日報問題に見る防衛省・自衛隊内の情報隠蔽に関わる空恐ろしい程の権威主義(=チェック機能不在)の横行

2017-08-12 11:29:27 | 政治

 「権威主義的パーソ ナリティ」(権威主義的人格)について『社会心理学小辞典』有斐閣)に「自己の所属する集団・社会の権威や伝統、さらに上位者や強者に対して無批判に同調・服従し、逆に他集団や下位者・弱者に対して敵意を向け、絶対的服従を要求する傾向を持つ性格特性をいう」と出ている。

 要するに権威主義とは優越的位置にいる上位権威者は劣位的位置にいる下位権威者に対して権威を振り回して無条件・無考えに同調・従属を求める傾向にあり、下位権威者は上位権威者に無条件に同調・従属する傾向にあることを言う。

 簡単に言うと、上は下を従わせ、下は上に従う思考性・行動性を言う。

 当然のことながら、このような同調・従属の権威主義の思考性・行動性に於いてはチェック機能が不在か、麻痺した状況にある。

 南スーダンPKO派遣自衛隊部隊の日報問題を巡って防衛省防衛監察本部が特別防衛監察を行って2017年7月27日に公表した報告書の中にこの権威主義が空恐ろしい程に横行している状況が否応もなしに浮かび上がってくる。その箇所を適宜摘出してみる。

 先ず日報は情報公開制度に基づいた開示請求に対して説明資料に使った後、廃棄したとして非開示扱いしたが、実際は廃棄せずに利用されていた状況について報告書は次のように記載している。

 平成28年7月7日から7月12日(現地時間)、南スーダン派遣施設隊関係職員は、本件日報を作成するとともに、陸自指揮システム(以下「指揮システム」という。)の掲示板に本件日報データをアップロードした。

 

 日報データは、統幕、陸幕、CRF司令部において、モーニング・レポートなどの報告資料の一部として使用されているとともに、関係職員間において現地状況の把握のための情報共有資料として活用されていた。

 「CRF」とは中央即応集団のことで、陸上自衛隊に於ける防衛大臣直轄の機動運用部隊ということだそうだ。

 では、廃棄していないのに廃棄したと偽ることになった経緯。

 (2) 本件日報に関連する開示請求への対応(平成28年7月~9月)

ア平成28年7月19日、内局情報公開・個人情報保護室(以下「内局情個室」という。)は、「2016年7月6日(日本時間)~15日の期間に中央即応集団司令部と南スーダン派遣施設隊との間でやりとりした文書すべて(電子情報含む)」に係る開示請求書を受付した。内局情個室関係職員は、陸幕、統幕、防衛政策局関係職員に対し、開示請求書を送付した。

イ平成28年7月20日以降、CRF司令部関係職員は、陸幕から送付された開示請求書に基づき該当文書の探索を実施した結果、CRF司令部において、行政文書としての日報が含まれた複数の該当文書の存在を確認した。

ウ平成28年8月1日頃、CRF副司令官(国際)は、CRF司令部関係職員から、日報を含む複数の該当文書を探索結果とする旨について報告を受けた際、日報が該当文書から外れることが望ましいとの意図をもって、日報は行政文書の体を成していないと指摘し、日報以外の文書で対応できないか陸幕に確認するよう指導した。

 当該指導を受け、CRF司令部関係職員は、陸幕関係職員に対し、保有している日報は個人資料であると説明した上、日報を該当文書に含めないとする旨について確認し、含めなくてよいとすることで了承された。

 報告書はCRF副司令官(国際)に対する事情聴取に対してなのだろう、〈CRF副司令官(国際)は、部隊情報の保全や開示請求の増加に対する懸念により日報が(開示請求の)該当文書から外れることが望ましいとしている。〉と記載している。

 CRF(中央即応集団)と陸幕との上下関係性は上記文章を読むと、陸幕が上でCRFが下となっている。但しCRF内ではCRF副司令官が〈日報が該当文書から外れることが望ましいとの意図〉を持ち、開示は日報以外ではダメかどうか部下に対して「陸幕に確認するよう指導」し、その指導のまま、陸幕に確認した行動は上位権威者であるCRF副司令官(国際)の意図に下位権威者であるCRF司令部関係職員が無条件に同調・従属する(部下がまずいではないかと「反対」、「再考を促す」、「翻意を求める」といった言葉は報告書から出てこない。)関係性を示していて、両者間に権威主義の力学の作動を見ることができる。

 いわば権威主義の力学下にあったために下位権威者側からチェック機能が何ら働かなかったと言うことができる。

 またCRF司令部関係職員の陸幕に対する確認に対して陸幕が日報を該当文書に含めなくてよいとした“了承”は陸幕の上司の承認を受けた「陸幕関係職員」の承認であって、この経緯にも部下の側からのチェック機能を不在としていたか麻痺させていたか、それが何ら機能しなかった無条件・無考えに同調・従属していく権威主義の力学を見ることができる。

 尤も既に触れたようにCRF副司令官と陸幕の上下関係は陸幕が上位権威に位置していることから日報の非開示が上位権威者である陸幕側から出て、CRF副司令官側が無条件・無考えに同調・従属する権威主義によって決まったものではなく、下位権威者側から出て上位権威者側が「了承」するという権威主義の上から下へとは逆の経路を取っているゆえに権威主義の力学が両者間に作動した非開示決定ではないが、それぞれの内部に於いて無条件・無考えに同調・従属する権威主義の力学が働いていたことと、陸幕が下位権威者に位置した場合は上位権威者に対して無条件・無考えに同調・従属する権威主義の力学に馴染んでいるからこそ、CRF副司令官という下位権威者に対してもチェック機能を不在、あるいは麻痺させて、結果的に日報の非開示という流れをつくってしまったということではないだろうか。

 陸幕運用支援課においては、日報をダウンロードし、報告資料の一部として使用、他部署への共有をしていたことから、日報の存在を認識できる状況であったにも関わらず、陸幕運情部長及び陸幕運用支援課長等は、日報が除かれた文書のみを該当文書とする開示意見の上申を安易に了承したことは、適切ではなかった。

さらに、統幕参事官付においても、日報が共有され、報告資料の一部として使用していたことから、日報の存在を認識できる状況であったにも関わらず、統幕参事官付関係職員は、日報が除かれた文書のみを該当文書とする開示意見の案の意見照会に対し、意見なしと安易に回答したことは、適切ではなかった。

 ここでも「開示意見の上申を安易に了承」、あるいは「意見照会に対し、意見なしと安易に回答」という無条件・無考えな同調・従属が下位権威者であるCRF副司令官から上位権威者である陸幕に働いていたのと同じく権威主義の上から下へとは逆の経路を取っているものの、統幕にしても陸幕同様に上位権威に対しても下位権威に対しても権威主義の思考性・行動性に馴染んでいるからこそのチェック機能を不在、あるいは麻痺させた「安易」さであるはずだ。

 このような無条件承認、あるいは無考え承認は防衛省と自衛隊内部に権威主義の力学が横行・蔓延していることの証明としかならない。

 戦前の日本の軍隊での上官の命令に絶対服従は権威主義の最たる表現であった。その空恐ろしさにまで現在の防衛省・自衛隊が達していなくても、チェック機能が不在、あるいは麻痺しているという点で、その権威主義の横行・蔓延は既に空恐ろしい状況に至っていると見るべきだろう。

 まるで防衛省・自衛隊組織ぐるみの権威主義の思考・行動性に見える。

 安倍晋三の自身の政治関与による加計学園獣医学部新設認定も、安倍晋三を最大の上位権威者とする権威主義が内閣府や文科省に働いていたに違いない。

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