今週末はいよいよ、富士総合火力演習である。富士総合火力演習は自衛官に対する現代船の様相を展示する目的で開始され、今日では同時に国民一般に対する自衛隊装備の広報を行う目的も有している日本最大規模の公開実弾演習でもある。
今回のネタ切れ救済企画は、昨年度の富士総合火力演習の写真から今年度の演習の様相を幾分かお伝えする企画である。自衛隊の公開行事としては中央観閲式や観艦式、航空観閲式などと並び一般公募制行事であり、これらの行事の競争率は、Web情報という媒体の広域化に伴い年々競争率を増している、同時にモラルの問題となるが入手した入場券をインターネットオークションで転売するなど、本来の目的とは異なる行為に用いられていることが、関係者の頭を悩ませていると聞く。
富士総合火力演習は、前段演習、後段演習と、装備品展示に分けて実施され、航空作戦、攻撃準備射撃や突撃破砕射撃、戦果拡大という野戦における一連の流れを劇場映画一本分の時間に凝縮したもので、特に陸上自衛隊最新装備の数々を一度に観る事が出来るという事で人気の行事である。写真もその一つ、観測ヘリOH-1で、方面隊直轄のヘリコプター部隊や師団旅団に広範に装備されているOH-6観測ヘリの後継として開発され、対戦車ヘリコプター隊用に配備が進んでいる。
演習を実施する富士学校は、普通科、機甲科、特科の幹部教育を行う自衛隊の教育機関で、その教育や戦術研究を行う実動部隊として、富士教導団を隷下に有している。富士教導団は人員約4500名、90式戦車や89式装甲戦闘車など、機械化旅団に匹敵する強力な装備を有している。写真は120㍉滑腔砲を射撃する90式戦車で、自動装填装置を活かした行進間射撃を実施中の様子である。写真であると行進間射撃とは判別できないが、同時に収録した動画では行進間射撃である事が確認できた。
一般公募ではあるが、実に30000名以上の観客が訪れる行事で、会場は0700時頃から観客が入り始め、演習開始が迫る0945時頃には広大な観客席が一杯となる。こうした関係から、雨天でも傘が使えないという点や、水分補給の怠りから来る脱水症状に注意しなければならないという注意点があるが、特に後者は深刻で、昨年この写真を撮影した直後にも女性が担架で運ばれていく様子が見られ、会場外で救急車に収容され搬送されていた。折角遠征したにもかかわらず熱中症で退場、とならないように注意が必要であろう。
92式地雷原処理車のロケット発射の瞬間(今年豪雨の東千歳で撮り損ねた代表例)。戦車砲や特科火砲は毎年実弾射撃に参加するが、対戦車ヘリコプターのTOW対戦車ミサイル発射や、96式多目的誘導弾の発射などは年度ごとに実施されたりされなかったりという事がある。今年度は何が用いられるかは当然いってのお楽しみということであるが、会場に到着したらばアナウンスが示す発射地点が地上に文字として書かれているため即座に覚える事が必要である。こうした努力が、次の発射の位置を瞬時に判別し、満足いく写真撮影につながるのだ。
35㍉機関砲を発射する89式装甲戦闘車。砲焔(といえるかな?)の撮影は技量以上に運が必要なものとなるが、撮れた際の喜びは非常に大きいものである。
今年度、富士に展開される皆さん、来年こそはと思う皆さんも良い写真が撮れるよう健闘をお祈りします。
HARUNA
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