北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

電力不足!航空自衛隊全国の飛行訓練は来月二週間停止、基地停めて15%節電期す

2011-07-14 22:42:16 | 防衛・安全保障

◆訓練計画に影響、夏季休暇期間倍増させ節電

 京都は祇園祭宵山の宵宵宵山を迎えたのですが、一方でちょっと気になる記事が中日新聞に掲載されていましたので引用します。

Img_7201 空の守り 節電 小松基地など訓練休止:2011年7月13日・・・照明を一部消した夕食時の食堂。気温の高い昼食時にはTシャツ姿の隊員も=12日、石川県小松市の航空自衛隊小松基地で・・・全国一斉 来月2週間 夏の電力需要ピーク時に合わせて、全国の航空自衛隊の戦闘航空団が一斉に飛行訓練を二週間にわたって休止することが分かった。原発事故の影響で心配される電力不足を防ぐため、空自も全面協力する。全国を統括する入間基地(埼玉県狭山市)の部隊の指示で、石川県小松市の小松基地も異例の長期訓練休止となる。(浅井貴司)

Img_7205  空自は東京電力、東北電力管内の基地などで七~九月、最大使用電力を昨年のピーク時より15%削減する目標を立てている。訓練の全国一斉休止はその一環で、入間基地の部隊が全戦闘航空団に八月八日から二十一日まで原則、飛行訓練を行わないよう指示した。 小松基地は北陸電力管内だが、訓練は入間基地の支援のもとで実施されるため、全国の基地と同様、同調して休止することが求められた。小松基地の休止で、東京電力管内の入間基地の使用電力を抑えることができる。 小松基地は例年八月中旬に隊員が夏季休暇を取るため、約一週間訓練を休止してきた。

Img_8830 今年はさらに一週間、休止期間を延ばす格好。対領空侵犯措置の緊急発進(スクランブル)や災害派遣の飛行は例外とするが、そのほかの飛行が一切なくなることで、通信機器や、待機所で使用する照明、エアコンなどを使わずに済む。 期間中は、基地所属で事故時の救助活動に当たる小松救難隊の訓練も見合わせる。 小松基地も独自に最大使用電力15%削減の目標を定め、節電に努めている。基地内の使用電力が昨夏のピーク値に近づくと電力量に応じ五段階の警告を出し、あらかじめ決められた照明や通信機器などの電源を切る体制をとっている。整備員に食堂でのTシャツ着用を認めるなど、服装規定も緩やかにした。 鶴田真一基地司令は「任務遂行能力、勤務環境に支障を来さずに、知恵を絞って目標を達成したい」と話している。http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2011071302000137.html

Img_8980  航空自衛隊の基地訓練も節電によりここまで制約を受けるのか、と少々驚きましたので記載しました次第。厳密には引用した中日新聞の記事にあるように夏季休暇を延長した、という規模なのですけれども技量維持と飛行時間は表裏一体の関係にありますから必要あ飛行時間を確保するために一週間の訓練停止は後々少なくない影響となって表面化する事だけは間違いないでしょう。夏季休暇を延長ということで対応できているのは分かるのですが、大学なんかは1セメスター15講義を義務化されていて、そののちの休暇に集中講義などを織り込んでいるので大変だな、と最初思っていたのですが航空自衛隊にも訓練課程はある訳でして、戦闘機部隊が停止とあるのですが救難部隊も訓練を停止するとのことですから、大丈夫なのかなと非常に心配、このほか戦闘機部隊には技量維持とういう任務がある航空自衛隊も同様に大変なのだな、とも。

Img_9230  他方で休暇を延長するという方針を立てているのですけれども、休暇である以上は要員充足率も低くなる訳でしてこの時期に大規模災害が発生した時の対応能力の低下等を加味して考えた場合、これはそうとう危ない綱渡りを行うのだなあ、と思う一方で全国の基地で一斉に休止を行う、ということは安全保障上にも大きな問題を秘めているのだといえます。災害は台風以外は奇襲のかたちを採ってきますので、輪番休暇制度を採ることはできなかったのか、またお盆の時期は他の製造業も休止するのだから電力需要は逼迫していないのでは、とも思ったりしていまして数字が独り歩きしているのではないかとの印象もあります。

Img_9286  15%削減、普段から節電を心がけている自衛隊にあっては、ちょっと難しい、簡単ではない数字かもしれませんね。ううむ、昨日の記事を合わせて考えますと、首相も航空自衛隊の基地を始め駐屯地などに自力での電力供給が可能な規模の太陽光発電装置を設置するように防衛費以外で予算を計上してくれればいいのに、と思ったりします。まあ、昨日記事に紹介した事は野党は勿論与党からマスコミ、そして国民に至るまでスルーされていて、北大路機関は所謂“釣られた”かたちにはなってしまったのですが、ね。一つの基地あたり30~50億円ほど二次補正予算に含めてくれれば達成できますよ、とも。実際にやってみれば如何に多くの予算を必要とするか理解して、諦めるかそこまで知識が回らなければ財務省と防衛省が中止させるのでしょうけれども。

Img_9289  冗談はさておき、有事の際の発電所破壊などによる電力不足を想定しますと、電力の自力確保に関する装備体系はア必要である、という事を今回示してしまったようにも思います。単に費用面の問題から発電装置があっても稼働させないだけなのかもしれませんが、これは一つの脆弱性と言えるかもしれません。有事の際には訓練飛行は中止になるのでは、と思われる方も言えるかもしれませんが有事の際には任務飛行がその分増大しますので、結局電力不足という事は是正しない限り自衛隊の能力全般に対する問題点を解決する事にはならない訳です。

Img_9207  電力不足は日本の復興計画にも大きく関連する事なのですが、産業だけではなく防衛にも影響が出始めている。そんな末期状態に近いにもかかわらず政府に危機感が無い、痛みをこらえるという言葉は小泉内閣時代に掲げられていましたが今は痛みをこらえているとそれだけ我慢できるならば、ともっと痛みを持って来られる、そういうのも患部が膿んでいる事を放置されているのですからね。何しろ鳩山内閣は宇宙人内閣と言われていたのですが辞意を表明したのちに一向に辞めない菅内閣は言葉が少々悪いですが、ゾンビ内閣というのでしょうか。

Img_9354ゾンビですから患部が膿んでいても自らは腐っているのでお構いなしということなのでしょうか、こういうゾンビが政権中枢から復興遅れと原発対処遅れ、電力不足により復興遅れを更に加速している状況で、ツケは国民と日本に関係ある人々すべてに及び、毎日毎時日本が明治維新以来築き上げてきた信頼と実績を食いつぶしています。こうして、世界に環境面と経済面と外交面で脅威を振りまいている状況。ゾンビなのだから知性は無いのだろうか根回しも何もない中耳触りの良い政策だけを一つ覚えのように掲げているのですから前に進まない。電力不足は復興と並び最重要課題であり、この対処を誤ればこの国の在り方そのものに大きな影響が出てしまう、という事を認識してほしい、と痛感します。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (8)
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