北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

2006年3月26日近海練習航海部隊名古屋寄港

2007-03-21 12:12:19 | 海上自衛隊 催事

■名古屋へ艦隊の入港

 2006年、名古屋港へ近海練習航海部隊が入港した。海上幕僚監部ニュースリリースによれば、折しも間もなく神戸港に同じく近海練習航海部隊が寄港するが、むろんタイムスケジュールは基本的に全く異なり、なによりも寄港する港が別である為参考になるかは微妙であるが、その模様を掲載したい。

Img_9684_1_1  江田島海上自衛隊幹部候補生学校課程を修了した第56期一般幹部候補生190名を載せた“かしま”“あまぎり”“やまぎり”の三隻は、朝靄煙る朝の名古屋港、0820時に練習艦隊司令官佐々木孝宣海将補乗艦の練習艦“かしま”を先頭に艦隊の入港が始まる。

 タグボートに誘導され0835時、いよいよ“かしま”が接岸作業を開始する。続いて0850時には二隻が入港を開始する。手前は護衛艦“あまぎり”、後方は練習艦“やまぎり”である。

Img_9698  練習艦“かしま”、接岸後も入港作業は続く。

 本艦は満載排水量5400㌧、ガスタービン時代に対応するべくCODOG方式27000馬力の主機は25ノットの速力を発揮する。全長143㍍、幅18㍍、深さ12㍍で、76㍉単装砲、3連装短魚雷発射管を搭載し、この他練習艦としてミサイルや対潜兵装の発射シュミュレータを搭載している。艦内には講堂を有する他、国賓級の来賓にも対応できる貴賓室を設けている。

Img_9715  “かしま”の76㍉砲越しに二隻の艦艇を見る。これまでは旧式護衛艦を改造する形で練習艦としていたが、練習艦隊所属の艦艇では、護衛艦隊などから練習航海に派遣された護衛艦に追随できないという状況があり、更に旧式艦ではヘリコプター関連設備の実習(発着艦訓練は練習艦用途護衛艦では格納庫に講堂を設置している為出来ないが)、更にミサイル時代への対応にも限界がある。特に“はつゆき”型以前のDDで近代化された二隻以外、“あぶくま”型以前のDEでは対艦ミサイルへの対処能力という観点では完全に時代遅れという問題があった。

Img_9736_1_1  第十音楽隊の演奏に迎えられ0920時、行進する幹部候補生、飛行幹部候補生と乗員。海上自衛隊幹部候補生学校は、広島江田島の旧海軍兵学校時代の赤煉瓦庁舎を用いて運用されている。“ああ海軍”などの戦争映画にも登場する幹部候補生学校は、現在でも大鏡など当時の備品が残されている。旧海軍兵学校は四年制であったが、一般幹部候補生や防衛大学校出身者の進路にある為、修業は一年である。一般の大学は“真理の追究と真実の発見”にあるが、幹部候補生学校ではシーマンシップを叩き込むことにある。

Img_9772  名古屋ポートタワーの隣に勢ぞろいした近海練習航海部隊。一般公開まで時間があった為水族館方面から撮影。この部隊は呉基地を出港し大阪港に寄港、その後この名古屋港に入港し、その後は大湊基地、横須賀基地、東京港に寄港する。

 時を同じくして外洋練習航海部隊がフィリピン方面に航海しているが、写真の近海練習航海部隊は、東京港より、遠航部隊として北米方面へ向かっている。

Img_9788_1  護衛艦“あまぎり”の格納庫、SH-60J紹介ヘリコプターが展示されている。

 航空祭ではお馴染の機体であるが、ローターやテイル部分を折畳んだ姿は航空祭ではまず見ることが出来ないため(航空基地祭であれば見ることが出来るが、名古屋から近傍の航空基地である舞鶴も結構距離がある)、多くのファンがカメラを向けていた。この他、“かしま”の講堂、艦橋などが航海されていた。

■神戸港近海練習航海部隊入港のお知らせ

 2007年3月21日から4月19日にかけて近海練習航海(その2)が行われており、23日に神戸港に入港、26日まで神戸港に滞在する。

Img_5091  阪神基地隊公式HPのお知らせでは、艦隊は神戸港新港第四突堤に入港することが内定したとのことである。阪急三ノ宮駅や、JR神戸線三宮駅から一応徒歩圏内であるが、ポートライナー線ポートターミナル駅からが最も近い。写真は神戸市役所より第四突堤付近を撮影した写真であるが、ヘリコプター巡視船“せっつ”が接岸している埠頭の対岸、手前の白い建物がある付近の埠頭が第四突堤であると考えられる。

