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イランのイスラエルミサイル攻撃逼迫か?中東情勢と世界安保環境を根本から破綻させる全面戦争の懸念

2024-10-02 01:44:53 | 国際・政治
■イスラエルレバノン侵攻
 レバノン侵攻により情勢は大きく変わり始めている中東危機は昨夜のロイター報道によりさらに緊迫度を増しました。

 イランのイスラエル弾道ミサイル攻撃が切迫している、こうした報道が10月1日深夜にアメリカ政府筋情報としてロイター通信などにより世界に報じられました。ミサイル攻撃なんて起こるのかねえ、と平和的視点を持たれる方もいますが、今年4月13日にダマスカスイラン大使館空爆事件の報復としてイスラエルへ弾道ミサイル120発等を撃ちこんでいる。

 ネタニヤフ首相にとりイラン全面攻撃という選択肢は元々あるのではないか、こう懸念するのはレバノンでのヒズボラ攻撃が2006年の南レバノン戦争以上に徹底しており、ヒズボラがイラン革命防衛隊の事実上の外殻組織である事を踏まえると、結局のところ2023年10月7日のガザのイスラエル奇襲攻撃を契機に一気に問題を解決しようとしていないか。

 イランからの弾道ミサイル攻撃、イランが過去イスラエルをミサイル攻撃しようとした際、アメリカを筆頭に欧州各国がイランへ強く自制を求める事で結果論ではあるものの、イランはイスラエルへのミサイル攻撃を自制しました。そしてその後、イランはロシアへ弾道ミサイルを供与したと、カスピ海の貨物船衛星画像等から確認された出来事がありました。

 イランの自制、そしてロシアへの弾道ミサイル供与、これはロシア軍がウクライナ侵攻に際して大量の弾道ミサイルをウクライナへ撃ちこんでいる為、ミサイル備蓄が枯渇しつつあり、ロシアはイランから弾道ミサイル供給を一部依存した構図なのですが、イランからミサイルが減ったという結果論の先に、イスラエルによるヒズボラポケベル爆破作戦が。

 ポケベル爆破作戦はヒズボラが通常の通信機ではイスラエルに戦闘員の位置を標定される為に用いていた数千の台湾ブランドポケットベルに小型爆発物が仕掛けられ、遠隔操作により一斉爆発、続いて日本ブランドトランシーバーなど様々なものが爆破され、更にその後、ヒズボラ指導者ナスララ氏を狙ったヒズボラ本部大規模爆撃が実施される事となる。

 ヒズボラ本部爆撃には地中貫通爆弾バンカーバスターが大量使用され、続いてイスラエル軍は日本時間10月1日よりレバノンへの限定地上侵攻を開始した構図です。ネタニヤフ首相としては、イスラエルに対して繰り返しテロ攻撃を加えるガザ地区のハマスを葬ると共にレバノンから攻撃を繰り返すヒズボラに対しても根絶を目指しているとみてとれますが。

 ミサイル攻撃は、イランが、そもそもイランは1979年以前のパーレビ王朝時代には親米国家でしたが、1979年イスラム革命後は国是としてイスラエル廃滅を掲げています。一つの国家が他国の廃滅を国是として掲げるのは現代史では例が有りませんが、イスラエルとして、イランに対して非常に大規模な攻撃を計画していたとしても不思議ではありません。

 イランからのミサイル攻撃、イランは射程2500kmのアーシュラーミサイル、射程7000kmのシャハブ弾道ミサイル等多数を保有しています。実際問題として、4月13日に無人機170機、巡航ミサイル30発とともに弾道ミサイル120発を撃ちこんでいます。ただ、この際には米英有志連合とイスラエル軍が共同するかたちで全て迎撃され、殆ど被害はなかった。

 アローミサイル防衛システムなどイスラエルは独自のミサイル防衛システムを有していますが、問題はイスラエルがどの程度迎撃ミサイルを備蓄しているのか、また、イランもロシアへ供与したミサイルには長距離ミサイルは含まれず、ロフテッド軌道などミサイル防衛システムを回避するミサイル攻撃能力がどの程度残っているのかは未知数となっている。

 全面戦争の懸念、最も懸念するのは、ネタニヤフ首相が国際社会から最大限の孤立をした場合でも、何もしないよりはイスラエル国家存続の覚悟を決めてイランとの全面戦争に乗り出す事です。人口で大きな差があるイスラエルにはイランを占領する事はできませんが、イスラエルにはエリコ3長距離弾道弾があり、また明示していないが核兵器を保有する。

 エリコ3弾道ミサイルでイランの核関連施設や指揮中枢を攻撃する可能性は十分あり得る、それ以外に選択肢が無ければ、イランは核開発を継続しており仮に核が完成するならば革命防衛隊の外殻組織を通じて使用される懸念を、フィクションとしてはとらえていないのがイスラエルです。批判され使う場合よりも批判されないが攻撃されても世界は助けない。

 核兵器は喩え低威力のものであっても一度使われてしまえば抑止力としての均衡は失われ、世界は破滅に向かうのです。1984年公開の東宝映画“ゴジラ”において戦術核兵器使用を米ソ両国が迫った際に劇中で三田村総理が米ソ特使に発した言葉です。ここで使われれば、ウクライナでも韓国でも台湾海峡でも、使われかねない。関心を持って見守りましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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