北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省入停、三菱プレシジョン・三菱スペースソフトウェア・三菱電機特機システム・太平洋無線

2012-02-25 22:30:18 | 防衛・安全保障

◆水増請求定義に妥当か?公平化を図れるのか?

 防衛省の防衛装備品について1月末に発覚した三菱電機地対空誘導弾と特科情報装置の水増し請求疑惑に続いて新たに四社が加えられ入札停止となりました。

Img_7403h 三菱プレシジョン、三菱スペースソフトウェア、三菱電機特機システム、太平洋無線、以上の四社が装備品の水増し請求の疑惑があり、防衛省により事実関係の判明と再発防止策が徹底されるまでの期間に入札停止処分となりました。特に事実解明へ向けて防衛省はこの四社に対しての特別調査を実施するとのこと。防衛省発表では三菱電機に関しても再発防止措置が採られるまでの間入札を停止する、としているのですが、防衛省発表を確認しているところ再開された、という話は出ていません。

Img_9177h どういった水増し請求がどの程度の金額で行われていたか、装備品水増し請求の内容を列挙しますと、三菱プレシジョンはF-15戦闘機用シミュレーション装置維持費の2009年度契約分2000万円の一部、三菱スペースソフトウェアはペトリオットミサイル品質確認試験の契約額2000万円の一部、三菱電機特機システムはレーダー部品修理に関する2009年度契約5億3000万円の一部、太平洋無線では航空機自動方向探知装置修理としての2010年度契約160万円の一部とのことです。

Img_6565_1h 今回の水増し請求は、まず、防衛省が金額の上限を示して契約を行い、仕事量が契約の上限金額を下回っていた場合には残金を返金するという方式なのですが、契約金額上限となるよう三菱プレシジョン、三菱スペースソフトウェア、三菱電機特機システム、太平洋無線の各社において、契約作業と無関係である作業員をシフトして作業を行っているようつじつまを合わせ、返還すべき金額を圧縮していた、というもの。上限を超えていないのであれば、特に生産ライン維持費など人件費以外にも費用を要するのですし、問題なのでしょうか。

Img_7482h もちろん、不正という契約になっているならば致し方ないのですが、防衛省の生産基盤維持費の計算方法が、適切であるのかという疑問があるのです。防衛省の管轄ではなく私企業に整備を委託しているのですが、作業手数料に関する人件費と材料費以外に、国有地で工廠を開いているのではないのですから、生産基盤の維持費や工場の運営費というものがかかります。ここが請求する手順について、どうもよくわからないのですが、ここを補うためにこうした手順を採っている、という話、ではないのかな、と。

Img_2645h そして何よりも疑問なのは、公平性を担保できるのか、ということです。特に現在はF-35戦闘機の問題がりますので、防衛省の内弁慶は避けねばなりません。今回は、防衛省が監査、特別監査を行うことが出来る工場でしたから、勤務に関する情報開示の要求や、作業手順に関する特別調査の実施を行うことが出来ましたが、同じことをロッキード社のパームデール工場に対して行えるのでしょうか。即ち、日本の防衛省が支出した金額のうち無関係の費用、日本の戦闘機と無関係の仕様に関する開発に支出されていないのか監査できるのか。

Img_1730h_2 この点が重要で、日本国内の企業にのみ非常に苛酷な採算性を求め、海外の企業に対しては国民の血税を流出させ続ける、というのでは全く無意味の事となります。まず第一に、上限金額以上の整備費や調達費用を防衛省に要求した、とすれば悪質な水増として市場から排除するべきですが、金額内で要求項目のない必要経費を求める、という構図があったならばこれは水増とは言えません。また、厳しくすることは一考の余地があるとして、同じ厳しさの監査を海外の防衛産業に対して行えるのか、公正を保てるのか、ということ。

北大路機関:はるな

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コメント (12)
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