現在、陸上自衛隊には生産中ものも含めAH-64D戦闘ヘリ×4 AH-1S対戦車ヘリ×89 OH-1観測ヘリ×18 OH-6観測ヘリ×162 CH-47J/JA輸送ヘリ×50 UH-60JA多用途ヘリ×23 UH-1J/H多用途ヘリ×158 のヘリコプターを運用中である。 これらのヘリコプターは、師団飛行隊と方面ヘリコプター隊、そして長官直轄の第一ヘリコプター団に配備運用されている。
しかし、現在、事実上の主力となっているUH-1Jの出力不足が指摘され、陸上自衛隊では後継ヘリコプターの必要性を提唱している。UH-1Jとは、対戦車ヘリコプターにも用いられているT-53-K703エンジンを運用し、従来のUH-1Hと比して出力を向上させた点が大きな相違点である。
UH-1Hとの相違点を他に挙げると、外見では機首部分の丸み、内装では夜間航法支援装置やIR警報機の装備等が挙げられ、総合的には著しい能力向上が為されている。
しかしながら、携帯SAMなどの性能が著しく向上した現在戦闘では、更なる高い能力が必要である。 1998年から、夜間飛行能力と1662馬力×2の強力なエンジンを搭載し、若干の防弾性能を付与したUH-60JAの調達が開始されたが、調達価格が35~48億円と非常に高価であり、調達は年間数機程度で遅々として進んでいない。 海上自衛隊では哨戒ヘリコプターSH-60Jと最新のSH-60K計96機が配備され、主力ヘリコプターとして護衛艦搭載や、陸上基地から運用が展開されている。 加えて、航空自衛隊と海上自衛隊で、救難ヘリコプターとしてUH-60JAが約40機運用されており、いわば生産ラインは充分維持されている為、陸上自衛隊に対する少数長期調達が為されている訳である。だが、12億円程度のUH-1Jと比して如何にもこれは高価であり、残念ながらUH-60JAに完全大体できる見通しは全く無い。
これに対して現在考えられているのは、UH-1を生産する富士重工が、独自にUH-1の近代化改修を行う方式であり、この方式はUH-1Jへの能力向上で既に前例がある。PANZER誌などでの報道において、想定されているのはUH-1Jの双発化である。 しかし、旧師団編成では師団飛行隊に対しては10機程度のOHを弾着観測用に配備していただけであるのに対して、95年大綱改訂から続く陸上自衛隊改編の一環として師団飛行隊へのUH配備が急速に進む中、特にUHの不足は将来的に否めない状況である。
価格上昇を事由に調達が遅々として進まない装備には、UH-60JAと並んで観測ヘリコプターOH-1がある。映画『戦国自衛隊1549』では大活躍の後アッサリ撃墜されたOH-1であるが、1996年初飛行、高い機動性と総合型索敵サイトの採用、空中戦能力の付与という高性能を追求した結果価格は24億円となり、配備は18機に留まっているのが現状である。
対して、更新すべきOH-6の機数は約160機に達し、とてもではないが完全代替は不可能である。
考慮すべき点としては、UH-60JA、OH-1といった装備は、前者は方面ヘリコプター隊での直轄運用、またOH-1に関してはAH-64Dとの共同運用と、方面ヘリコプター隊に配備し方面特科部隊のMLRSの支援運用などに限定するのが唯一の道のように思える。
また、師団配備のOH、UHに関しては、UHは富士重工による改修案を期待しつつ、同時にOH-6の発展的運用を可能にする装備を模索するべきである。例えば、写真の川崎BK-117は、ユーロコプター社との共同開発、軽装備人員11名を輸送可能であり、ユーロコプター社ではHOT対戦車ミサイルや索敵サイトを搭載した軍用型を提示、また日本でも道府県警飛行隊、警視庁航空隊などで運用される他、ドクターヘリとしても運用されている。
また、25~35名程度を輸送可能な、国際共同開発のS-92(日本も開発に参加)、また海上自衛隊が砕氷艦搭載用に、また掃海ヘリとして採用されるものである。
これら二機種は、アメリカ海兵隊で運用中で老朽化が進むCH-46(航空自衛隊で運用中のV-107救難ヘリと同型)の後継にも候補として挙げられている。
