■名古屋へ艦隊の入港
2006年、名古屋港へ近海練習航海部隊が入港した。海上幕僚監部ニュースリリースによれば、折しも間もなく神戸港に同じく近海練習航海部隊が寄港するが、むろんタイムスケジュールは基本的に全く異なり、なによりも寄港する港が別である為参考になるかは微妙であるが、その模様を掲載したい。
江田島海上自衛隊幹部候補生学校課程を修了した第56期一般幹部候補生190名を載せた“かしま”“あまぎり”“やまぎり”の三隻は、朝靄煙る朝の名古屋港、0820時に練習艦隊司令官佐々木孝宣海将補乗艦の練習艦“かしま”を先頭に艦隊の入港が始まる。
タグボートに誘導され0835時、いよいよ“かしま”が接岸作業を開始する。続いて0850時には二隻が入港を開始する。手前は護衛艦“あまぎり”、後方は練習艦“やまぎり”である。
本艦は満載排水量5400㌧、ガスタービン時代に対応するべくCODOG方式27000馬力の主機は25ノットの速力を発揮する。全長143㍍、幅18㍍、深さ12㍍で、76㍉単装砲、3連装短魚雷発射管を搭載し、この他練習艦としてミサイルや対潜兵装の発射シュミュレータを搭載している。艦内には講堂を有する他、国賓級の来賓にも対応できる貴賓室を設けている。
“かしま”の76㍉砲越しに二隻の艦艇を見る。これまでは旧式護衛艦を改造する形で練習艦としていたが、練習艦隊所属の艦艇では、護衛艦隊などから練習航海に派遣された護衛艦に追随できないという状況があり、更に旧式艦ではヘリコプター関連設備の実習(発着艦訓練は練習艦用途護衛艦では格納庫に講堂を設置している為出来ないが)、更にミサイル時代への対応にも限界がある。特に“はつゆき”型以前のDDで近代化された二隻以外、“あぶくま”型以前のDEでは対艦ミサイルへの対処能力という観点では完全に時代遅れという問題があった。
第十音楽隊の演奏に迎えられ0920時、行進する幹部候補生、飛行幹部候補生と乗員。海上自衛隊幹部候補生学校は、広島江田島の旧海軍兵学校時代の赤煉瓦庁舎を用いて運用されている。“ああ海軍”などの戦争映画にも登場する幹部候補生学校は、現在でも大鏡など当時の備品が残されている。旧海軍兵学校は四年制であったが、一般幹部候補生や防衛大学校出身者の進路にある為、修業は一年である。一般の大学は“真理の追究と真実の発見”にあるが、幹部候補生学校ではシーマンシップを叩き込むことにある。
名古屋ポートタワーの隣に勢ぞろいした近海練習航海部隊。一般公開まで時間があった為水族館方面から撮影。この部隊は呉基地を出港し大阪港に寄港、その後この名古屋港に入港し、その後は大湊基地、横須賀基地、東京港に寄港する。
時を同じくして外洋練習航海部隊がフィリピン方面に航海しているが、写真の近海練習航海部隊は、東京港より、遠航部隊として北米方面へ向かっている。
護衛艦“あまぎり”の格納庫、SH-60J紹介ヘリコプターが展示されている。
航空祭ではお馴染の機体であるが、ローターやテイル部分を折畳んだ姿は航空祭ではまず見ることが出来ないため(航空基地祭であれば見ることが出来るが、名古屋から近傍の航空基地である舞鶴も結構距離がある)、多くのファンがカメラを向けていた。この他、“かしま”の講堂、艦橋などが航海されていた。
■神戸港近海練習航海部隊入港のお知らせ
2007年3月21日から4月19日にかけて近海練習航海(その2)が行われており、23日に神戸港に入港、26日まで神戸港に滞在する。
阪神基地隊公式HPのお知らせでは、艦隊は神戸港新港第四突堤に入港することが内定したとのことである。阪急三ノ宮駅や、JR神戸線三宮駅から一応徒歩圏内であるが、ポートライナー線ポートターミナル駅からが最も近い。写真は神戸市役所より第四突堤付近を撮影した写真であるが、ヘリコプター巡視船“せっつ”が接岸している埠頭の対岸、手前の白い建物がある付近の埠頭が第四突堤であると考えられる。
神戸ルミナリエとして幾度か特集した夜の神戸であるが、神戸市内の夜景も非常に美しい。しかし、ルミナリエには規模で及ばないものの三隻の自衛艦が23日、24日にかけて1900時~2200時に夜間電飾が展示される。また、体験航海といったものは無いが、24日には練習艦“かしま”が0900~1100、1300~1530時まで一般公開され、25日には同じ時間帯で三隻が一般公開される。一般公開には特別な手続きは不要とのこと、ただしサンダルでの乗艦、ペット同伴は禁止である。
神戸ポートアイランドの先には神戸空港があり(神戸空港にて撮影した写真が手元に無い為、神戸空港開港祝賀の“ヒコーキ提灯”を掲載した)、航空ファンにも楽しめる場所であり、また、元町の中華街はグルメ通もうならせるものである。皆さんも、もしお時間があれば展開を検討されてみては如何であろうか。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)