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ウクライナ情勢-モスクワ周辺地対空ミサイル配備強化とセヴァストポリ軍港潜水艦ロストフナドヌ破壊

2023-09-20 07:00:36 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
  情勢は大きく動いているという率直な印象です。こうした中で最初の話題は自爆用無人機による都市攻撃の脅威と日本も現在は戦域における無人機対策に重点を置いていますが都市攻撃への対策を進める必要性をせまるもの。

 ロシア軍はモスクワ周辺の地対空ミサイル配備を強化している、イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月12日付情報としてその概要が示されました。具体的には9月以降首都モスクワ周辺のビル屋上や公共施設屋上にSA-22地対空ミサイルシステムが配備されており、また仮設塔などの上にもSA-22地対空ミサイル配備が行われているとのこと。

 SA-22地対空ミサイルを目立つ場所に配備することについて、イギリス国防省は相次ぐ空軍基地へのウクライナ軍無人機による攻撃等を受け、具体的に攻撃を阻止するのではなく、当局が無人機攻撃に十分備えている、という事を見せつけることが目的ではないか、と分析しています。モスクワは現在、毎日のように無人機攻撃を受け被害が出ています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 数百mとはいうものの場所が場所だけにロシア軍は対応を迫られている構図です。

 ウクライナ軍は南部戦線ザポリージャ州西部において500m程度前進に成功した、ISWアメリカ戦争研究所の9月12日付戦況分析においてその概況を示しています。これはウクライナ軍のタヴリスク地区報道官の発言によるもので、オリヒフの南4kmにあるノヴォダニリフカにおいて前進したとのこと。500mとは重厚なロシア防御線への切り込み。

 東部戦線では一方北部戦域においてロシア軍がスヴァトフの北西14kmのノヴォセリヴスケ地区においてウクライナ軍防衛線へ攻撃を仕掛けており、散発的な攻撃ではなく防衛線を突破しようとする攻勢を仕掛けているとのこと。東部戦線北部ではクピャンスクとスヴァトフとクレミンナにおいて戦闘が継続していますが、具体的な前進はありません。
■セヴァストポリ軍港
 セヴァストポリ軍港が攻撃され揚陸艦と潜水艦が破壊されるというかなり大きな事態が。

 ロシア海軍はセヴァストポリ軍港において整備中であった揚陸艦ミンスクと帰路級潜水艦ロストフナドヌがウクライナ軍ミサイル攻撃を受け修理不能の損害を受けました、イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月15日付分析では、ウクライナ軍の攻撃は現地時間の13日未明に行われ、ドックに入渠中であった潜水艦と揚陸艦に命中したもよう。

 キロ級潜水艦はディーゼルエレクトリック方式の通常動力潜水艦で、カリブル巡航ミサイル運用能力を持ちます。しかし、特筆すべきは黒海艦隊の潜水艦が破壊されるのは今回が初めてであり、またロシア海軍にとっても第二次世界大戦後、千島沖で終戦直後に引き上げ船を攻撃し逆に撃沈された潜水艦以降、ソ連時代を通し初めて事故以外で喪失しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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