安倍晋三アベノミクスの機能不全を児童虐待対応件数過去最多が鏡のように映し出している

2017-08-18 08:52:35 | 政治

 18歳未満の子どもを対象とした虐待通報の児童相談所対応件数が昨年度は一昨年度比+1万9292件の12万2578件に上り、過去最多となったと各マスコミが8月17日(2017年)付で報道した。

 この数字は厚生労働省が8月17日に都内で開いた全国の児童相談所の所長会議で公表したものだそうだ。

 厚労省のサイトに「児童虐待の定義」が載っている  

 「身体的虐待」 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
 「性的虐待」 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
 「ネグレクト」 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
 「心理的虐待」 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う等。

 「NHK NEWS WEB」/2017年8月17日 13時34分)から具体的な内容を見てみる。
  
 虐待の種類別 ()内は2015年度比

 「心理的虐待」6万3187件(+1万4487)
 「身体的虐待」3万1927件(+3306)
 「ネグレクト」2万5842件(+1398)
 「性的虐待」1622件(+101)

 都道府県別

 大阪1万7743件(+1162)
 東京1万2494件(+2585)
 神奈川1万2194件(+599)
 埼玉が1万1614件(+3335)

 記事は、〈都市部で多くなっています。〉と伝えている。

 対応件数が増加した理由として警察庁が昨年4月に全国の警察に対して事実関係が明らかでなくても虐待が疑われる事案は児童相談所に確実に通告するよう求める通知を出したこと、この通知によって夫婦間で起きる家庭内暴力を警察が把握した際、子どもに暴力行為を見せる「心理的虐待」ととらえて児童相談所に通告するケースが大幅に増えたこと、近所の人が虐待行為を直接目撃していなくても、頻繁に激しい泣き声が聞こえるといった理由で児童相談所に通告するケースが増えたことを挙げている。

 要するに警察にしても世間にしても、児童虐待への関心を高めて、罪悪視するようになった。これはストーカーに対する見方と同じ経緯を辿っている。

 精神的に余裕のないことがちょっとしたことでイライラを生み出し、そのイライラを発散するぶつけどころがなく、抑えることができなくなると、身体的・暴力的に支配しやすい子どもにぶつけて、発散することになる。

 最初は誰もが後悔するようだが、イライラが連続すると、それに負けて再び子どもを発散対象とし、そのことを抑えることができなくなって常習化するようだ。

 そして精神的余裕を奪う原因として貧困(経済的困窮)や夫婦間の不和、家庭内や会社内での孤立等挙げられると言う。

 しかしこれらに共通している問題点は経済的な余裕のなさ――経済的困窮であろう。

 児童虐待対応件数が都市部に集中しているのは都市部程、格差が大きいことの反映ではないだろうか。いわば貧困家庭が集中している。

 貧困は断るまでもないことだが、例えば夫婦間の不和は経済的に余裕があれば、離婚という最終手段で対応できるし、離婚までいかなくても、家庭生活の不毛な時間を家庭外の生活を習い事やジム通い、その他で充実させることで代償させれば、限りなくイライラを抑えることができる。

 中には夫婦それぞれが密かに外でパートナーを見つけて、それぞれのパートナーと過ごす時間をこそ、自身の人生だと実感することもできるだろう。

 家庭内の孤立や会社内の孤立にしても、カネが十分にあれば、自身の居場所を別に探すことで孤立からの脱出を図ることができて、イライラの根を断つことも可能となる。

 カネこそが自由を手に入れる元手となる。日々のイライラを無縁とする強力な武器となる。

 児童相談所の虐待通報対応件数がそのまま虐待数に一致するとは限らないが、虐待の実数が増加していることは事実であろう。あるいは警察庁の昨年4月の全国警察への通知や児童虐待への関心の高まりと罪悪視する意識の高まりによる個人の通報が対応件数を増加させる原因となっていたとしても、虐待が年々増加しているという事実に関しては変わりはないはずだ。

 いわば経済的困窮家庭が年々増加している傾向を映し出していることになる。

 この傾向は景気の好循環を機会とした景気回復、いわば国民の生活向上を盛んに謳ったアベノミクス政策に反する状況を示していることになる。

 安倍晋三は6月19日(2017年)に193回国会終了を受けて行った記者会見で次のように述べている。

 文飾は当方。

 安倍晋三「現在、有効求人倍率はバブル時代をも上回る極めて高い水準にあります。この春、高校や大学を卒業した皆さんの98%が無事就職を果たし、社会人人生をスタートさせました。これは調査開始以来最も高い水準であります。

雇用を増やし、所得を増やす。経済の好循環を更に力強く回転させていくため、これからも安倍内閣は経済最優先で取り組んでまいります。

    ・・・・・・・・・・・・・・

 子供たちこそ我が国の未来であります。この通常国会は、正に未来を拓く国会となりました。どんなに貧しい家庭に育っても、希望すれば高校にも、専修学校、大学にも進学できる。子供たちの誰もが夢に向かって頑張ることができる日本でなければなりません。

 そして、若者も、お年寄りも、女性も、男性も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した人も、誰もが生きがいを感じ、その能力を思う存分発揮することができる一億総活躍の日本をつくり上げていかなければなりません。

 その本丸は、あらゆる人にチャンスをつくることであります。

 家庭の経済事情にかかわらず、高等教育を全ての子供たちに真に開かれたものにしていく。リカレント教育を抜本的に拡充し、生涯にわたって学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。これらに応えるため、当然、大学の在り方も変わらなければなりません。

  人づくりこそ次なる時代を切り拓く原動力であります。

 これまでの画一的な発想にとらわれない「人づくり革命」を断行し、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていく。

 そのエンジンとなる有識者会議をこの夏、立ち上げます。いわば「みんなにチャンス!構想会議」であります。そのための体制を来月中に整えます」――

 安倍晋三が宣言していることから除け者にされている人が少なからず存在する。その結果の一つが経済的困窮を共通原因としている虐待の通報に対する児童相談所対応件数2016年度過去最多ということであり、アベノミクスの機能不全を鏡のように写し出している表徴でなくて何であろう。
 
 安倍晋三は倒産件数の縮小や有効求人倍率の高さ、雇用数の増加をアベノミクス成功の指標としているが、「日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていく」とご託宣している以上、個人消費額と共に児童相談所対応件数の増減をアベノミクスの成功か否かの指標に加えなければならないはずだ。

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