■特報:世界の防衛,最新論点
ユーロサトリ2022国際装備展の戦車に関する続報です。
ドイツのラインメタル社がユーロサトリ2022国際装備展に出展したKF-51パンター戦車について更なる情報が入りました。パンサー戦車は4名乗りとなる模様。パンター戦車は130mm滑腔砲を搭載し重量級の砲弾を用いる為に自動装填装置を採用していました、この為に装填手が不要となり通常各国の自動装填装置採用戦車の乗員は3名となっています。
KF-51パンター戦車は砲塔左側に車長と右側に砲手、そして車体右側に操縦手が乗車し左側に武器要員が配置されるという、非常に稀有な配置を採用しました。操縦席には小型のペリスコープは配置されますが非常用で、操縦は基本的に操縦席に配置された三枚の大型モニターが設置され、各種情報を表示します。大型モニターは各員用にも配置されている。
KF-51パンター戦車のもう一つの特色は巨大な砲塔で、ほぼ車体の八割に匹敵する大きさです、頂点にはSEOSS2車長用照準器が配置、その巨大な砲塔後部は弾薬庫であり、自動装填装置用と共にHERO-120徘徊式弾薬という無人機格納庫の役割を担うハイブリット構造を採り、砲塔最後部にナッターRWSが配置、武器要員はC4I機材やRWSを操作します。
■ルクレルクXLR
ルクレルクは90式戦車の少し後で制式化されましたが改良が続く、ただしEMBTとパンターが隣にいたせいで周りに存在感を呑まれてしまった印象ですが。
フランスのネクスター社はユーロサトリ2022国際装備展においてルクレルク戦車最新改良型のルクレルクXLR実車を初公開しました。これはフランス軍が進めるスコーピオンプログラムに基づくGTIA将来複合戦闘群への適合化を念頭とした既存車輛の改良型で、2020年から改修が開始、今回は四年ぶりとなるユーロサトリ2022にて公開されたかたち。
ルクレルクXLRの改修点は新しいONTACT戦術無線システムとSCORPIONコマンドのセットアップ、およびSICS情報システムの追加です。もともとルクレルクは1992年の開発当時に世界で初めて車体間データリンクシステムを搭載したC4I時代の戦車となっていますが、システム強化など継続的に実施、30年を経て一新させたのはルクレルクXLRです。
ルクレルクXLRのスコーピオンプログラム対応型開発は2016年のユーロサトリにて発表、特に当時ロシアが発表した将来戦車T-14アルマータへの対抗が主眼とされていました、2020年には3億3000万ユーロを投じ、200両のルクレルク戦車と18両のルクレルク戦車回収車への改修が決定、この改修により2040年代以降もルクレルクは運用可能になります。
■K-2PL
韓国のK-2戦車は実車展示を見送ったもののノルウェーに続きポーランドでの採用候補となり存在感をましています。日本戦車も真面目に輸出を考えてよかったようにも思うが平和憲法はそれを許さない。
ポーランド軍はユーロサトリ2022国際装備展にて次期主力戦車として韓国製K-2戦車改良型を採用する覚書に署名を発表しました。ポーランド軍に配備されるのはK-2PLというポーランド軍仕様で、ポーランド軍の要求性能が反映されると共にエンジンなどはポーランド兵站基盤に考慮、またポーランド国内で実質的なライセンス生産が行われるとのこと。
K-2戦車は韓国がK-1戦車の後継として独自開発した主力戦車で、愛称はブラックパンサー、韓国陸軍へ配備が進むと共に韓国では各国へ精力的な売り込みを実施、車高が低く防御力を確保し充分な威力の主砲は、順次韓国製部品に置換えられているものの、火器管制装置やエンジンなどのパワーパックは当初の試作車で外国製部品が多用されていました。
輸出に際してはこの初期の各国部品応用が言い換えれば導入を希望する諸国の仕様に柔軟に対応できる事を意味し歓迎、前型のK-1戦車はマレーシアへの輸出計画が実現しませんでしたが、K-2は現地生産や現地仕様への柔軟な姿勢により、トルコのアルタイ戦車という輸出実績がある。ポーランドは最大600両を導入、先行し原型のK-2を導入する構想です。
■取り残された無人砲塔
ロシアはT-14戦車を出すよりもウクライナの前線にT-62を現役復帰させたくらいですから。74式戦車のライバルとされた戦車の復活を前に無人砲塔の話題は何処かへいってしまった。
ユーロサトリ2022において無人砲塔型戦車は発表されませんでした、無人砲塔戦車として代表的な存在はロシアが開発中のT-14アルマータ戦車です、ウクライナ侵攻に伴うロシアウクライナ戦争により、ロシア製兵器は今回ユーロサトリには出展されていません、しかし、アルマータ自体は昨年のロシアで開かれたアルミヤ陸軍2021に出展されています。
T-14アルマータ戦車は2015年のモスクワ戦勝記念日閲兵式において初めて公開され、ロシア戦車としては過去のT-80やT-90よりも大型の車体と共に無人砲塔を採用した事で注目を集めました、発想としては乗員は車体の堅固な装甲カプセルに配置され、センサー各種を用いて戦闘を行うものです。画期的に思われましたが7年後の今日も実戦配備が未だ。
KF-51パンター戦車、EMBT戦車、ルクレルク最新改良型、K-2戦車ノルウェー仕様とポーランド仕様などが展示されましたユーロサトリ2022ですが、結局新設計のものを含め友人砲塔を採用しており、センサーだけでは戦車戦闘は実行不可能であることを示したといえるのかもしれません。他方、RWS遠隔操作銃搭については大きく展示されていました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ユーロサトリ2022国際装備展の戦車に関する続報です。
