■太平洋側全域が津波被害
東日本大震災が実際に起こるまではあの規模の災害を実際の防災計画に内部化して対策を具現化する事は一種考え過ぎだと注意された事でしょう。
南海トラフ地震、東日本大震災、この二つを東日本大震災慰霊の日に併せて提示するのは、東日本大震災の災害対処が必ずしも最適解と言えず、この供養君を活かすことで次の震災の犠牲者を幾分か減らすことができなければ、その減災の努力こそが慰霊になるのではないか、という、過ちを繰り返さない事による慰霊という日本的視点ゆえです。
非常事態法制が必要ではないか。南海トラフ巨大地震に際し、政府が示した想定被災者数は死者37万という恐るべき数字でした、東日本大震災を念頭に置けば一割程度震災関連死が加わることとなりますが、37万の一割といえば、阪神大震災の死者の六倍に当たる膨大な数、能登半島地震や熊本地震死者数の100倍以上という途方もない規模となる。
都道府県単位や広域連携を行うにも隣県が被災地、という状況が延々と続くわけであり、広域搬送を行うにも大阪神戸名古屋が被災し、内陸部の京都や瀬戸内の松山に広島と岡山がかろうじて直撃を免れる、紀伊半島と四国南部に南九州が津波の直撃を受けるという想定なのですから、先ず救援を受けようにも東京と福岡や仙台しか安全圏はない。
国が正面に立つ以外に選択肢はないのではないか、すると平時の手続きを堅持していては文字通り37万という死者数に繋がる、復興一つとって年間百万単位の移民を募らねば復旧さえ年単位の期間を必要とするような状況ではないか、その為には特措法、現行憲法にある程度抵触する決断を平時の内に行うことこそ為政者の責務ではないか、と。
都道府県単位の防災計画の場合は、南海トラフ地震では隣県の支援が充てにならない、災害時に自分の自治体だけで救援計画を自己完結させるという、能登半島地震でさえ石川県だけでは対応できなかったものなのでしたから、非常に大きな覚悟が必要ですし、なにより、消防は市町村単位、消防だけで支援を受けず行う初動数日間の対応となる。
自衛隊の災害派遣さえ自治体として駐屯地を抱えている地域は別として、いや中部方面隊の駐屯地大半と西部方面隊駐屯地のかなりの数が、被災地の中にある駐屯地、となります。静浜基地と佐伯基地や小松島航空基地は津波の直撃を受けますし、築城基地と呉基地なども影響がおおきい、鹿屋航空基地や阪神基地もある程度影響が考えられ、厳しい。
ヒーローはやってこないかもしれない、とはNHKなどが南海トラフ地震における広域被害に対して広域消防連携の限界や自衛隊災害派遣の限界などを示唆したものです。すると、地元密着の消防団にもう少し深い能力を付与するべきか、住民参加の防災計画がどこまで考えられるか、電気も水道もなく、末期戦的様相さえ考えなければならない。
ダメージコントロール。先ず必要なのは津波正面に一定数の原子力施設が存在し、考えたくない事ではあっても稼働していない原子力施設での全電源喪失を含め、何らかの危険な状況は起こり得るという覚悟です。休止中の原発でも全電源喪失となれば燃料プールでの核燃料崩壊熱による漏洩事故は起こり得るため、この場合への備えが必要となる。
橋梁や隧道に高架道路と歩道橋など、リスクコントロールとして仮に想定される最大規模の地震が発生した場合でも交通を維持できる経路は何処があり得るのか、破損した道路を被災地域の協力会社が重機などを平時に保管している燃料と有事にも確保できる人員を動員した場合の24時間以内に仮通行可能となる区画は、48時間の場合は、などなど。
太平洋側全域が津波被害を受ける想定ですが、先ず食料を空輸するとして、被災地に含まれない安全な倉庫や食品工場などの協力企業の供給量はどの程度で、初動72時間以内に被災地へ搬入しなければならない物資の推定量はどの程度か、その輸送に必要な装備は津波や被災地からの安全圏にどの程度確保されているのか、体制を一か月間持続できるか。
東日本大震災の際には被災地へ連絡する手段がなく総務省は国内のアマチュア無線愛好家へ無線機提供を呼びかけました、本来ならばあの東日本大震災から13年となるのですから想定被災地域問わず自治体単位で無線機など地区ごとの情報と指揮統制を維持するための施策を完成させている頃であるべきですが、実態は能登半島地震被害を見ての通り。
必要な防災備蓄やその輸送手段を都道府県単位で考えた場合、その場合は隣接都道府県との協力は勿論事前調整するのでしょうが、しかし大前提として隣接する都道府県はある程度無事である事を織り込まなければならない、これが南海トラフ地震のような巨大地震では、自治体の想定だけでは、先ず対応しきれない分野が生じるとの認識が必要なのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
