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ウクライナ情勢-DGFドニエプル軍集団の移動開始と督戦に当る防壁部隊,ウクライナ軍攻撃中断は威力偵察か

2023-06-25 07:00:23 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ワグネル武装蜂起のクーデター事案に関しては現在情報収集中ですのでウクライナ戦争の全般状況を。

 ロシア軍はザポリージャ戦区とバフムト戦区の防衛のためにドニエプル川東岸を防衛するDGFドニエプル軍集団の一部を移駐させ始めた可能性がある、イギリス国防省ウクライナ戦況報告6月19日付版により分析されています。移動を開始した部隊は第49軍の第34独立自動車化狙撃旅団と空挺部隊や海軍歩兵部隊など、少なくとも数千名規模という。

 DGFドニエプル軍集団の移動開始について、ロシア軍はカホフカダム破壊によるドニエプル川周辺地域の水没により、ウクライナ軍がドニエプル川周辺地域での反撃が行えない状況にあると解釈した可能性をイギリス国防省は指摘しています。大規模な洪水被害に見舞われたドニエプル川周辺地域については、ようやく水が引き始めたとされています。

 ドニエプル川周辺地域について、ロシア軍占領地域ではコレラの発生が報告されており、ダム破壊による上下水道の破壊と不徹底の消毒作業により伝染病が蔓延し始めたことを示しています。コレラは住民にも感染者が多数出ていると予測できますが詳細は不明で、ロシア軍部隊には相当数の患者が出ていることが病院占拠などにより判明しています。
■威力偵察なのか?
 現在の隔靴掻痒という状況は反撃の攻撃軸を探る威力偵察なのでしょうか。

 ウクライナ軍は威力偵察の段階を完了した可能性がある、これはISWアメリカ戦争研究所が6月18日に発表した情報で、この戦争を分析しているエストニア国防研究所のマルゴゴルスベルク大佐の分析として、一週間にわたりウクライナ軍の顕著な攻撃が見られない、としており、これまでの反撃は大規模な反撃前の威力偵察である可能性を示した。

 威力偵察、ウクライナ軍は陸軍10個旅団に加え新設部隊や海軍陸戦隊と志願兵部隊などを加え25個旅団をこの反撃に準備しており、これまで戦闘加入した部隊は明らかに小規模となっています。これは前線のすべての地域で小規模な攻撃を加え、その反撃度合いなどからロシア軍防衛線の穴を探そうとしている可能性が考えられるのです。その穴とは。

 ロシア軍は防壁部隊という、前線からの逃亡兵などを制圧する督戦部隊を配置しており、例えば小規模な攻撃に対して逃亡する兵力の大きな地域は指揮系統の問題や士気そのものに問題があることを示しています、ウクライナ軍の戦闘はロシア軍前哨陣地を相手としたものに限られていますが、主陣地の戦力評価を考えている可能性をISWは指摘しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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