■さあ!観閲艦も出航だ
今回は先週の日曜特集は短縮版となっていましたので日曜特集"観艦式"を二段構えでお送りします。

海上自衛隊60周年観艦式は、続く海上自衛隊70周年観艦式へ日本の進めたFOIP開かれたインド太平洋構想、これに基づく安全保障の一国平和主義から国際安全保障協調体制へ、という一つの転換点へ向けての前夜というえる観艦式と云えました、あれから10年で。

くらま出航、このヘリコプター搭載護衛艦を撮影している際についシャッターを押す際にも指に力がこもるのですが周りの方にも、いや、くらま、次の観艦式にもいますよ、と笑われてしまいました、いやいや次の観艦式もここまで素晴らしい快晴かはわかりませんよ。

インド洋からアジア太平洋という概念での国際関係をみますと、いわばゲオポリティクス的発想でインドは中国のリムランドという影響下に限られてしまいます、そして中国海軍空母のインド洋進出を単独で対応する負担の大きさが顕在化するのも時間の問題でした。

シーレーンという視点に依拠するならば、中国は一帯一路政策として大陸に鉄道交通網を整備し拠点中継都市に投資を行おうとも、石油など化石燃料の輸送は貨物列車にタンク車を数十連結するよりもタンカーで輸送する方が遙かに確実で大量輸送できる点は不変だ。

海上シルクロード構想として一帯一路政策の海上版を進める中国に対して、インドが確実に懸念するのは南沙諸島のような軍事力を背景とした、海洋閉塞化をインド洋でも実施するのではないか、例えばモルディブやミャンマーなどにおいて、という懸念が生じる。

FOIPの概念は、渡りに船的な発想といえました。自由で開かれたインド太平洋、これを提唱した安倍総理というのはインドにとり国民の友という表現なのかもしれません、故に元首相が暗殺された際には全土に半旗を掲げた、日本でさえ全土に半旗は掲げていないのに。

NATOのような軍事機構を目指さず、ASEANのような会議主体を志向しなかった点も、FOIPの強さといえるのかもしれません。これは概念であり理念、概念に軍事力で対抗することは不可能ですし、理念であれば加盟基準もなくアゴラの様な対話する広場に過ぎない。

ステイクホルダー、利害の共有者として理念に参画しなければ、これはかけ声に終わる、声を出すだけならば無料だ、と反論されるかもしれませんが、海上防衛力整備はFOIPと連接するように整備されているのですね。理念を守る立場を明確に示した、行動で示した。

2012年の海上自衛隊60周年観艦式は2022年の海上自衛隊70周年国際観艦式へとつながる、一つの転換点にあった、こういえるのかもしれません。そしてFOIPの概念は、中国の海洋進出に対してではなく、自由で開かれたインド太平洋の理念への参画を促す圧力へ。

観艦式と国際観艦式、しかし各国艦艇参加は前々から普通に行われていました、そして今年の国際観艦式はもう一つ重要な点がありまして、海上自衛隊の平時の任務が大きくなり過ぎて、単独で観艦式を行えないような規模となっていたのですね、こうした事情が。

舞鶴展示訓練が2022年に舞鶴地方隊70周年行事として挙行されましたが、国際観艦式をみまして驚いたのは、あの舞鶴展示訓練は国際観艦式の予行だったのか、という護衛艦の並びでした。観艦式の年度に展示訓練とは思い切ったものと、感嘆したもので、なるほど。

国際観艦式も自衛隊からの参加艦艇は2010年の伊勢湾展示訓練を思い出す程度、そこに各国艦艇が参加しまして規模を保ったという印象でしょうか。そして舞鶴展示訓練も参加部隊を集めるのに相当苦労していたようでして、艦艇やりくりの難しさが垣間見える。

舞鶴展示訓練は、展示訓練として相応の規模で開催できましたが、実は五月の時点で中の方に聞きますと、もっと小規模なものであり輸送艦が展示訓練には参加していましたが、当初はこの輸送艦も参加予定艦艇にはなかったという、そこからよくぞかき集めたもの。

舞鶴の場合、護衛艦数隻に練習艦か多用途支援艦とミサイル艇、掃海艇は調整中、最初の規模はこんな感じでして、参加艦艇は10隻以下でした。ここからかき集めたのですが、一方で公募をおこなったものの実質全員招待者だけではないのか、こんな疑義が私の方にも。

ただ、COVID-19対策もありましたので、なにしろ感染が深刻な状況ではイージス艦あたご、でさえ乗艦見学を一日40名に絞って5名づつ分けて実施したほど、はるな型で最大1200名収容できるとした定員いっぱい乗せ艦艇広報ができた時代とはことなるのですね。

実際には招待者は多かった、が、同程度に一般見学者も乗せていた、他方で急遽参加できる艦艇が増えたために募集対象者ということで地本枠を急遽確保した、慎重を期したが幸いというか不安は的中し感染者がでた護衛艦は急遽見学者を乗せなかった、という背景が。

