◆満載排水量は24000t乃至27000t
朝雲新聞によれば、しらね型護衛艦を置き換える平成22年度護衛艦について神奈川県のIHIマリンユナイテッド横浜工場において起工式を迎えたとのこと。
新護衛艦、写真は最新鋭の護衛艦いせ、ですが、現在日本最大の護衛艦ひゅうが型は基準排水量13950tと満載排水量19000tに対し22DDHでは基準排水量19500tで満載排水量は24000t、任務によっては25000tから27000tに達する空前の護衛艦となる模様で、艦載機も護衛艦ひゅうが型ではSH-60Kなど航空機約10機に対し、22DDHでは14機となるとされています。朝雲新聞によれば常備航空機はSH-60Kが7機とMCH-101が2機となっていて、航空機運用能力が大きく強化されます。一説には飛行甲板も強化されているという話もあるほど。
飛行甲板にはヘリコプター発着スポットが五機分配置されていて、全長も護衛艦ひゅうが型よりも50m延長されているのですが、特に飛行甲板上にはミサイルを運用するVLSが配置させていないことから、ひゅうが型護衛艦では特に飛行甲板後部のVLSにより制限されていた航空機の飛行甲板係留が行うことが可能で、完成予想図にも飛行甲板に係留航空機が描かれています。米ニミッツ級原子力航空母艦の格納庫収容能力は全体の四割とされ、この数字を参考に甲板係留を考えた場合30機以上の搭載も可能となるやもしれません。
ひゅうが型護衛艦は国産多機能レーダーFCS-3を搭載、後部16セルのVLSに発展型シースパローESSMを最大64発を搭載し、20mm高性能機関砲CIWSや短魚雷発射管を搭載していますが、新しい22DDHにはFCS-3よりミサイル管制装置などを簡素化した国産のOPS-50を搭載、他方VLSを断念しシーRAM近接防空艦対空ミサイル10連装発射装置と20mm高性能機関砲を各二門搭載する、航空機重視とは対照的に個艦防空能力へ割り切った装備となりました。
ひゅうが型は全通飛行甲板型大型駆逐艦、満載排水量で19000tありますので全通飛行甲板型航空巡洋艦とすべきやもしれませんが、22DDHは近年の多機能航空母艦の一類型にある戦力投射艦というべき性能を有しています。これは第一に陸上自衛隊の同乗者を含め970名を定員としていることで乗員は470名とされますので500名の部隊を乗艦させることが可能。加えて新たに埠頭などから火砲や車両を搭載可能なサイドランプを設置する構造、必要に応じて陸上部隊の投入を支援できる設計を採っているのが特色と言えましょう。
しらね型護衛艦は基準排水量5200t、満載排水量7200tと1980年代の護衛艦としては破格の大きさではありましたが、ひゅうが型の19000tと大型化し、航空機運用を重視した結果20000tを超える大型艦となったわけですが、新護衛艦は再来年早春に進水式を迎え公試も再来年度には恐らく開始、2015年には就役することになります。2040年代から2050年代までは現役に置かれる護衛艦となり、長大な飛行甲板に搭載され運用される航空機はどういった機種となるのでしょうか。
22DDHは二番艦の予算も平成24年度予算に盛り込まれており、護衛艦しらね、くらま、を2017年までに置き換える構想、同時に護衛艦隊には護衛艦ひゅうが型二隻を含め四隻の全通飛行甲板型護衛艦が揃うことになります。気になる艦名は、このあたりが決め手というべき一隻、現在の大型護衛艦が旧国名を採用していますので連合艦隊旗艦を務め第二次大戦を戦い抜いた戦艦長門、世界海戦史に特筆された空母機動部隊である南雲艦隊の一員として戦った空母加賀があり得るのでしょうか、そして二番艦に呼称を戻し空母赤城の名を継いでくれれば、とおもうのですが、どうなるのでしょうか、いまから注目してゆきたいところです。
北大路機関:はるな
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