北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新しい88艦隊を考える-ヘリコプター搭載護衛艦とミサイル護衛艦,護衛隊と航空隊から成る8個の任務群

2022-08-08 20:22:52 | 北大路機関特別企画
■八月八日は八八艦隊の日
 DDHヘリコプター搭載護衛艦とDDGミサイル護衛艦は海上自衛隊の象徴的な装備です。

 本日八月八日は八八艦隊の日、Weblog北大路機関では大海軍時代を懐古するとともに、戦後自衛隊は88艦隊、護衛艦8隻ヘリコプター8機の88艦隊による4個護衛隊群の編成共通化という防衛力整備事業を達成しました。ただ、21世紀の厳しい安全保障情勢を鑑みるに、日本にはもう一段進んだ“新しい88艦隊”という防衛力整備が必要と思うのです。

 はるな型ヘリコプター搭載護衛艦とその拡大型で対応出来た安全保障環境はすでに過去のものとなりました、そのうえで提案とは、新しい88艦隊、その概要は全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦を現在の4隻から8隻に増勢し、現在4個護衛隊群隷下に在る8個護衛隊全てに8隻のイージス艦に加え、ヘリコプター搭載護衛艦を配備するという私案だ。

 くらま、第一世代のヘリコプター搭載護衛艦最後の一隻と交代する形で護衛艦かが竣工となり、四個護衛隊群全てに全通飛行甲板型護衛艦が配備されることとなります。ひゅうが型護衛艦は満載排水量19000t、やや小型ということで、満載排水量27000tいずも型護衛艦のみに現在のところF-35Bを搭載する構想ですが、4隻体制の意義は大きいと考える。

 ただ、これだけでは不十分だ、これが"新しい88艦隊"の骨子です。もちろん護衛艦そのものの能力は大幅に向上しました、しかし、どれだけ性能が向上したとしても当時とは比較にならない新しい防衛状の問題が顕在化していますし、なによりどんな強力な護衛艦でも同時に二つの方面には展開できず、定期整備やローテーションの問題もあるのですよね。

 新しい88艦隊、さて、必要だと提唱するのは、護衛隊群を構成する各2個の護衛隊のうち、現在は片方にのみ全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦が配備されている状況です。これを全ての護衛隊に配備する、言い換えれば汎用護衛艦一隻を省いてヘリコプター搭載護衛艦へ置き換えてはどうか、との提案をしているものです。経済的には充分可能です。

 いずも艦上へのF-35B発着試験成功、これは飛行甲板の耐熱化と甲板塗装のF-35対応への変更により実現しましたが、更に今年3月からは護衛艦かが改修が開始、これにより艦首側の形状が大きく変更され、本格的なF-35B短距離滑走対応に改められるとのことです。ただ、ここで忘れてはならないのは2隻体制の限界という過去の失敗です。その過去とは。

 加賀のほうで護衛艦の方ではありませんが、旧海軍では一つの機動部隊、南雲艦隊を酷使しすぎ、結果的にミッドウェー海戦まで、真珠湾攻撃からインド洋作戦に豪州ポートダーウィン攻撃と休息を考えず人員を酷使し続けました、2隻のみのヘリコプター搭載護衛艦にF-35B対応改修を行う、これは増えるばかりの任務負担を考慮した結果なのか、と思う。

 護衛艦隊の任務は増大している、この点もふまえれば現在のヘリコプター搭載護衛艦で十分という考えはどうしても生まれないのですよね。任務、シーレーン防衛とともに、シーレーンの真上で起こる懸念がある台湾有事に際しては、憲法上直接介入ができないにしても、護衛艦を派遣し、とにかく戦争以外の方法で収めるよう訴えられる。これが重要です。

