北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

特集:平成27年度防衛予算概算要求概要24 主要装備品Ⅰ

2014-12-01 23:54:26 | 国際・政治
◆主要装備・航空機調達要求

 特集:平成27年度防衛予算概算要求概要、OCN版北大路機関よりgoo版北大路機関へ移転後初の連載再開です。

 これまでは装備品を主要事業の面から導入する背景などを紹介してまいりましたが、いよいよ年末となり概算要求画定までに連載を完結できますよう、今回からは具体的装備の主要装備品要求について各装備を順番に掲載してゆきます。主要装備品は航空機について、最初に陸海空を順番に掲載することとしました。

 陸上自衛隊の調達航空機は、ティルト・ローター機で機種選定中で加えて、輸送ヘリコプター(CH-47J)の勢力維持改修が3機が140億円で要求、27年年度に要求される航空機は陸上自衛隊では以上の通りで、ティルト・ローター機は可動翼機と訳していますが固定翼機に含まれるか回転翼機に含まれるか、前者であれば防衛予算概算要求としてはヘリコプターの新造が要求されない非常に稀有な年度となります。

 ティルト・ローター機は11月21日付報道、朝雲新聞などでV22と報じられており、当初の予想通りMV-22が導入されることとなります。この機体は九州に配備され、有事の際には南西諸島への九州からの展開を指向しているようですが、大きな航続距離はこれを担保する反面、AH-1S対戦車ヘリコプター後継機のAH-64D戦闘ヘリコプターや、OH-6D観測ヘリコプター後継機等の重要課題が放置されたかたち。

 海上自衛隊の要求は固定翼哨戒機P-1が20機を3781億円で、哨戒ヘリコプターSH-60Kの5機が289億円で、固定翼哨戒機(P-3C)の機齢延伸3機が11億円で、哨戒ヘリコプター(SH-60J)の機齢延伸を2機10億円にて、固定翼哨戒機(P-3C)搭載レーダーの能力向上4式は9億円、固定翼哨戒機P-3C赤外線探知装置の能力向上4式を1億円にて要求されました。

 P-1哨戒機の取得以外は新規導入の航空機よりもやはり延命改修に重点が置かれているところから、機数の維持への努力の難しさが垣間見えるところです。他方でP-1哨戒機の一括取得により長期的な取得数低減を担う事となっていますが、一か年でこれだけの機数を取得するよう要求した、という点は対外的に大きな印象を与える事となるでしょう。

 航空自衛隊関連としまして、戦闘機F-35Aが6機959億円、戦闘機F-15近代化改修8機を101億円、戦闘機F-2空対空戦闘能力の向上部品9式2億円、戦闘機F-2へのJDCSF搭載改修が2機7億円、救難ヘリコプターUH-60Jを2機82億円、新早期警戒(管制)機は機種選定中となっています。早期警戒管制機E-767の能力向上へ部品1式137億円、輸送機C-130Hへの空中給油機能付加へ部品一式14億円、滞空型無人機については機種選定中、と。

 F-35戦闘機は26年度調達の4機に加え6機が要求され、合計10機となりました、縮小編制の飛行隊、米海軍空母航空団飛行隊程度の小型飛行隊の水準になったと言え、来年度に今年度乃至昨年度と同程度の概算要求が提出され実現したならば、ようやく一個飛行隊を編成することが出来、F-35へのマザ-スコードロンを編成することが実現、旧式化が物凄いF-4EJ改は要求され導入され、配備される順調に行って2019年度頃までは交代を開始できません。

 新早期警戒(管制)機は早期警戒機ではなく、自衛隊では永らく空中警戒機というような呼称も用いていましたが、早期警戒管制機という呼称が用いられていたため、早期警戒機に区分されるE-2Cの後継機として同型機の後継機として完成したE-2Dか、それともより大型のE-737AEW&Cか、と話題になっていましたが、こちらは11月21日付報道にてE-2Dへ選定されたところは皆様ご承知の通り。

 滞空型無人機は、こちらも11月21日付報道にて、グローバルホークを導入する旨防衛省発表が報じられ、こちらも当初からグローバルホーク以外、長時間滞空し、且つ自衛隊が要求する広範囲の情報収集に充てる航空機は考えられなかったことから妥当なところ、と言えるでしょう。RQ-4グローバルホーク、MV-22オスプレイ、そしてE-2Dホークアイ、概算要求の機種見て行きの決定三機種が来年度航空機導入の目玉となります。

 概算要求にRQ-4グローバルホーク、MV-22オスプレイ、E-2Dホークアイ、導入の具体的数量は明示されなかったため、こちらについては別稿に譲りますが、新規調達は概算要求の時点で三機種を除くと陸上自衛隊からは航空機0機、海上自衛隊は25機、航空自衛隊は8機、心臓は僅かこの水準であり、防衛産業を維持するには新造機という意味で心もとない水準と言えるやもしれません。

 前年度やその以前などの一括発注分があるので、今年度少ないのは当たり前、という指摘はあるかもしれませんが、今年度もP-1等は一括発注しましたから、今年度は一括発注の影響があり少ない、という論法は成り立たず、陸海空併せ33機、ここに新機種は入るのですが概ね海外からの有償軍事供与となるものであり、防衛産業の立場に立つ場合、この調達数は少々考えさせられるのではないか、と言えるでしょう。
北大路機関:はるな
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コメント (1)
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