■ファントムスクランブル
百里基地第七航空団の任務は首都防空、スクランブルの緊急発進展示はそのまま日本御首都防空を再現する訓練展示でもあるのです。

F-4戦闘機は歴史の中に去りましたが、航空家遺体はF-4戦闘機にASM-2空対艦ミサイル運用能力を付与し、対艦攻撃の一翼を担う事で戦闘機としての運用寿命を延伸しました、レーダーも換装していまして、もっとも換装したAPG-66は2000年代には旧式でしたが。

戦闘機の支援戦闘機への運用変更は、F-86戦闘機がF-104戦闘機により置換えられた際に実施していました、もちろんF-86に対艦ミサイルを搭載する様な無茶な事はせず、500ポンド爆弾を搭載し反跳爆撃にて対艦攻撃を行うという、一寸難しい運用変更でしたけれど。

ASM-2空対艦ミサイルは射程が150km程度と長く、F-4戦闘機自体は旧式であってもASM-2を敵艦隊より遠方から投射する運用ならば、生存性と戦果を両立できるものでした。もう一つ、レーダーを乾燥してドイツのF-4戦闘機の様にAMRAAMを運用できればとも。

航空自衛隊のF-4戦闘機、しかし思った以上に運用が継続しまして、この写真を撮影した2012年から実に十年近く現役に在った事は驚きなのですが、仮に防衛出動の際にF-4はどういった運用を想定していたのかが関心事でした、しかも最後の任務は首都防空なのです。

首都防空、ファントムは南西方面の緊張増大と共に、長らく配備されていた沖縄の那覇基地と、南九州の新田原基地を置換えるべく、首都防空に当っていましたこの第7航空団からイーグルを送り出しファントムを引き取る事としていました、2012年はこの過渡期です。

東京急行という、ロシア軍ミサイル爆撃機が北海道北部から三陸海岸沖に沿って高速で南下し東京に接近する運用、これを迎撃するのが百里基地第7航空団の任務なのですが、爆撃機ならばファントムからのスパロー空対空ミサイルでも迎撃できるのかもしれません。

スクランブル発進に際しては、確かにそうなのですが、しかし有事の際を考えますとロシア軍ミサイル爆撃機の任務は長射程の空対地ミサイル投射であり、平時の防空識別圏内進入は単に示威行為でしかありません、するとスパローに巡航ミサイルを迎撃できるのか。

AAM-4空対空ミサイル、三菱電機が開発した国産の空対空ミサイルであれば射程も長いですしAMRAAM以上に巡航ミサイル迎撃を想定した設計で、何故ならば元々は空対空ミサイルに加え艦対空ミサイルとして護衛艦に搭載し対艦ミサイルを迎撃する計画でしたから。

航空自衛隊はこれ程ファントムを長く運用するつもりだったのだろうか、逆に考えてしまうのはF-4戦闘機後継機選定が本格化したのが小泉内閣時代であったということです、つまり2002年、いまから20年も前の話であり、この北大路機関さえ出来る前の話なのです。

次期戦闘機選定は、浜田防衛大臣、現職の浜田防衛大臣が前に防衛大臣を務めた時代に遡るものでして、この頃は浜田防衛大臣が当時、F-22戦闘機の導入を望む、こう発言していました通り、現在航空自衛隊に配備されているF-35ではなくF-22の導入を目指していた。

F-22戦闘機は、しかし覚悟が必要、こう云われたほどに機密の塊であると共に恐らく日本でのライセンス生産は不可能という、高度な機密の戦闘機でした。ただ、当時開発が進められていたF-35戦闘機はJSF計画と呼ばれた段階、中々に使い難さが予想されたもの。

JSF計画当時のF-35戦闘機はSが打撃を意味し、実質は戦闘攻撃機といいますか戦域優位獲得の為の多目的戦闘機が優位獲得の一環として空対空戦闘を行うという認識であり、専守防衛の日本としてはF-22戦闘機のほうが防空戦闘に適した機体とも考えられています。

専守防衛、しかしこれは今の日本も含めてみないようにしているだけで、戦域優位に戦闘機が制空権だけを考える時代はとうの昔に終わり、結局は策源地攻撃や防空制圧はじめ、つまり専守防衛の範疇でも敵の攻撃与点を爆撃し無力化する必要があるという現実が。

ファントムは、こうした議論の末に結局思ったよりも長く使ってしまった戦闘機、という印象が拭えないのですね。他方で、政治はもう少し例えば、用兵側である航空自衛隊が機種選定を完了できないならば三菱重工のF-2戦闘機の製造を延長する、というような。

F-2には制空戦闘任務偏重の航空自衛隊には一部懐疑的な意見があるといい、しかしそれでもこうした柔軟な選択肢でF-4をF-2に切替える努力をしてほしかったのですが、石破防衛庁長官時代の決定が響いていたのです。ここで日本の前例踏襲主義が響いたのではとも。

納税者に説明できないという石破防衛著長官の決定がそのまま覆されずに堅持されてしまいまして、当時は130機の生産計画を96機に縮小してしまいます、これが逆に思うのは、1950年代設計のファントムを2010年代以降も使う事が納税者への説明か、ともおもう。