 台湾海峡や台湾周辺事態の他に、朝鮮半島有事に際してはF-35Bの搭載する大量のセンサーは弾道ミサイル発射の早期探知、もちろん妨害排除も含め有用であるとされミサイル防衛支援は当然含まれる。ロシアのウクライナ侵攻という今年二月以降は、北海道周辺でのロシア軍行動を冷戦時代のように押さえ込む有志連合の一員としても責任が求められる。

 武力攻撃事態のほか、ヘリコプター搭載護衛艦にはプレゼンスオペレーションとしてインド洋地域での長期任務も求められるようになったほか、インド太平洋地域へのNATOプレゼンス増大という要望が2022年NATO首脳会議において実現した以上、逆に日本もイギリスに倣い欧州地域へヘリコプター搭載護衛艦親善訪問の定期化などが求められましょう。

 ヘリコプター搭載護衛艦、そしてこの装備体系は戦後日本が独自に構築した装備体系です、ヘリコプターを搭載できる駆逐艦やフリゲイトは世界中やまほどありますし、パワープロジェクションの時代にあって航空母艦というものも全通飛行甲板型艦艇というだけならば、近年多くの国が保有するに至っています、が、基幹戦力ではない点が日本との違いです。

 航空隊規模の航空機を収容できるヘリコプター搭載護衛艦は、言い換えれば護衛隊に装備されることで、護衛隊と航空隊により2個の隊を運用し任務群を構成し得ます、F-35Bを搭載して航空打撃能力、SH-60を主体として対潜能力、AH-64DとMCH-101にCH-47を搭載するならば水陸機動作戦、MCH-101を中心に対機雷戦、編成は自由自在ということ。

 8個の任務群があれば、遠隔地での任務を日本周辺の任務と両立して実施することができますし、強大な脅威に対して任務遂行を求められれば、複数の任務群を集めて集団運用する、データリンクの時代です、対艦弾道弾などの脅威を前にするならば多少離隔をとる選択肢もある、数を集めれば数隻に分ける事でニミッツ級空母なみの数の艦載機も積めるわけだ。

 はるな、ひえい、しらね、くらま。第一世代のヘリコプター搭載護衛艦整備は、この装備が基本となる体制を構築したもので、当時は専守防衛、はるな竣工は1973年ですが、1965年のマリアナ沖漁船大量そう難事件までは自国民が数百名行方不明となっても、自衛隊を捜索へ派遣することさえ制度上難しいものがあった為、行動範囲は狭かった事情があった。

 冷戦時代は核戦争一歩手前の緊張とともに防衛を突きつけられた時代でしたが、専守防衛に徹していれば日本列島だけを、1972年の沖縄返還までは沖縄防衛さえ米軍の任務でした、1000海里シーレーン防衛構想でさえ、1981年の鈴木内閣時代に提示されたものなのですから、日本列島を不沈空母とすれば、艦隊を前に出す必要も限定的でした。しかし今は違う。

 003型航空母艦として中国海軍は大型のカタパルトを搭載した航空母艦の量産を開始し、当面は既存空母とあわせ空母6隻体制を目指すという。もちろん日米同盟はありますし、韓国海軍との防衛協力という要素もあるのですが、やはり日本としても今の4隻でのローテーションで成り立つようには思えません、前述の通り海上自衛隊の任務は多いのですから。

 ひゅうが、いせ、いずも、かが。ここに更なるヘリコプター搭載護衛艦を加え、いまある護衛隊群の護衛隊が8個なのですから8個護衛隊が全て均一の能力を構築する。戦前の八八艦隊ほど無理な計画ではありません、あの計画は今風にいえばクイーンエリザベス級とアメリカ級を毎年各1隻の2隻を増強するような無理な計画なのですから、これとは違う。

 ヘリコプター搭載護衛艦の運用寿命は40年前後、つまり更新を考えれば中期防衛力整備計画一期あたり1隻のヘリコプター搭載護衛艦を、汎用護衛艦1隻に代えて建造してはどうか、日本の経済力を考えればそれほど難しいことではありませんし、確実な正規雇用につなげることもできる。今の厳しい時代だからこそ、増強を検討すべき命題と考えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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中国軍台湾周辺軍事演習常態化の懸念-沖縄与那国島は東シナ海のゴトランド島か,紛争の戦争化防ぐ要諦