国際観艦式は停泊式でなく相模湾での観艦式となった、これも前回の国際観艦式が停泊式でしたので、どのように決定したのかは少々関心があるところですが、参加艦艇の規模次第では移動式観艦式ではない可能性はあったのではないか、と、ちょっと調べてみたい。

艦艇運用の厳しい状況ですが、しかし海上自衛隊80周年観艦式では、大きく変わるかもしれません、いや2032年の話を今から、と思われるかもしれませんが2012年の観艦式写真とともに2032年展望を考えるのですから、まあ行き過ぎというわけではないと思うのです。

哨戒艦、海上自衛隊の艦艇運用が厳しい現状の背景には、護衛艦、水上戦闘艦であり、対潜対水上対空の各種任務に当たり、そのために年間に年次訓練計画が示されている最中に、日本周辺の艦艇への警戒監視という任務が加えられ、訓練計画が圧迫されている状況が。

護衛艦の年次訓練計画、それも実弾射撃などは単艦ではなく訓練支援艦が必要ですし、そして護衛艦には訓練のほかに検査がある、定期検査も全検査も、しかし訓練はその向こうに検定があるのですから、こちらは疎かにできないのも確かなのですね、しわ寄は広報へ。

哨戒艦に期待するのは、警戒監視任務に護衛艦、別にあいては攻撃してくるわけではなく、そして海上保安庁設置法と国際法上軍艦ではなく公船である巡視船にできない法的領域に対応するのですから、護衛艦が訓練に専念できる環境を構築してくれる、ということです。

広報にも余裕は出てくる可能性がある。哨戒艦は1900tとかなり大きなものですが、乗員は掃海艇よりもかなり抑えられている、そして建造費用はもっと抑えられている。警戒監視任務が増大するならば増やすのは護衛艦を増強するよりも予算的そして人的制約が低い。

あぶくま型なみに。護衛艦に加えて哨戒艦も1900tもあるのだから、あぶくま型護衛艦なみには見学者が乗せられるのではないか、乗せられる定員が増加するならば一般もよりのりやすくなる、こうした期待はできるのですね。遮浪甲板構造から乗り心地も良さそう。

国際観艦式は結局停泊式か移動式かは中々決定せず、しかもCOVID-19感染対策の観点から見学者を乗せない形での挙行となりました。しかし次の観艦式には海上自衛隊の陣容もそして任務さえも大きく変容していることでしょうから、そんな事もふと気になりました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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今回は先週の日曜特集は短縮版となっていましたので日曜特集"観艦式"を二段構えでお送りします。

海上自衛隊60周年観艦式は、続く海上自衛隊70周年観艦式へ日本の進めたFOIP開かれたインド太平洋構想、これに基づく安全保障の一国平和主義から国際安全保障協調体制へ、という一つの転換点へ向けての前夜というえる観艦式と云えました、あれから10年で。

くらま出航、このヘリコプター搭載護衛艦を撮影している際についシャッターを押す際にも指に力がこもるのですが周りの方にも、いや、くらま、次の観艦式にもいますよ、と笑われてしまいました、いやいや次の観艦式もここまで素晴らしい快晴かはわかりませんよ。

インド洋からアジア太平洋という概念での国際関係をみますと、いわばゲオポリティクス的発想でインドは中国のリムランドという影響下に限られてしまいます、そして中国海軍空母のインド洋進出を単独で対応する負担の大きさが顕在化するのも時間の問題でした。

シーレーンという視点に依拠するならば、中国は一帯一路政策として大陸に鉄道交通網を整備し拠点中継都市に投資を行おうとも、石油など化石燃料の輸送は貨物列車にタンク車を数十連結するよりもタンカーで輸送する方が遙かに確実で大量輸送できる点は不変だ。

海上シルクロード構想として一帯一路政策の海上版を進める中国に対して、インドが確実に懸念するのは南沙諸島のような軍事力を背景とした、海洋閉塞化をインド洋でも実施するのではないか、例えばモルディブやミャンマーなどにおいて、という懸念が生じる。

FOIPの概念は、渡りに船的な発想といえました。自由で開かれたインド太平洋、これを提唱した安倍総理というのはインドにとり国民の友という表現なのかもしれません、故に元首相が暗殺された際には全土に半旗を掲げた、日本でさえ全土に半旗は掲げていないのに。

NATOのような軍事機構を目指さず、ASEANのような会議主体を志向しなかった点も、FOIPの強さといえるのかもしれません。これは概念であり理念、概念に軍事力で対抗することは不可能ですし、理念であれば加盟基準もなくアゴラの様な対話する広場に過ぎない。

ステイクホルダー、利害の共有者として理念に参画しなければ、これはかけ声に終わる、声を出すだけならば無料だ、と反論されるかもしれませんが、海上防衛力整備はFOIPと連接するように整備されているのですね。理念を守る立場を明確に示した、行動で示した。

