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トヨタにとってのF1とは

2009-05-30 21:08:12 | ビジネス
今日の中日WEBサイトに、「F1富士」撤退検討 トヨタ、運営費用重荷にという記事が掲載されている。

ご存知の方も多いと思うが、トヨタがF1に乗り出したのは数年前。
富士スピードウェイでの開催は、一昨年と昨年の2年連続だった。
昨年は、ホンダがF1からの撤退を決めたが、今年は鈴鹿でのF1開催は決まっており、富士との隔年開催になっている。
ホンダとしては、F1というレースから撤退はしても、いずれ戻った時の足場として鈴鹿を残し、F1というレースに関わっていきたいという姿勢なのかも知れない。

それに対して、今回のトヨタの場合運営負担が大きいというのが理由だという言うことに、やや納得できないトコロがある。
事業面という点だけであれば、その撤退検討は納得できる。
しかし、「モータースポーツF1」や「クルマの開発」という、文化や技術開発の研究の場としての「F1」があったのではないだろうか?
もう一つは、「F1」がもたらす「イメージの効果」だ。
それまでの「質実剛健だが、古臭い」というようなトヨタのイメージを、「若々しい、挑戦的」に変えるコトに少しなりとも成功したと思うのだ。
それを、いともたやすく手放す検討をしているというのだ。

確かに、昨年秋の「リーマンショック」は世界的規模に広がり、日本もその大津波を受け、トヨタを始めとする自動車産業は大打撃を受けている。
そのための規模縮小も仕方ないと思う。
ただ、今回はそれとは違う意味での準備不足が招いているように思うのだ。
何故なら、運営費がかさんだ大きな理由が、レースが見えない観客席だとか、シャトルバスの運行などなど事前に調査すれば、解消できた問題が観客動員を減らす要因となっているからだ。
F1に対しての本気度という点で、疑問があるのだ。

確かに、経営環境が悪化する中でF1というスポーツイベントは、負担が大きい。
しかも、バブルの頃のようなF1人気は無い。
鈴鹿のように、遊園地を併設しているわけではないので、富士からの収益は期待できないだろう。
しかし、新たな資金投入が出来ないからF1開催から撤退を検討というのは、事業に対しての本気度が感じられないのだ。
F1参戦を急ぐあまり、準備不足が招いた結果だとすれば、トヨタにおけるF1とは一体何だったのだろうか?と、考えてしまうのである。