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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新飛行艇US-3を開発せよ!【2】US-2飛行艇の製造技術継承を期しC-2輸送機P-1哨戒機と部品を共通化

2023-11-25 20:01:11 | 先端軍事テクノロジー
■飛行艇技術基盤維持
 US-3という名称を用いましたがUS-2の性能に不安や不満がある訳ではありません。

 US-2の後継機としてUS-3,それはUS-2の能力が陳腐化したというわけではありません、しかし現状US-2の量産規模は潜水艦以下でしかない、潜水艦でさえ毎年1隻が発注されていて、造船所をあけないようにしているのにたいして、潜水艦と同じ神戸市で建造されているUS-2にはこうした配慮がなされていない点が問題と考えます。云われ続けた問題だ。

 700億円、新明和工業は甲南工場を維持する覚悟があるようですが下請けとなる三菱重工と川崎重工が難色を示している故、仮にこの二つの企業が、下手をすれば五年に一度しかない受注にはつき合いきれない、という妥当は経営判断とともに撤退した場合には、US-2は一機700億円、もがみ型護衛艦よりも高価になってしまう。飛行艇全廃さえあり得る話だ。

 もがみ型よりも高価になるならばこちらを建造したほうが、と救難護衛艦というものを構想してみたくもなるのですが、速力の面で航空機と艦艇では比較対象になりません。ただ、問題は川崎重工と三菱重工が撤退しないのであれば250億円で建造することが可能という点で、それならば三菱重工と川崎重工が参画できる道を探るべきではないかと考える。

 P-1哨戒機とC-2輸送機、まさか短絡的に思い切ってC-2輸送機を水上機に改造しろというわけではありません、既存輸送機の飛行艇への改造はアメリカがC-130を飛行艇に改造する1960年代の構想をなぞるように、特殊作戦用にC-130へフロートを追加する案を提示し2022年内に試作機が完成するといわれていましたが、モックアップさえ実現しません。

 C-2とP-1,しかし重要なのは日本は既に哨戒機と輸送機という全く用途の異なる航空機を同時開発し、一部部品の共通化というかなり難しい施策に成功しています、そこで、例えば主翼フラップやコックピット部分とフライバイライト装置などでUS-2にP-1とC-2の共通部品を採用させた機体を開発、これをUS-3とすることは、できないか。

 F-7エンジン、P-1哨戒機のエンジンをUS-3に搭載してジェット哨戒機とできれば、もちろんこれは海水を吸い込みやすい飛行艇という運用環境ですので、ロールスロイスエンジンのような能力を、一応海面すれすれを超低空運用することを想定したP-1哨戒機のエンジンとはいえ、飛行艇で使うにはその適合性を有しているかは検討が必要なのですけれど。

 国産のF-7エンジンを飛行艇に搭載できることとなれば、US-2がP-3Cを同じエンジンを搭載することで整備補給面の互換性を高めたように、整備負担を抑えることができるかもしれません。ただ、エンジンは現状でも同系統を海上自衛隊はC-130R輸送機で運用しているため、技術的に無理ならばF-7に固執すべきではないとも考えますが、検討候補です。

 US-2と比較した場合、US-1AとUS-2ではフライバイライト制御装置の採用や与圧構造への変更など、かなり革新的な改編を実施しました、しかしUS-2の性能そのものに着眼した場合、実のところなにも問題はなく、製造ラインを維持できない、ということだけが問題なのですから、開発リスクはそれほど高くないということは重要です。期間も短縮できる。

 ジェット飛行艇、なかなか迫力がありそうで世界ではロシアのベリエフBA-200飛行艇くらいしか実用機がありませんのでF-7を飛行艇用として転用できるならば素晴らしいことですが、無理に転用できないならば無理をしてはいけない、とも。理想はP-1の主翼を高翼配置として胴体をUS-2のまま、コックピットはC-2と共通、という。

 現実的なものは、ともかくできる限りでもP-1,C-2と部品を共通化させ、とにかく三菱重工と川崎重工の製造参加を維持する、ということ。夢はないのかもしれませんが、製造できなければ実機がなくなり、夢はもちろん悪夢さえ見ることができなくなる、US-3が目指すべきはとにもかくにも製造の維持、という一点に絞るべきでしょう。それなら可能性が。

 US-2からUS-3の名称を使うには製造維持に重点が置かれ技術革新が無い、と否定される場合には、US-2Aという名称を用いても良いのかもしれません。ただ、US-3にしてもUS-2Aにしても、現状のUS-2があるのは曲がりなりにもUS-2を新明和工業が製造継続していてくれている故の産物、企業合理性を越えた社会的貢献ゆえ。いつまでも甘えられない。

 新明和工業に甘えていて良いのか、暴騰のいや冒頭の700億円という数字をサルのように鵜呑みにするべきではなく、先ず量産、生産ラインというものを政治は認識すべきです、それはアパッチロングボウへ富士重工が示した350億円という数字と同じで、制度上訴訟以外国にものの言えない防衛産業が示した自決まえの最後の通知なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (ねこまんま)
2023-11-27 02:48:38
US-2でも人員輸送型への改良により、FFMの1クール分は移動可能です。
要員を陸上施設に移送するメリットは大きいと思います。
これにより、ライン維持しながらUS-3を作って欲しいです。
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