ドイツのラインメタル社がユーロサトリ2022国際装備展に出展したKF-51パンター戦車について更なる情報が入りました。パンサー戦車は4名乗りとなる模様。パンター戦車は130mm滑腔砲を搭載し重量級の砲弾を用いる為に自動装填装置を採用していました、この為に装填手が不要となり通常各国の自動装填装置採用戦車の乗員は3名となっています。
KF-51パンター戦車は砲塔左側に車長と右側に砲手、そして車体右側に操縦手が乗車し左側に武器要員が配置されるという、非常に稀有な配置を採用しました。操縦席には小型のペリスコープは配置されますが非常用で、操縦は基本的に操縦席に配置された三枚の大型モニターが設置され、各種情報を表示します。大型モニターは各員用にも配置されている。
KF-51パンター戦車のもう一つの特色は巨大な砲塔で、ほぼ車体の八割に匹敵する大きさです、頂点にはSEOSS2車長用照準器が配置、その巨大な砲塔後部は弾薬庫であり、自動装填装置用と共にHERO-120徘徊式弾薬という無人機格納庫の役割を担うハイブリット構造を採り、砲塔最後部にナッターRWSが配置、武器要員はC4I機材やRWSを操作します。
■ルクレルクXLR
ルクレルクは90式戦車の少し後で制式化されましたが改良が続く、ただしEMBTとパンターが隣にいたせいで周りに存在感を呑まれてしまった印象ですが。
フランスのネクスター社はユーロサトリ2022国際装備展においてルクレルク戦車最新改良型のルクレルクXLR実車を初公開しました。これはフランス軍が進めるスコーピオンプログラムに基づくGTIA将来複合戦闘群への適合化を念頭とした既存車輛の改良型で、2020年から改修が開始、今回は四年ぶりとなるユーロサトリ2022にて公開されたかたち。
ルクレルクXLRの改修点は新しいONTACT戦術無線システムとSCORPIONコマンドのセットアップ、およびSICS情報システムの追加です。もともとルクレルクは1992年の開発当時に世界で初めて車体間データリンクシステムを搭載したC4I時代の戦車となっていますが、システム強化など継続的に実施、30年を経て一新させたのはルクレルクXLRです。
ルクレルクXLRのスコーピオンプログラム対応型開発は2016年のユーロサトリにて発表、特に当時ロシアが発表した将来戦車T-14アルマータへの対抗が主眼とされていました、2020年には3億3000万ユーロを投じ、200両のルクレルク戦車と18両のルクレルク戦車回収車への改修が決定、この改修により2040年代以降もルクレルクは運用可能になります。
■K-2PL
韓国のK-2戦車は実車展示を見送ったもののノルウェーに続きポーランドでの採用候補となり存在感をましています。日本戦車も真面目に輸出を考えてよかったようにも思うが平和憲法はそれを許さない。
ポーランド軍はユーロサトリ2022国際装備展にて次期主力戦車として韓国製K-2戦車改良型を採用する覚書に署名を発表しました。ポーランド軍に配備されるのはK-2PLというポーランド軍仕様で、ポーランド軍の要求性能が反映されると共にエンジンなどはポーランド兵站基盤に考慮、またポーランド国内で実質的なライセンス生産が行われるとのこと。
K-2戦車は韓国がK-1戦車の後継として独自開発した主力戦車で、愛称はブラックパンサー、韓国陸軍へ配備が進むと共に韓国では各国へ精力的な売り込みを実施、車高が低く防御力を確保し充分な威力の主砲は、順次韓国製部品に置換えられているものの、火器管制装置やエンジンなどのパワーパックは当初の試作車で外国製部品が多用されていました。
輸出に際してはこの初期の各国部品応用が言い換えれば導入を希望する諸国の仕様に柔軟に対応できる事を意味し歓迎、前型のK-1戦車はマレーシアへの輸出計画が実現しませんでしたが、K-2は現地生産や現地仕様への柔軟な姿勢により、トルコのアルタイ戦車という輸出実績がある。ポーランドは最大600両を導入、先行し原型のK-2を導入する構想です。
■取り残された無人砲塔
ロシアはT-14戦車を出すよりもウクライナの前線にT-62を現役復帰させたくらいですから。74式戦車のライバルとされた戦車の復活を前に無人砲塔の話題は何処かへいってしまった。
ユーロサトリ2022において無人砲塔型戦車は発表されませんでした、無人砲塔戦車として代表的な存在はロシアが開発中のT-14アルマータ戦車です、ウクライナ侵攻に伴うロシアウクライナ戦争により、ロシア製兵器は今回ユーロサトリには出展されていません、しかし、アルマータ自体は昨年のロシアで開かれたアルミヤ陸軍2021に出展されています。
T-14アルマータ戦車は2015年のモスクワ戦勝記念日閲兵式において初めて公開され、ロシア戦車としては過去のT-80やT-90よりも大型の車体と共に無人砲塔を採用した事で注目を集めました、発想としては乗員は車体の堅固な装甲カプセルに配置され、センサー各種を用いて戦闘を行うものです。画期的に思われましたが7年後の今日も実戦配備が未だ。
KF-51パンター戦車、EMBT戦車、ルクレルク最新改良型、K-2戦車ノルウェー仕様とポーランド仕様などが展示されましたユーロサトリ2022ですが、結局新設計のものを含め友人砲塔を採用しており、センサーだけでは戦車戦闘は実行不可能であることを示したといえるのかもしれません。他方、RWS遠隔操作銃搭については大きく展示されていました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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