北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南シナ海緊張緩和目指しASEAN・中国高官協議、インドネシアで開始

2011-07-20 23:35:59 | 国際・政治


南シナ海のシーレーン自由確保は日本が今後生き残る上でも重要な命題となります。しかし、この海域が世界的にも大きな不安定要素を抱える国際係争海域である事も事実です。この問題について、現在インドネシアにおいて会合が開かれています。

南シナ海問題の指針で合意 中国・ASEAN高官協議・・・ 【ヌサドゥア共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)は20日、一部加盟国と中国が領有権を争い緊張が高まっている南シナ海問題をめぐり、インドネシア・バリ島ヌサドゥアで中国と次官級の高級事務レベル協議を開催。2002年に双方が署名した「南シナ海行動宣言」の履行に向け、今後の協力の在り方を定めるガイドライン(指針)で合意した。
 ASEAN側は、この合意をステップに双方が歩み寄りの機運を高め、法的拘束力のある行動規範策定のための協議を早急に中国側と始めたい意向だ。しかし中国は行動規範には消極的な姿勢で、協議入りできるかどうかが今後の焦点となる。2011/07/20 12:27   【共同通信

http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011072001000196.html

今回のASEAN中国高官会議は、東南アジア地域に現在大きな懸案となっている南シナ海の領有権問題、いわゆる南沙諸島問題を大きな課題としているところが注目です。当事者のみの解決を求める中国と、日米を引き込みたいASEAN諸国との間での合意形成は難しい部分があるのですが、中越間での巡視船との摩擦や中比間ではフィリピンが不法占拠されているミスチーフ環礁周辺での行動の度合いを強める等動きがありまして、同じく海底資源に関わる領有権では東シナ海での日中関係における摩擦でも今後の関係について、その一考の余地を提示してくれる可能性もあります。
実のところASEAN地域フォーラム、そして2006年に開催された国防大臣会合の初開催を以て安全保障分野へのレジームとしての機能を付与された国際機構にあって、本格的な国際紛争の解決主体となり得るのか、という視点から見れば今回の高官会合は日本で報じられている以上の重要な意味を有しているといえましょう。本来の国際機構に目的とされていなかった分野での命題が、別の国際的枠組みでの討議の延長上に一種の波及効果として影響を及ぼす事例は、欧州安全保障協力会議等を筆頭に少なくない実例があるのですが、こうした枠組みに加入していない中国と、ASEANとの関係と討議により生まれる規範がどのように国家間の慣行を創設するのかについても重要視する必要があるでしょう。

北大路機関:はるな

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