2022-08-08 07:01:51 | 国際・政治
■臨時情報-台湾情勢
 戦争は抑止する為の厳しい努力を防衛と外交の両面で行わなければ危機の段階は一つ一つ進み、最後には選択肢が無くなってしまう。

 中国軍の演習は終了予定日であった7日も台湾周辺海域において継続的に展開、このまま中国軍の軍事演習が常態化するのではないかという懸念が出ています。そして中国外務省は我が国EEZ排他的経済水域へのミサイル着弾に関する講義に対し、この海域での日本のEEZ設定を認めない発言を報道官が示し、今も撤回されていません。どうなるのか。

 常態化するならば、自衛隊の南西諸島警戒監視体制は、南西諸島防衛体制強化へ一段進めなければほんとうに戦争が起こる状況となりかねません。そして台湾有事の現実化を防ぐ事ができるかは、インド太平洋諸国はじめ有志の協力が必要となるのですが、その為にも南西諸島、台湾の北側に軍事空白地帯を許し、戦争を流れ込ませてはならない構図がある。

 与那国島を筆頭に南西諸島南部は台湾有事を抑止する為の要諦となる、恰もバルト海に浮かぶスウェーデン領ゴトランド島のように。中国軍がこのまま台湾周辺への緊張状態を高めれば、日本の直ぐ南で第二次世界大戦後最大の海上戦闘がおこりかねない状況です。その戦闘は日本のシーレーンの半分を遮断し、流れ出た浮流機雷は日本の港湾も閉塞させる。

 戦争を防ぐ事は出来ないか、この為には台湾有事に際して日米がこの地域において軍事力による現状変更は許さず、中華民国台湾と中華人民共和国の統合は平和的で民主的手続きによる台湾住民投票によるほかない、この姿勢を示さねばなりません。そしてウクライナ戦争と違い、大量の自国民救出などへ各国が軍用機により関与する可能性も示す必要が。

 ゴトランド島、さて、欧州でウクライナにおける緊張が高まると、ウクライナから遥か離れたスウェーデン軍は、ウクライナとは隣接すらしていないバルト海のゴトランド島へ機械化部隊を派遣、レオパルド2主力戦車とCV-90装甲戦闘車からなる強力な部隊を派遣しました、これはスウェーデンが異なる地域でのロシア軍活動を抑止する必要を感じたため。

 スウェーデン軍は、バルト海の中央部に位置し直ぐ隣をロシア海軍バルチック艦隊が航行するゴトランド島が万一ロシア海軍歩兵や空挺軍により占拠される状況となれば、ウクライナに続いてロシアの飛び地であるカリーニングラードと友好国ベラルーシを結ぶ東欧諸国の回廊、スヴァルキギャップに侵攻する為の策源地となる可能性を抑止力で塞ぎました。

 与那国島を筆頭とする南西諸島南部は、北東アジア地域においてアメリカ軍最大拠点の一つである在沖米軍と台湾を結ぶ中間点にあり、ここを台湾侵攻の前段階として中国軍に占拠されるような状況となれば、アメリカの同盟国や有志連合は台湾に近づく難易度が非常に高くなるのです。そして与那国島は現在、沿岸監視隊が駐屯するのみ、手薄な状況です。

 戦車部隊だけでも北海道から緊急展開させる事は出来ないか、戦車部隊であれば見た目は厳ついですが、戦車砲は中国本土まで届かず中国は言いがかり以外で刺激することもありません。しかし、中国本土への脅威は及ぼさないが中国軍が与那国島を侵攻する意図がもし僅かでもあれば、喩え戦車小隊と機械化普通科中隊だけでも、巨大な抑止力となります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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