日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

書店にて・・・思うコト

2009-05-14 16:37:07 | アラカルト
元々読書好きということもあり、書店にはよく行く。
ほぼ毎日のように、ご近所の書店には行っているかも知れない。
ある意味「通っている」。

そんな中、気になっていることがある。
一つは、いわゆる「トヨタ(自動車)本」だ。
1年前までは、業績が絶好調!!!!だったこともアリ、書店のビジネス関連のコーナーには「トヨタに学ぶ成功の秘訣」的な内容の本が、平積みされていた。
もちろん、書籍の売上でも相当良かったはずだ。
私自身は、この手の「企業の成功例に学ぶ」本には興味がないので、読むことはほとんどない。
何故なら、ある企業の成功事例は、その企業にとっての成功例なだけで、それが他の企業に通用するはずもなく、場合によっては「ちょうちん記事」ならぬ「ちょうちん本」の場合もある。
それでも、飛ぶように売れたのはトヨタが地元企業だからだろう(と、思っている)。
もちろん、そのようなトヨタを誉める本もあれば、反トヨタ本もあったと記憶している。
それが今では「何故トヨタは大幅減益となったのか?」だとか、「自動車業界の終焉(チョッと大げさ)」的本が、書店に並んでいる。
さも「トヨタの時代は終わった」と、言わんばかりに。
1年前とは大違いなのだ(その傍らに、スズキ自動車の社長さんが書いた本が置いてあるは、ご愛嬌か?)。
所詮、その程度なのだ。
書籍といえども、時代の話題に乗っているというコトなのだ。

もう一つ気になっているのは、「定期購読誌」と呼ばれる雑誌が、先月から店頭で売られるようになったことだ。
雑誌のサイトを見ると、創刊当時は「定期購読のみ」だったのが、いつのまにか店頭販売もされるような表現に変わっている。
この雑誌は、いわゆる「高級婦人家庭雑誌」と呼ばれるモノで、当然のコトながら、私のような生活者は相手にはしていない。
少なくとも、東京の高級住宅地などに家を構え、専業主婦で優雅に生活をしている人たちが対象となっている。
現実には、そのような生活に憧れを抱く女性がターゲットとなっている雑誌なのだが、長い間その雑誌は「そのような方は、相手にしません」的な感じで「読者の囲い込み」として「定期購読のみ」という扱いをしていたはずだ。
というものの、実はこの雑誌は「定期購読の読者獲得」のため、書店のレジカウンター近辺に「見本誌」を置いていた。
そのため、私なども気軽に手にとり、ほぼ毎号のように読むことができたのだ。
私のような読者ばかりが増え、一番欲しい読者層を取り込むことができなかったのかも知れない。
何よりも、昨今の社会状況がそのような「お高くとまった販売方法」に、行き詰まりを感じたのだろうか?と、思ってしまったのだ。

最近では、書店での返本率が40%くらいだという。
それだけ雑誌も本も売れなくなってきている、というコトだろう。
時代に敏感に反応し、その時々のテーマのビジネス本でなくては、なかなか買ってもらえない。
買ってもらえないどころか、手にとってももらえない。
いくら高級志向でも、ターゲット外の人にも買ってもらわなくては意味がない。
そんな「本事情」を感じる、書店ウォッチングだ。