防衛大綱改訂以降、わが国は多様化する脅威に対応しつつも、緊縮財政という課題に向き合う必要性が高まっており、生産メーカーの変更など、可能な範囲内において考慮に入れる必要がある。従って、様々な選択肢から最良かつ柔軟な決定を下す必要があり、ここに幾つかを提示した次第である。
HARUNA
しかし、現在、事実上の主力となっているUH-1Jの出力不足が指摘され、陸上自衛隊では後継ヘリコプターの必要性を提唱している。UH-1Jとは、対戦車ヘリコプターにも用いられているT-53-K703エンジンを運用し、従来のUH-1Hと比して出力を向上させた点が大きな相違点である。
UH-1Hとの相違点を他に挙げると、外見では機首部分の丸み、内装では夜間航法支援装置やIR警報機の装備等が挙げられ、総合的には著しい能力向上が為されている。
しかしながら、携帯SAMなどの性能が著しく向上した現在戦闘では、更なる高い能力が必要である。 1998年から、夜間飛行能力と1662馬力×2の強力なエンジンを搭載し、若干の防弾性能を付与したUH-60JAの調達が開始されたが、調達価格が35~48億円と非常に高価であり、調達は年間数機程度で遅々として進んでいない。 海上自衛隊では哨戒ヘリコプターSH-60Jと最新のSH-60K計96機が配備され、主力ヘリコプターとして護衛艦搭載や、陸上基地から運用が展開されている。 加えて、航空自衛隊と海上自衛隊で、救難ヘリコプターとしてUH-60JAが約40機運用されており、いわば生産ラインは充分維持されている為、陸上自衛隊に対する少数長期調達が為されている訳である。だが、12億円程度のUH-1Jと比して如何にもこれは高価であり、残念ながらUH-60JAに完全大体できる見通しは全く無い。
これに対して現在考えられているのは、UH-1を生産する富士重工が、独自にUH-1の近代化改修を行う方式であり、この方式はUH-1Jへの能力向上で既に前例がある。PANZER誌などでの報道において、想定されているのはUH-1Jの双発化である。 しかし、旧師団編成では師団飛行隊に対しては10機程度のOHを弾着観測用に配備していただけであるのに対して、95年大綱改訂から続く陸上自衛隊改編の一環として師団飛行隊へのUH配備が急速に進む中、特にUHの不足は将来的に否めない状況である。
価格上昇を事由に調達が遅々として進まない装備には、UH-60JAと並んで観測ヘリコプターOH-1がある。映画『戦国自衛隊1549』では大活躍の後アッサリ撃墜されたOH-1であるが、1996年初飛行、高い機動性と総合型索敵サイトの採用、空中戦能力の付与という高性能を追求した結果価格は24億円となり、配備は18機に留まっているのが現状である。
対して、更新すべきOH-6の機数は約160機に達し、とてもではないが完全代替は不可能である。
考慮すべき点としては、UH-60JA、OH-1といった装備は、前者は方面ヘリコプター隊での直轄運用、またOH-1に関してはAH-64Dとの共同運用と、方面ヘリコプター隊に配備し方面特科部隊のMLRSの支援運用などに限定するのが唯一の道のように思える。
また、師団配備のOH、UHに関しては、UHは富士重工による改修案を期待しつつ、同時にOH-6の発展的運用を可能にする装備を模索するべきである。例えば、写真の川崎BK-117は、ユーロコプター社との共同開発、軽装備人員11名を輸送可能であり、ユーロコプター社ではHOT対戦車ミサイルや索敵サイトを搭載した軍用型を提示、また日本でも道府県警飛行隊、警視庁航空隊などで運用される他、ドクターヘリとしても運用されている。
また、25~35名程度を輸送可能な、国際共同開発のS-92(日本も開発に参加)、また海上自衛隊が砕氷艦搭載用に、また掃海ヘリとして採用されるものである。
これら二機種は、アメリカ海兵隊で運用中で老朽化が進むCH-46(航空自衛隊で運用中のV-107救難ヘリと同型)の後継にも候補として挙げられている。
防衛大綱改訂以降、わが国は多様化する脅威に対応しつつも、緊縮財政という課題に向き合う必要性が高まっており、生産メーカーの変更など、可能な範囲内において考慮に入れる必要がある。従って、様々な選択肢から最良かつ柔軟な決定を下す必要があり、ここに幾つかを提示した次第である。
HARUNA