Img_5945_2  神戸ルミナリエとして幾度か特集した夜の神戸であるが、神戸市内の夜景も非常に美しい。しかし、ルミナリエには規模で及ばないものの三隻の自衛艦が23日、24日にかけて1900時~2200時に夜間電飾が展示される。また、体験航海といったものは無いが、24日には練習艦“かしま”が0900~1100、1300~1530時まで一般公開され、25日には同じ時間帯で三隻が一般公開される。一般公開には特別な手続きは不要とのこと、ただしサンダルでの乗艦、ペット同伴は禁止である。

Img_7525  神戸ポートアイランドの先には神戸空港があり(神戸空港にて撮影した写真が手元に無い為、神戸空港開港祝賀の“ヒコーキ提灯”を掲載した)、航空ファンにも楽しめる場所であり、また、元町の中華街はグルメ通もうならせるものである。皆さんも、もしお時間があれば展開を検討されてみては如何であろうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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海上自衛隊掃海輸送ヘリコプターMCH-101

2007-03-20 01:33:40 | 先端軍事テクノロジー

■MCH-101 伊勢湾で試験?

 三月四日、日曜日ながら海上自衛隊の新型掃海輸送ヘリコプターMCH-101二号機が川崎重工より海上自衛隊へ納入を控えた飛行試験を実施していた。この様子は三重県に展開中のC.ジョニー氏も偶然これを撮影しており、伊勢湾において何らかの試験を行っていたと思われる。既報ながらMCH-101は2006年2月に初号機を撮影し、T-3練習機二機編隊飛行の際やT-3ラストフライト?の際にも扱っている。

Img_3855  今回の写真は、これまでのMCH-101よりもやや鮮明に撮影することが出来た点、更に撮影後判明したことであるが、ギア出しの試験を行っていたようである。さて、MCH-101の原型であるEH-101は、“MERLIN”即ち『予言者』と呼称され、大型ヘリコプターに区分される機体ながら、機動性に優れ、3Gまでの最大荷重が承認されている。ちなみに、MCHとあることからも判るように、掃海機具を降ろせば輸送ヘリとして運用可能であり、座席使用時に30~35、座席を使用しない場合であれば最大で45名の完全武装人員を輸送可能であるとのことだ。

Img_3856  海上自衛隊への採用は砕氷艦搭載ヘリ・掃海ヘリコプターの一元化という構想のもとで機種選定が進められ、2003年6月5日に防衛庁より決定が発表された。掃海用に3機、輸送用に6機を運用する目的で、第111航空隊へ11機、砕氷艦搭載用に3機という14機の調達が構想されている。海上自衛隊の採用が決定された時点で155機が発注を受けており、今後もその数は増加することが見込まれている。現行のMH-53Eと比較した場合、キャビン部分は7.09㍍、最大幅2.49㍍、全高1.83㍍であり(ハッチ部分は幅2.0㍍高さ1.90㍍)、MH-53Eの全長9.14㍍、最大幅2.29㍍、全高1.98㍍と遜色ない。

Img_3858  また、新砕氷艦や16DDHへの搭載が見込まれているが、ローターを折畳んだ場合は機体が幅5.20㍍、全長15.75㍍、全高5.20㍍に収まるが、これはMH-53Eよりもかなり小さい。脚を納めたスポンソン部分には緊急着水時用のフロートが収められており、海上での運用に配慮したものとなっている。日本向けの機体には掃海用、輸送用、砕氷艦搭載用と三種類の電子装備が必要に応じ搭載され、これは日本国内の整備を担当する川崎重工により整備される。

Img_3860  MCH-101の原型であるEH-101を開発したEHインダストリアルは、イタリアのアグスタ社、イギリスのウエストランド社の合弁企業であり、純然たる欧州機であるが、海外ではイギリス、イタリアにおいて艦載哨戒ヘリ、カナダ、デンマーク、ポルトガルが捜索救難機として採用しており、将来的には自衛隊においてもより広範に採用される可能性を秘めているといえるだろう。

