっかりと警備、警戒を行っていく考えであります。

 萩生田光一「いたずらに緊張を高めることを望んでいるわけではありません。我が国が毅然とした安全保障の姿勢を示し続けるということが必要だと思いますので、ぜひ総理にはそのことをお願いしたいと思います」

 安倍晋三が国会で約束した民主党政権とは異なる安倍政権の「冷静かつ毅然とした対応」とは中国公船に自由に領海侵入させることだったようだ。

 民主党政権の中国側の尖閣沖領海侵入対策、「その手法に極度の縛りがかけられていた」と言っているが、安倍政権の対策が同じ繰返しの恒例化した儀式となっていること自体が既に「極度の縛り」にかかった状況に陥っている、その罠にはまり込んでいることを示しているはずだ。

 要するに安倍晋三はできもしないことを国会で約束した。アベノミクスの好循環と言い、安倍晋三はできもしないことの約束が得意技となっているようだ。身振り手振りで言葉巧みに立派なことを約束する、もう信用しない方がいい。

コメント (1)
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