F-2戦闘機を予定通り130機生産し、ファントムの耐用年数に併せて先ず一個飛行隊を置換え、まだ後継機が選定出来ないようならばFSX計画の時点での141機まで生産を戻し、そして二個飛行隊を中期防衛力整備計画で整備する、こうした選択肢はあってよかった。

RF-2戦術偵察機、こうした上でF-4後継機がF-35でもF/A-18E/FでもF-16Vでもストライクイーグルでもいいのですが、決定した後には増強したF-2戦闘機は逆にRF-4戦術偵察機の後継機と改修、改修といっても偵察ポッドを搭載するだけですが、使い道は幅広い。

ファントムをここまで長く運用する前提がもしあったならば、EJ改への改修に重ねて再度レーダーを換装しAPG-2のようなF-2と同等のレーダーに置換えるか、若しくはF-2のレーダー換装を急ぎ、降ろしたF-2のレーダーをファントムに積む選択肢はあったのでは。

F-2戦闘機はAAM-4運用能力付与が遅れ、セミアクティヴレーダー誘導方式のミサイルではAAM-4やAMRAAMのようなアクティヴレーダー誘導方式のミサイルよりも運用成約が大きくなってしまいましたが、F-2とF-4,同じレーダーを使っていれば話は変ります。

能力向上改修は、機種ごとに開発費用が決まりますので、開発費用を機数で割るならば機種当たりの保有数が多い方が有利です、すると、F-2とF-4が同じレーダー系統を使っていたならば、一つの改修プログラムで二機種を改修できる事になるのですね、費用を抑えて。

AAM-4やAMRAAMのようなアクティヴレーダー誘導方式のミサイル運用能力付与も、レーダーを統合するか機種を統合していたならば早められたのではないか、こう考えられるのです。しかし事情が在った、F-22の導入案の他に、防衛費を増やせないという事情が。

北朝鮮ミサイル開発が加速すると共に2006年には核実験を実施した事でミサイル防衛の優先度が高まり、しかし財政再建により防衛費を増やせない事で日本の防衛予算は新任務を前に非常に逼迫し、後周しさせる装備計画が多くなりました、ここに甘えたようにおもう。

ファントムは良い戦闘機なのですが2020年代に相応しい戦闘機なのかと問われますと、無人機母機やミサイル運搬機ならば兎も角、戦闘機として使いにはEJ改の性能では限界を超えていたように思う、予算が無いという言い訳とはいえ、政治は反省すべき命題でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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百里基地第七航空団の任務は首都防空、スクランブルの緊急発進展示はそのまま日本御首都防空を再現する訓練展示でもあるのです。

F-4戦闘機は歴史の中に去りましたが、航空家遺体はF-4戦闘機にASM-2空対艦ミサイル運用能力を付与し、対艦攻撃の一翼を担う事で戦闘機としての運用寿命を延伸しました、レーダーも換装していまして、もっとも換装したAPG-66は2000年代には旧式でしたが。

戦闘機の支援戦闘機への運用変更は、F-86戦闘機がF-104戦闘機により置換えられた際に実施していました、もちろんF-86に対艦ミサイルを搭載する様な無茶な事はせず、500ポンド爆弾を搭載し反跳爆撃にて対艦攻撃を行うという、一寸難しい運用変更でしたけれど。

ASM-2空対艦ミサイルは射程が150km程度と長く、F-4戦闘機自体は旧式であってもASM-2を敵艦隊より遠方から投射する運用ならば、生存性と戦果を両立できるものでした。もう一つ、レーダーを乾燥してドイツのF-4戦闘機の様にAMRAAMを運用できればとも。

航空自衛隊のF-4戦闘機、しかし思った以上に運用が継続しまして、この写真を撮影した2012年から実に十年近く現役に在った事は驚きなのですが、仮に防衛出動の際にF-4はどういった運用を想定していたのかが関心事でした、しかも最後の任務は首都防空なのです。

首都防空、ファントムは南西方面の緊張増大と共に、長らく配備されていた沖縄の那覇基地と、南九州の新田原基地を置換えるべく、首都防空に当っていましたこの第7航空団からイーグルを送り出しファントムを引き取る事としていました、2012年はこの過渡期です。

東京急行という、ロシア軍ミサイル爆撃機が北海道北部から三陸海岸沖に沿って高速で南下し東京に接近する運用、これを迎撃するのが百里基地第7航空団の任務なのですが、爆撃機ならばファントムからのスパロー空対空ミサイルでも迎撃できるのかもしれません。

スクランブル発進に際しては、確かにそうなのですが、しかし有事の際を考えますとロシア軍ミサイル爆撃機の任務は長射程の空対地ミサイル投射であり、平時の防空識別圏内進入は単に示威行為でしかありません、するとスパローに巡航ミサイルを迎撃できるのか。

AAM-4空対空ミサイル、三菱電機が開発した国産の空対空ミサイルであれば射程も長いですしAMRAAM以上に巡航ミサイル迎撃を想定した設計で、何故ならば元々は空対空ミサイルに加え艦対空ミサイルとして護衛艦に搭載し対艦ミサイルを迎撃する計画でしたから。