■北大路機関広報:神戸港に練習艦隊入港

 C.ジョニー氏にお教えいただいた情報ですが、阪神基地隊HPに練習艦隊入港のお知らせが掲載されていました。3月23日から26日に寄港し、練習艦“かしま”、練習艦“しまゆき”、護衛艦“あさぎり”が、それぞれ24日、25日に一般公開を実施、23日、24日には夜間電飾も行われるようです。詳しくはリンク先をご覧下さい。C.ジョニー様、情報ありがとうございました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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2006年4月9日陸上自衛隊信太山駐屯地祭

2007-03-19 16:21:05 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■第37普通科連隊創設記念行事

 今日もT-3が飛行したという情報はさておき、大阪府和泉市の陸上自衛隊信太山駐屯地には大阪府唯一の普通科部隊として第37普通科連隊が駐屯している。新春の駐屯地祭とあり満開の桜花に囲まれての行事であったが、2006年に実施された駐屯地祭からその様子をお伝えしたい。

Img_0489  信太山駐屯地へはJR信太山駅からの無料シャトルバスが出ていたが、展開した際には0815時頃になっても案内にあたる広報の方が駅前にまだ到着していない状態で、一列に並ぼうにも何処から並んでよいのやらという状況であった。25名程度が乗れるバスが来たが、間隔はあるものの本数はしっかりとしており、式典前に余裕をもって駐屯地に到着することが出来た。駐屯地には0900時頃に到着したが、駐屯地は広く、シャトルバスの乗降所から小火器展示会場や出店の前を移動し、グラウンドに移動する。

Img_0720  0940時には式典に参加する隊員がグラウンド周辺に整列を始める。観閲行進に参加する車輌はモータープールに集結しているが、残念ながら危険なため立ち入り禁止となっている。

 0945時頃から第三音楽隊がグラウンドに入場を開始する。その数分後、太鼓に歩調を合わせながら行進して普通科隊員らが入場する。並ぶ赤いマフラーは普通科の職種を現している。いよいよ式典開始である、姿勢を正した部隊の前を1005時には連隊長乗車の73式小型トラックが部隊巡閲を行う。

Img_0522  指揮官訓示、そして来賓祝辞が行われた後、1030時より観閲行進を行うべく音楽隊がモータープールからグラウンドに移動する。1035時、まず連隊旗を掲げた82式指揮通信車を先頭に連隊幕僚が乗車した車輌を先頭に徒歩行進が行われる。89式小銃やMINIMI分隊機銃、110㍉個人対戦車弾を携帯した隊員は、各普通科中隊から一個小隊くらいの隊員を参加させての観閲行進である。徒歩行進は五分ほどで終わるものの、見学者には強い印象をあたえるものだ。

Img_0530  1040時頃、いよいよ車輌行進の開始である。まず、第三中隊の高機動車が行進する。会場左手のモータープールより続々と車輌が展開してくるが、勾配を曲がり会場に進入する車輌は望遠レンズの圧縮効果にて撮影すれば非常の多くの車輌が一枚に納まる。師団や方面隊行事とは異なり、高機動車に隊員が乗車していないのはご愛嬌。

 それに続いて第五中隊の軽装甲機動車9輌が会場前を通過する。

Img_0728_1  軽装甲機動車はやはり高機動車と比べてより戦闘車輌というに相応しい物々しさである。それに続いて重迫撃砲中隊の120㍉重迫撃砲RT,本部管理中隊情報小隊の偵察オートバイや通信小隊の通信車輌(73式中型トラックに車載したもの)、本部管理中隊施設作業小隊のドーザーや資材運搬車、衛生小隊の救急車が行進する。

 駐屯地祭に幾度か足を運ばれた方も施設作業小隊などの装備には新鮮なのではなかろうか。

Img_0561  連隊の車輌に引き続き、第三師団隷下の車輌も観閲行進を展開する。大久保駐屯地より展開した第三施設大隊の81式自走架橋装置、姫路駐屯地の第三特科隊よりFH-70榴弾砲と第三高射特科大隊の81式短SAM,93式近SAM,伊丹駐屯地の第三偵察隊より87式偵察警戒車、そして今津駐屯地より展開した第三戦車大隊の74式戦車と戦車大隊本部管理中隊所属の73式装甲車が観閲行進の最後を飾る。車輌行進は五分ほどであるが非常に内容が濃いものである。最後に1045時、八尾より飛来したOH-6D三機とUH-1H1機が祝賀飛行を行う。

