■緊迫の北海道
ロシア中国艦隊の遊弋や航空機接近の増大などの緊張が高まっていた北海道へ昨日サンドに渡る領空侵犯事案が発生しました。
ロシア軍機が北海道離島を三度にわたり領空侵犯、航空自衛隊はIRフレアーを使用し警告しました。事件は昨日23日、最初の領空侵犯は北海道礼文島沖で23日1303時から1304時にかけ一分間にわたり領空侵犯したということです。この際、航空自衛隊は領空侵犯以前に戦闘機を緊急発進させ対領空侵犯措置任務を実施、領空接近を警告していたとのこと。
領空侵犯二度目は同一の航空機が旋回を続け1531時頃に約30秒間、再度礼文島へ領空侵犯を行った。そして、更に三度目の領空侵犯を1542時から礼文島で発生したため、航空自衛隊は戦闘機からIRフレアーを使用し警告しました。これをうけロシア機は防空識別圏を退去、四度目の領空侵犯は発生せず、戦闘機による警告射撃には至りませんでした。
Il-38哨戒機、今回繰り返し領空侵犯を行ったのはロシア軍の哨戒機で、これは旧ソ連が冷戦時代、アメリカのロッキード社製P-3哨戒機に対抗し開発したもの。P-3は不発に終わったエレクトラ旅客機に最新のコンピュータを搭載し哨戒機としたもので、ソ連も同じく四発旅客機を哨戒機に改造して投入したもの。対潜哨戒のほか情報収集にも用いられる。
防衛省の発表した写真を見ますと、Il-38哨戒機は兵倉扉を開くなど示威的な飛行を行っていて、魚雷のほか対潜爆弾を搭載できることから礼文島へ爆撃を行いかねない状況でもあったことがわかります。IRフレアーを用いた警告は防衛省によれば三沢基地の北部航空方面隊司令部の判断で実施したとのこと。対領空侵犯でIRフレアーを用いたのは初だ。
IRフレアーは、自衛隊観艦式や地方隊展示訓練において使用する様子をみることができますが、本来は赤外線誘導方式空対空ミサイルによる攻撃を受けた際に強い熱源を発するこのIRフレアーを使用することでミサイルの照準を機体から背けさせることが目的の装備で、武器ではありません。ただ、緊急発進にあたる機体は実弾も装備しています。
警告射撃にはIRフレアーは当たりませんが、過去には警告射撃を実施したことがあります、1987年にTu-16爆撃機を転用した偵察機が沖縄本島上空、嘉手納基地の上空を飛行したため、那覇基地を発進したF-4EJ戦闘機は20mm機関砲を用いた史上初めての警告射撃を実施しています。外務省は正式に抗議し、ソ連政府は後日、制式に謝罪していました。
今回の事件は繰り返し領空侵犯しており、航法ミスというには無理があることから明らかに示威的な領空侵犯といえるでしょう。なお、木原防衛大臣は今回の事件について、IRフレアーや信号弾は武器に当たらないとしています。現在20mm機関砲用に信号弾が開発されており、今後こうしたものの使用を迫られる状況も起こりうるのかもしれません。
防空識別圏に侵入すること、これは飛行情報区という民間航空機の安全管理上、飛行計画を提出していない航空機が侵入することは衝突の懸念が生じ、これは無害通行権が認められる艦船とは別の問題があり、危険な行為です。しかしそれを超えて領空侵犯することは国際法上問題のある行為です。毅然とした対応を続けるべきだ、こうした挑発行為を看過することは、戦争に繋がるのだ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ロシア中国艦隊の遊弋や航空機接近の増大などの緊張が高まっていた北海道へ昨日サンドに渡る領空侵犯事案が発生しました。
ロシア軍機が北海道離島を三度にわたり領空侵犯、航空自衛隊はIRフレアーを使用し警告しました。事件は昨日23日、最初の領空侵犯は北海道礼文島沖で23日1303時から1304時にかけ一分間にわたり領空侵犯したということです。この際、航空自衛隊は領空侵犯以前に戦闘機を緊急発進させ対領空侵犯措置任務を実施、領空接近を警告していたとのこと。
領空侵犯二度目は同一の航空機が旋回を続け1531時頃に約30秒間、再度礼文島へ領空侵犯を行った。そして、更に三度目の領空侵犯を1542時から礼文島で発生したため、航空自衛隊は戦闘機からIRフレアーを使用し警告しました。これをうけロシア機は防空識別圏を退去、四度目の領空侵犯は発生せず、戦闘機による警告射撃には至りませんでした。
Il-38哨戒機、今回繰り返し領空侵犯を行ったのはロシア軍の哨戒機で、これは旧ソ連が冷戦時代、アメリカのロッキード社製P-3哨戒機に対抗し開発したもの。P-3は不発に終わったエレクトラ旅客機に最新のコンピュータを搭載し哨戒機としたもので、ソ連も同じく四発旅客機を哨戒機に改造して投入したもの。対潜哨戒のほか情報収集にも用いられる。
防衛省の発表した写真を見ますと、Il-38哨戒機は兵倉扉を開くなど示威的な飛行を行っていて、魚雷のほか対潜爆弾を搭載できることから礼文島へ爆撃を行いかねない状況でもあったことがわかります。IRフレアーを用いた警告は防衛省によれば三沢基地の北部航空方面隊司令部の判断で実施したとのこと。対領空侵犯でIRフレアーを用いたのは初だ。
IRフレアーは、自衛隊観艦式や地方隊展示訓練において使用する様子をみることができますが、本来は赤外線誘導方式空対空ミサイルによる攻撃を受けた際に強い熱源を発するこのIRフレアーを使用することでミサイルの照準を機体から背けさせることが目的の装備で、武器ではありません。ただ、緊急発進にあたる機体は実弾も装備しています。
警告射撃にはIRフレアーは当たりませんが、過去には警告射撃を実施したことがあります、1987年にTu-16爆撃機を転用した偵察機が沖縄本島上空、嘉手納基地の上空を飛行したため、那覇基地を発進したF-4EJ戦闘機は20mm機関砲を用いた史上初めての警告射撃を実施しています。外務省は正式に抗議し、ソ連政府は後日、制式に謝罪していました。
今回の事件は繰り返し領空侵犯しており、航法ミスというには無理があることから明らかに示威的な領空侵犯といえるでしょう。なお、木原防衛大臣は今回の事件について、IRフレアーや信号弾は武器に当たらないとしています。現在20mm機関砲用に信号弾が開発されており、今後こうしたものの使用を迫られる状況も起こりうるのかもしれません。
防空識別圏に侵入すること、これは飛行情報区という民間航空機の安全管理上、飛行計画を提出していない航空機が侵入することは衝突の懸念が生じ、これは無害通行権が認められる艦船とは別の問題があり、危険な行為です。しかしそれを超えて領空侵犯することは国際法上問題のある行為です。毅然とした対応を続けるべきだ、こうした挑発行為を看過することは、戦争に繋がるのだ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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