2012年の海上自衛隊60周年観艦式は2022年の海上自衛隊70周年国際観艦式へとつながる、一つの転換点にあった、こういえるのかもしれません。そしてFOIPの概念は、中国の海洋進出に対してではなく、自由で開かれたインド太平洋の理念への参画を促す圧力へ。

観艦式と国際観艦式、しかし各国艦艇参加は前々から普通に行われていました、そして今年の国際観艦式はもう一つ重要な点がありまして、海上自衛隊の平時の任務が大きくなり過ぎて、単独で観艦式を行えないような規模となっていたのですね、こうした事情が。

舞鶴展示訓練が2022年に舞鶴地方隊70周年行事として挙行されましたが、国際観艦式をみまして驚いたのは、あの舞鶴展示訓練は国際観艦式の予行だったのか、という護衛艦の並びでした。観艦式の年度に展示訓練とは思い切ったものと、感嘆したもので、なるほど。

国際観艦式も自衛隊からの参加艦艇は2010年の伊勢湾展示訓練を思い出す程度、そこに各国艦艇が参加しまして規模を保ったという印象でしょうか。そして舞鶴展示訓練も参加部隊を集めるのに相当苦労していたようでして、艦艇やりくりの難しさが垣間見える。

舞鶴展示訓練は、展示訓練として相応の規模で開催できましたが、実は五月の時点で中の方に聞きますと、もっと小規模なものであり輸送艦が展示訓練には参加していましたが、当初はこの輸送艦も参加予定艦艇にはなかったという、そこからよくぞかき集めたもの。

舞鶴の場合、護衛艦数隻に練習艦か多用途支援艦とミサイル艇、掃海艇は調整中、最初の規模はこんな感じでして、参加艦艇は10隻以下でした。ここからかき集めたのですが、一方で公募をおこなったものの実質全員招待者だけではないのか、こんな疑義が私の方にも。

ただ、COVID-19対策もありましたので、なにしろ感染が深刻な状況ではイージス艦あたご、でさえ乗艦見学を一日40名に絞って5名づつ分けて実施したほど、はるな型で最大1200名収容できるとした定員いっぱい乗せ艦艇広報ができた時代とはことなるのですね。

実際には招待者は多かった、が、同程度に一般見学者も乗せていた、他方で急遽参加できる艦艇が増えたために募集対象者ということで地本枠を急遽確保した、慎重を期したが幸いというか不安は的中し感染者がでた護衛艦は急遽見学者を乗せなかった、という背景が。

国際観艦式は停泊式でなく相模湾での観艦式となった、これも前回の国際観艦式が停泊式でしたので、どのように決定したのかは少々関心があるところですが、参加艦艇の規模次第では移動式観艦式ではない可能性はあったのではないか、と、ちょっと調べてみたい。

艦艇運用の厳しい状況ですが、しかし海上自衛隊80周年観艦式では、大きく変わるかもしれません、いや2032年の話を今から、と思われるかもしれませんが2012年の観艦式写真とともに2032年展望を考えるのですから、まあ行き過ぎというわけではないと思うのです。

哨戒艦、海上自衛隊の艦艇運用が厳しい現状の背景には、護衛艦、水上戦闘艦であり、対潜対水上対空の各種任務に当たり、そのために年間に年次訓練計画が示されている最中に、日本周辺の艦艇への警戒監視という任務が加えられ、訓練計画が圧迫されている状況が。

護衛艦の年次訓練計画、それも実弾射撃などは単艦ではなく訓練支援艦が必要ですし、そして護衛艦には訓練のほかに検査がある、定期検査も全検査も、しかし訓練はその向こうに検定があるのですから、こちらは疎かにできないのも確かなのですね、しわ寄は広報へ。

哨戒艦に期待するのは、警戒監視任務に護衛艦、別にあいては攻撃してくるわけではなく、そして海上保安庁設置法と国際法上軍艦ではなく公船である巡視船にできない法的領域に対応するのですから、護衛艦が訓練に専念できる環境を構築してくれる、ということです。

広報にも余裕は出てくる可能性がある。哨戒艦は1900tとかなり大きなものですが、乗員は掃海艇よりもかなり抑えられている、そして建造費用はもっと抑えられている。警戒監視任務が増大するならば増やすのは護衛艦を増強するよりも予算的そして人的制約が低い。

あぶくま型なみに。護衛艦に加えて哨戒艦も1900tもあるのだから、あぶくま型護衛艦なみには見学者が乗せられるのではないか、乗せられる定員が増加するならば一般もよりのりやすくなる、こうした期待はできるのですね。遮浪甲板構造から乗り心地も良さそう。

国際観艦式は結局停泊式か移動式かは中々決定せず、しかもCOVID-19感染対策の観点から見学者を乗せない形での挙行となりました。しかし次の観艦式には海上自衛隊の陣容もそして任務さえも大きく変容していることでしょうから、そんな事もふと気になりました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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