◆熱気冷めぬ中、疾病祓いへ願いを込めて
西日本へ大型台風が接近する中、今朝の京都は雨天でしたが、神幸祭、昨夜北大路機関記事作成後に撮影した写真を交えその勇壮な模様を紹介したいと思います。
山鉾巡行が終わりますと遠方からいらした方の多くは帰路についてしまうのだけれども、神幸祭が行われます。こちらはしっかりと見ていますと市内でも終バス以降まで掛かる場合があるので、帰りの足は確認しておかないとあとで困ったことになる場合もあるのですが。
さてさて、祇園祭は八坂神社の神事です。ところが山鉾巡行は山鉾がどれも八坂神社に行きませんし、そもそも加茂川を越えて八坂さんへ向かう事もありません。それでは山鉾巡行とはどういう意味合いなの?と思われるかもしれないのですが、実は神幸祭と大きな関係があります。
山鉾巡行は長刀鉾を先頭に四条烏丸を四条河原町から御池通りへと京都市街の中心部を巡行します、これが実はお清め、という意味があるのです。疾病祓いとして神様が渡るのに先立ち、まず山鉾が市街地を回って神幸祭を行う準備をしている、という訳なのですね。
八坂神社で神幸祭が山鉾巡行が行われたその日の夕刻に始まるのはそういう意味があります。ここ、八坂さんで神幸祭の始まりを撮影した事があるのですけれども、祇園囃子とともに進む山鉾巡行の京都らしい、なんというかゆったりとまったりとした様子とは対照的なのが印象的。
暴れ神輿といわれるのが神幸祭の神輿なのですが、三基の神輿、とにかく吶喊を歓声と怒号と勝鬨、そういう印象で若い衆が気合を入れられながら重い乗用車よりも重い神輿を担いで市内を練り歩きます。神輿には神様が四条の御旅所まで向かわれる役目があるのですが、周りが荒い。
神幸祭に先だって、斥候のように先を走って、例えば歩道で露天に出ているお店の品物や、店舗の場所を示す看板などを店主や店員に仕舞うよう促します。どーなってもしらんぞぉー、といいながら、看板やら品物やら退避させるのですが、神輿は車道を往くのに暴れ神輿だから歩道のものは破損する危険があるとのこと。
市内を何度も回りまして、ざっと五時間以上を掛けて三基の神輿が八坂神社から四条の御旅所に向かうのだけれども、考えれば山鉾巡行が0900に四条烏丸を発って1330には新町通りへ戻ってゆくので、五時間弱、神幸祭の方が時間が掛かっている訳です。
市内を何度も、というのは、神輿とともに神幸を京都市内に行き渡らせている訳でして、夕食を摂っていても一杯やっていても近所を神幸祭の行列が往く時にはその歓声と掛け声で、おお神幸祭の神輿が来たか、と分かる訳だったりするのですがまさに昨日の北大路機関記事を作成していたのがそんな感じ。
神輿は山鉾巡行の勇壮な行事の交通規制を解かれて僅か半日の四条通りを再度京都府警が封鎖して、執り行います。暴れ神輿ですから、御旅所の前に到達しても何度も集まった観衆の前を幾度も幾度もその姿を示威して御神光を強調します。・・・、が此処の前を1900に通った時に既に場所取りをやってる人が居て、しかしこの前にやってくるのは2300、長い待機時間。
山鉾巡行はその観覧に足を運んだ人はざっと20万、宵山の46万よりは少ないですけれども毎年山鉾巡行は12~15万くらい、宵山も30万前半というくらいだから今年は土日に宵山と山鉾巡行があった分集まった観衆が多かった、ということなんだけれども、市内を何度も回る神幸祭は見学者どれくらいなんだろう、家の前に来れば皆さん玄関に出てきますからね。
掛け声とともに三基の神輿がそれぞれ時間をじっくり掛けて御旅所へと宮入りになり鎮座します。こうして八坂神社の神様が京都の中心部に御成りになった訳でして、その御利益は真下を走る阪急京都本線を経て大阪神戸へ、・・・、いやなんでもないです。
神幸祭の神輿は還幸祭にて、また暴れ神輿として町々を巡り八坂神社へと戻ります。7月1日に吉符入として始まった祇園祭は、2日の籤取、7日の綾傘鉾稚児社参、10日の神輿洗と山建てと鉾建ての始まり、13日の長刀鉾稚児社参、14日からの宵宵宵山と15日の宵宵山、16日の宵山と17日の山鉾巡行、そして神幸祭と進んだ祇園祭。
24日には午前中に花傘巡行が行われ続いて還幸祭として御旅所から神輿が八坂神社へ向かいます。そして28日には神輿洗いの神事が執り行われ、31日には疫神社夏越祭が執り行われる事で一ヶ月間に渡る祇園祭が幕を閉じる訳でして、これが祇園祭が今日も続いています、という事の背景。
交通規制が解かれた後の四条御旅所。神様が鎮座しており参拝客も深夜ながら足を運んでいます。時刻は2330を回っており、まもなく0000が見えてくる頃、神幸祭はこうして祇園祭の重要な一幕を果たしたのですが、まだまだ残っている熱気は歴史の重みとともにこちらに伝わってくるようでした。
北大路機関:はるな
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