航空自衛隊はこれ程ファントムを長く運用するつもりだったのだろうか、逆に考えてしまうのはF-4戦闘機後継機選定が本格化したのが小泉内閣時代であったということです、つまり2002年、いまから20年も前の話であり、この北大路機関さえ出来る前の話なのです。

次期戦闘機選定は、浜田防衛大臣、現職の浜田防衛大臣が前に防衛大臣を務めた時代に遡るものでして、この頃は浜田防衛大臣が当時、F-22戦闘機の導入を望む、こう発言していました通り、現在航空自衛隊に配備されているF-35ではなくF-22の導入を目指していた。

F-22戦闘機は、しかし覚悟が必要、こう云われたほどに機密の塊であると共に恐らく日本でのライセンス生産は不可能という、高度な機密の戦闘機でした。ただ、当時開発が進められていたF-35戦闘機はJSF計画と呼ばれた段階、中々に使い難さが予想されたもの。

JSF計画当時のF-35戦闘機はSが打撃を意味し、実質は戦闘攻撃機といいますか戦域優位獲得の為の多目的戦闘機が優位獲得の一環として空対空戦闘を行うという認識であり、専守防衛の日本としてはF-22戦闘機のほうが防空戦闘に適した機体とも考えられています。

専守防衛、しかしこれは今の日本も含めてみないようにしているだけで、戦域優位に戦闘機が制空権だけを考える時代はとうの昔に終わり、結局は策源地攻撃や防空制圧はじめ、つまり専守防衛の範疇でも敵の攻撃与点を爆撃し無力化する必要があるという現実が。

ファントムは、こうした議論の末に結局思ったよりも長く使ってしまった戦闘機、という印象が拭えないのですね。他方で、政治はもう少し例えば、用兵側である航空自衛隊が機種選定を完了できないならば三菱重工のF-2戦闘機の製造を延長する、というような。

F-2には制空戦闘任務偏重の航空自衛隊には一部懐疑的な意見があるといい、しかしそれでもこうした柔軟な選択肢でF-4をF-2に切替える努力をしてほしかったのですが、石破防衛庁長官時代の決定が響いていたのです。ここで日本の前例踏襲主義が響いたのではとも。

納税者に説明できないという石破防衛著長官の決定がそのまま覆されずに堅持されてしまいまして、当時は130機の生産計画を96機に縮小してしまいます、これが逆に思うのは、1950年代設計のファントムを2010年代以降も使う事が納税者への説明か、ともおもう。

F-2戦闘機を予定通り130機生産し、ファントムの耐用年数に併せて先ず一個飛行隊を置換え、まだ後継機が選定出来ないようならばFSX計画の時点での141機まで生産を戻し、そして二個飛行隊を中期防衛力整備計画で整備する、こうした選択肢はあってよかった。

RF-2戦術偵察機、こうした上でF-4後継機がF-35でもF/A-18E/FでもF-16Vでもストライクイーグルでもいいのですが、決定した後には増強したF-2戦闘機は逆にRF-4戦術偵察機の後継機と改修、改修といっても偵察ポッドを搭載するだけですが、使い道は幅広い。

ファントムをここまで長く運用する前提がもしあったならば、EJ改への改修に重ねて再度レーダーを換装しAPG-2のようなF-2と同等のレーダーに置換えるか、若しくはF-2のレーダー換装を急ぎ、降ろしたF-2のレーダーをファントムに積む選択肢はあったのでは。

F-2戦闘機はAAM-4運用能力付与が遅れ、セミアクティヴレーダー誘導方式のミサイルではAAM-4やAMRAAMのようなアクティヴレーダー誘導方式のミサイルよりも運用成約が大きくなってしまいましたが、F-2とF-4,同じレーダーを使っていれば話は変ります。

能力向上改修は、機種ごとに開発費用が決まりますので、開発費用を機数で割るならば機種当たりの保有数が多い方が有利です、すると、F-2とF-4が同じレーダー系統を使っていたならば、一つの改修プログラムで二機種を改修できる事になるのですね、費用を抑えて。

AAM-4やAMRAAMのようなアクティヴレーダー誘導方式のミサイル運用能力付与も、レーダーを統合するか機種を統合していたならば早められたのではないか、こう考えられるのです。しかし事情が在った、F-22の導入案の他に、防衛費を増やせないという事情が。

北朝鮮ミサイル開発が加速すると共に2006年には核実験を実施した事でミサイル防衛の優先度が高まり、しかし財政再建により防衛費を増やせない事で日本の防衛予算は新任務を前に非常に逼迫し、後周しさせる装備計画が多くなりました、ここに甘えたようにおもう。

ファントムは良い戦闘機なのですが2020年代に相応しい戦闘機なのかと問われますと、無人機母機やミサイル運搬機ならば兎も角、戦闘機として使いにはEJ改の性能では限界を超えていたように思う、予算が無いという言い訳とはいえ、政治は反省すべき命題でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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