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兵庫県南部地震/阪神大震災から17日で28年-考えねばならない地域防災能力強化と住民負担

2023-01-15 07:01:05 | 防災・災害派遣
■追悼-阪神大震災
 次の災害に備える事こそ追悼と祈念のかたちとおもう。

 来週17日は兵庫県南部地震阪神大震災28年目の慰霊の日です。震災記憶の風化という時の経過と共に顕在化する認識があるようですが、実際のところは日本列島は新潟中越地震に長野県北部地震や鳥取県西部地震、東北太平洋沖地震東日本大震災、熊本地震に胆振東部地震と繰り返される地震被害により、防災という認識は一定程度定着しているとおもう。

 阪神大震災、しかし考えなければならないのは、災害について少子高齢化と地域過疎化による地域防災組織の弱体化が指摘される一方、地域防災組織の代替に阪神大震災以降依存度が高まっている自衛隊災害派遣、こうした制度の依存度の高まりが、長年続いた防衛費の抑制と昨年大転換を果たした安全保障政策の見直しにより見直しを求められる可能性が。

 1995年阪神大震災、この頃の日本における安全保障制度は現在よりも超法規措置を前提としたような未整備を有事の際に緊急整備するという建前での整備が進められ、いわば置き去りとされていました。この状況に社会党政権である当時の村山政権も、また兵庫県の貝塚知事を中心とする県庁も対応出来ず、自衛隊も法の枠内での行動に批判が集まりました。

 転換点となった、こう考えるのは続く橋本政権時代の周辺事態法整備と共に小泉政権での有事法制整備と共に、安全保障に関する議論が禁忌から危機管理の重要性に移り変わる景気が阪神大震災であり、また所謂革新自治体であっても災害派遣や防災訓練への自衛隊参加は自然な流れとして定着してゆく事となりました。もちろん、それだけではないのだが。

 法整備の背景には朝鮮半島有事、特にクリントン政権時代にかなり高い可能性として朝鮮半島核危機への米軍介入のリスクがあり、この為の法整備という背景はありました。ただ、この議論を単純に禁忌とさせなかった国民世論の背景には、巨大地震、別の軸線ではあっても国民全体が危機管理というものを認識させる事例が有った為ともいえるでしょう。

 しかし、二つの意味で、次の巨大地震に備えるには自衛隊への依存度から自治体防災、これは消防団や水防団への参加強化と、防災資材蓄積への住民負担、こうした厳しい視点を含めて住民自らが民間防衛という視点で参画を求められる可能性があります。まず防衛力の崩壊、緩慢に進んでおり気付かないでしょうが予算不足は着実に影響しています。

 2011年東日本大震災の時点から比較しますと、ヘリコプターはかなり縮小されました。いや1990年代に多用途ヘリコプターの師団配備など空中機動力強化という流れが有りましたので、2011年の時点では惰性のように航空機が充分あったという背景もあるのですが、これは10年以上前の話であり、老朽化した機体を更新できず、定数割れ部隊がかずおおい。

 安全保障政策の転換も影響しています、防衛費が増額される、防衛費GDP2%という方針が示されましたが、しかし、増額される防衛費は防災にも転用できる各種装備というよりも長距離打撃力整備などに用いられる指針であり、昔の様に、いや今までの様に自衛隊災害派遣能力に依存するのは難しくなる、こうした認識と備えが、必要なのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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