■佐世保基地、西海防衛の要衝
北大路機関創設六周年ということで、その発足の地神戸から一挙に昨日長崎空港へ飛びました。本日は就役三十周年の護衛艦くらま、が停泊する佐世保の散策紀行。
ヘリコプター護衛艦くらま、そして護衛艦ゆうだち。満載排水量7200トンと長く海上自衛隊最大の護衛艦という地位を担ってき護衛艦くらま、は1993年のイージス艦こんごう就役とともに最大の護衛艦という地位を譲り、続く満載排水量10000トンのイージス艦あたご型、新世代のヘリコプター護衛艦ひゅうが、いせ、の満載排水量は19000トン、時代の変化というものを考えさせられます。しかし、くらま、同時多発テロ後のインド洋海上阻止行動支援任務では第一次派遣部隊旗艦を担い、中国原潜への初の海上警備行動でも旗艦を担いました。
くらま、ゆうだち、その背景にみえるのは真珠湾攻撃の命令を発信した通信塔でしょうか、佐世保は旧海軍の一大拠点であり、日本史において重要な転換点にあった場所です。現在では米海軍の極東地域における最大規模の拠点としての地位とともに海上自衛隊による朝鮮半島と南西諸島地域における最大規模の抑止力として機能しています。この地域における緊張の拡大を反映するかのように護衛艦は大型化を続けたのでしょうか、くらま満載排水量7200トンに対し汎用護衛艦ゆうだち、は6200トンに達します。
弓張岳から臨んだ補給艦と護衛艦。左端は補給艦はまな、とわだ型補給艦の三番艦で一隻で八隻から構成される一個護衛隊群を支援する能力をゆうする艦隊補給艦。イージス艦であるミサイル護衛艦こんごう、がその隣に停泊満載排水量9500トンでイージスシステムを搭載、高度に自動化され広域の多目標同時対処能力を有する非常に重要な護衛艦。続いて並ぶ二隻は双方とも、むらさめ型護衛艦で、きりさめ、ありあけ。汎用護衛艦にステルス性と各種装備を連続発射機能に優れた垂直発射装置VLSに改めた護衛艦隊の主力艦。
ミサイル護衛艦しまかぜ、従来型の艦隊防空を担うミサイル護衛艦として最後に建造されたはたかぜ型護衛艦の二番艦で、ターターシステムによりスタンダードミサイルを運用する護衛艦、多数の武装を搭載し外見は非常に勇ましいのが特色。・・・、とは書いたのだけれども艦番号が確認できない一ナノはご愛敬。隣に停泊しているのは護衛艦あけぼの。・・・、先週は舞鶴基地の沖合に停泊していたような気がしますが、今週は母港佐世保基地に停泊、考えてみれば、くらま、も先週は名古屋港にいたわけですがね。
エセックス。ワスプ級強襲揚陸艦の二番艦で満載排水量40236トン、海上自衛隊が運用する輸送艦おおすみ型の三倍以上という巨大な揚陸艦で両用戦艦艇としては世界最大、全長は257メートルありAV-8攻撃機最大20機を運用し補助空母的な運用が可能であるのに加えCH-53輸送ヘリコプター等ヘリコプター40機を搭載可能、戦車を含め各種車両100両と約2000名の兵員を輸送可能。ヘリコプターと艦内に搭載する三隻のエアクッション揚陸艇LCACにより三次元の揚陸作戦を展開可能、今海上自衛隊に最も必要な装備かも。
ホイットビーアイランド級ドック型揚陸艦ハーパーズフェリーが停泊しているのが見えるでしょうか。ホイットビーアイランド級ドック型揚陸艦はLCAC四隻を運用する揚陸艦として設計されたのですが、このハーパーズフェリー以降はLCACの運用能力よりも兵員や貨物、車両などの輸送能力を重視しLCACの搭載能力を二隻としたのが特色で、本艦以降をハーパーズフェリー級と区分することもあるようです。満載排水量16600トン、おおすみ型輸送艦と比較し一割程度大型の輸送艦です。エセックスとともに東日本大震災救援に参加。
あさぎり型護衛艦は佐世保重工SSKのドックに入り定期整備を行っています。なんとも佐世保は気候がよく護衛艦の維持には向いているとのこと、佐世保史料館で本日初めて聞いたのですが舞鶴は雨天が多く、塗装を施した際に乾ききる前に雨が降ってしまい、錆の原因になってしまうとのこと、ううむ、技本はステルス塗料もさることながら護衛艦の寿命を延ばす事ができるような速乾性と防錆能力のある塗料を開発しなければならないのかな、と思ったりもしました。
なんだろう、このオブザベーションアイランドみたいな一隻は・・・。17000トンの弾道ミサイル追跡艦オブザベーションアイランド、北朝鮮が弾道ミサイル試験を行う際に監視へ日本に展開する艦で、なんとなく似ているな、と思うのですけれども艦首部分のクレーンの有無とかが違うので何とも言えないんですが、このほか音響測定艦が何隻か停泊していました。そしてドック型揚陸艦がドック入り、定期整備に入っていたりもしました。佐世保、ちょっとミステリアスな部分もあり、散策してみると意外な発見がありましたよ。
北大路機関:はるな
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