北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

将来艦隊戦闘と巡航ミサイル【5】 潜水艦へ配備、日本本土への大規模攻撃を抑止する新しい一歩

2016-09-07 22:58:20 | 先端軍事テクノロジー
■トマホーク射程3000km
 射程3000kmのUGM-109E,UGM-109H、海上自衛隊は毎年1隻の潜水艦を建造しており潜水艦は22隻の潜水艦定数が防衛計画の大綱に必要な防衛力として明示されています、が、潜水艦の寿命は諸外国では概ね30年程度です。

 海上自衛隊は老朽化による船体構成鋼材の劣化等から潜水深度への影響、船体変形等による水中騒音増大等を念頭に比較的早い時期に潜水艦を御咳させています、が、潜水艦運用を護衛艦並に32年とすれば10隻の潜水艦の余剰が発生しますので、この10隻の潜水艦を魚雷の大半と対艦ミサイルの全てを降ろしてUGM-109E,UGM-109H巡航ミサイルを搭載させる。

 こうして、日本近海の防衛上有利な海域、近傍に護衛艦部隊や対潜航空部隊が展開し防護が可能な海域、一例として相模湾や遠州灘、周防灘や日向灘、若狭湾や富山湾、天草灘や五島列島近海、陸奥湾や噴火湾、などに潜行させ有事の際に第一撃で破壊されないよう遊弋させる、これは我が国防衛を我が国独自の抑止力を強める次の一歩となるでしょう。

 日本本土への着上陸事案に題しては着上陸地域の上陸橋頭堡に対する巡航ミサイル攻撃を、日本本土への大規模な巡航ミサイル攻撃が実施された際には更なる国土への攻撃と国民への被害を阻止するべく敵巡航ミサイル部隊基地へ射程3000kmの長射程を活かし反撃できる能力を誇示する事で、使わずとも済むよう抑止力を構成する、という運用を想定しました。

 3000kmの射程は小笠原諸島付近を航行している場合でも朝鮮半島全域を射程に収める事が出来ますし、天草灘周辺を遊弋させるならば仮に中国本土からの戦略爆撃機によるミサイル攻撃が実施された場合であっても、戦略爆撃機をかなり内陸部の基地まで追いやる事が可能で、本土への攻撃に対して重大な抑止力を構成できますし、日本を攻撃すれば潜水艦から確実に反撃されるとの姿勢を誇示する事で、相手に対しては攻撃一本である装備体系から、例えば可能性として相手に不確定要素を、と。

 不確定要素、日本の潜水艦が更に沿岸部まで進出し日本本土を狙う道に対する巡航ミサイル攻撃を実施するのではないか、との危惧を抱かせることで、攻撃一本の装備体系から、対潜戦闘という装備体系へも支出を強要し、これにより相対的に対日攻撃用の長距離打撃力を相殺するという施策も可能でしょう。巡航ミサイル潜水艦へ転用出来る潜水艦は、上記の通り、現在の建造度合いからは、これ以上の建造を行わないという範疇では10隻ではありますが、これだけでも大きい。

 各潜水艦に16発のUGM-109E,UGM-109Hを搭載する事で即応160発の巡航ミサイルを待機させることができ、日本へ向けられている長剣07巡航ミサイルの1500発には及びませんが、決意を示すことは可能です。また、こうした防衛力を整備する事で相手に対し巡航ミサイル戦力の相互削減という交渉の机に就かせる一つの圧力ともなりまして、例えば我が方が巡航ミサイルの半減を条件に相手に対しても同様のミサイル削減を強制する事が可能となるかもしれません。

 この種の削減を前提とした新装備に新規調達という一種矛盾した施策は、レーガン大統領時代のアメリカが中距離核戦力全廃条約を念頭に相手に揺さぶりを掛けるべく、全廃を主張している中距離核戦力に新型のパーシングⅡ弾道ミサイルを開発配備した事と共通するかもしれません、一見無駄に見えますが、その無駄により実戦に使用することなく我が国へ向けられるミサイル脅威を排除できるのですから、軍事力の第一の任務は戦争を抑止する事であるという基本理念にのっとったものといえるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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