東日本大震災が実際に起こるまではあの規模の災害を実際の防災計画に内部化して対策を具現化する事は一種考え過ぎだと注意された事でしょう。
南海トラフ地震、東日本大震災、この二つを東日本大震災慰霊の日に併せて提示するのは、東日本大震災の災害対処が必ずしも最適解と言えず、この供養君を活かすことで次の震災の犠牲者を幾分か減らすことができなければ、その減災の努力こそが慰霊になるのではないか、という、過ちを繰り返さない事による慰霊という日本的視点ゆえです。
非常事態法制が必要ではないか。南海トラフ巨大地震に際し、政府が示した想定被災者数は死者37万という恐るべき数字でした、東日本大震災を念頭に置けば一割程度震災関連死が加わることとなりますが、37万の一割といえば、阪神大震災の死者の六倍に当たる膨大な数、能登半島地震や熊本地震死者数の100倍以上という途方もない規模となる。
都道府県単位や広域連携を行うにも隣県が被災地、という状況が延々と続くわけであり、広域搬送を行うにも大阪神戸名古屋が被災し、内陸部の京都や瀬戸内の松山に広島と岡山がかろうじて直撃を免れる、紀伊半島と四国南部に南九州が津波の直撃を受けるという想定なのですから、先ず救援を受けようにも東京と福岡や仙台しか安全圏はない。
国が正面に立つ以外に選択肢はないのではないか、すると平時の手続きを堅持していては文字通り37万という死者数に繋がる、復興一つとって年間百万単位の移民を募らねば復旧さえ年単位の期間を必要とするような状況ではないか、その為には特措法、現行憲法にある程度抵触する決断を平時の内に行うことこそ為政者の責務ではないか、と。
都道府県単位の防災計画の場合は、南海トラフ地震では隣県の支援が充てにならない、災害時に自分の自治体だけで救援計画を自己完結させるという、能登半島地震でさえ石川県だけでは対応できなかったものなのでしたから、非常に大きな覚悟が必要ですし、なにより、消防は市町村単位、消防だけで支援を受けず行う初動数日間の対応となる。
自衛隊の災害派遣さえ自治体として駐屯地を抱えている地域は別として、いや中部方面隊の駐屯地大半と西部方面隊駐屯地のかなりの数が、被災地の中にある駐屯地、となります。静浜基地と佐伯基地や小松島航空基地は津波の直撃を受けますし、築城基地と呉基地なども影響がおおきい、鹿屋航空基地や阪神基地もある程度影響が考えられ、厳しい。
ヒーローはやってこないかもしれない、とはNHKなどが南海トラフ地震における広域被害に対して広域消防連携の限界や自衛隊災害派遣の限界などを示唆したものです。すると、地元密着の消防団にもう少し深い能力を付与するべきか、住民参加の防災計画がどこまで考えられるか、電気も水道もなく、末期戦的様相さえ考えなければならない。
ダメージコントロール。先ず必要なのは津波正面に一定数の原子力施設が存在し、考えたくない事ではあっても稼働していない原子力施設での全電源喪失を含め、何らかの危険な状況は起こり得るという覚悟です。休止中の原発でも全電源喪失となれば燃料プールでの核燃料崩壊熱による漏洩事故は起こり得るため、この場合への備えが必要となる。
橋梁や隧道に高架道路と歩道橋など、リスクコントロールとして仮に想定される最大規模の地震が発生した場合でも交通を維持できる経路は何処があり得るのか、破損した道路を被災地域の協力会社が重機などを平時に保管している燃料と有事にも確保できる人員を動員した場合の24時間以内に仮通行可能となる区画は、48時間の場合は、などなど。
太平洋側全域が津波被害を受ける想定ですが、先ず食料を空輸するとして、被災地に含まれない安全な倉庫や食品工場などの協力企業の供給量はどの程度で、初動72時間以内に被災地へ搬入しなければならない物資の推定量はどの程度か、その輸送に必要な装備は津波や被災地からの安全圏にどの程度確保されているのか、体制を一か月間持続できるか。
東日本大震災の際には被災地へ連絡する手段がなく総務省は国内のアマチュア無線愛好家へ無線機提供を呼びかけました、本来ならばあの東日本大震災から13年となるのですから想定被災地域問わず自治体単位で無線機など地区ごとの情報と指揮統制を維持するための施策を完成させている頃であるべきですが、実態は能登半島地震被害を見ての通り。
必要な防災備蓄やその輸送手段を都道府県単位で考えた場合、その場合は隣接都道府県との協力は勿論事前調整するのでしょうが、しかし大前提として隣接する都道府県はある程度無事である事を織り込まなければならない、これが南海トラフ地震のような巨大地震では、自治体の想定だけでは、先ず対応しきれない分野が生じるとの認識が必要なのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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