Img_0600  観閲行進終了後、音楽隊が会場前に前進する。1050時、副連隊長が連隊長に観閲行進終了を報告し、訓練展示(模擬戦闘)の為の準備に入る。1105時頃には砂塵を防ぐ為消防車が観閲台前に散水を行い、1110時頃には会場左手の仮設陣地に赤いテープを巻いた仮設敵が展開する。状況開始!OH-6D観測ヘリが会場上空に飛来し、物凄い機動飛行を展開する。1114時、その情報をもとにUH-1H多用途ヘリより情報小隊の隊員が降下する(写真)。

Img_0784  1116時、陣地構築に先立つ情報収集の為に偵察隊が進入、それに並行して64式や87式といった対戦車誘導弾、120㍉、81㍉迫撃砲、FH-70榴弾砲が陣地展開を開始し、1120時、FH-70榴弾砲が空包を射撃する(一発と記憶)、続いて露出した仮設敵陣地を沈黙させるべく1122時、74式戦車が発砲、1124時には航空支援にあたるべくAH-1Sが飛来する。1125時、3輌の軽装甲機動車より降車した普通科隊員が攻撃前進を開始し、1129時には陣地に突入する。仮設敵陣地より出現した73式装甲車を74式戦車が撃破、その後戦車や偵察警戒車、指揮通信車が突入(写真)し、状況は終了となった。

Img_0861  その後、装備品展示準備に移行し1210時にはUH-1H,AH-1Sが着陸、戦車、装甲車、火砲、誘導弾、架橋装置、浄水装置など師団の保有する主要装備の多くが一列に並べられ、1235時前には装備品展示が開始される。

 以上が昨年実施された信太山駐屯地祭の顛末である。今年度も展開を検討されている方がいらしたら、参考になれば幸いである。

HARUNA

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東北方面隊記念行事 小牧基地航空祭 アルバム作成

2007-03-18 23:11:24 | 北大路機関 広報

■フォトアルバムに東北方面隊記念行事・小牧基地航空祭を追加

 おかげさまで本日21時頃にアクセス解析開始から50000アクセスを突破した北大路機関であるが、北大路機関右サイドバーに掲載しているフォトアルバムに東北方面隊記念行事、小牧基地航空祭の模様を追加した。

Img_8073  2006年10月1日に撮影した東北方面隊記念行事アルバムを追加した。

 北大路機関で既報の東北方面隊創設46周年記念行事は、宮城県仙台市の霞目飛行場において実施された式典で、広大な飛行場の全面に部隊や車輌を待機させ、観閲行進や訓練展示(野砲を用いた野外音楽演奏)を開催したもので、隷下にある師団をうけたばかりの第六師団や、師団改編を受けず旧式装備を維持し精強さをもってこれを補う第九師団の対比や、新しく教育訓練部隊と即応予備自衛官部隊を統合し新編された東北方面混成団など興味深い部隊が配置され、任務に励んでいる。

 従来はフォトアルバムには5枚の写真を厳選し掲載し、詳報記事を補完するべく検索性の向上に主眼を置いた編集方針であったが、今回はより一連の流れを強調するべく10枚の写真を掲載している。

Img_8404

 フォトアルバムに続いて小牧基地航空祭06を追加した。

 航空祭の詳報であり、北大路機関既報記事である小牧基地航空祭2006と共にご覧いただければ幸いである。

 先日も航空自衛隊小牧基地神明公園からの撮影として撮影に長躯展開した小牧基地であるが、第五術科学校T-1練習機の退役後という中で、救難展示や輸送機による編隊飛行、機動飛行などの飛行展示が実施され、なによりも絵に書いたという他ないような、蒼穹の青空を背景として順光の下、これぞ航空祭という手応えで撮影することが出来た写真である。こちらも10枚の写真を掲載したので、お時間があれば、ご覧いただきたい。

HARUNA

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航空自衛隊小牧基地 神明公園からの撮影

2007-03-17 15:49:53 | 航空自衛隊 装備名鑑

■小牧基地が見える丘 神明公園

 航空自衛隊小牧基地は、名古屋市から程近い愛知県の小牧にあり、国際貢献に必要なC-130H輸送機の拠点として、また航空救難の教育拠点としての任務をになっている。また、その立地はかつて国際線も乗り入れた名古屋空港(県営名古屋空港)に隣接している。小牧への平日展開はT-1練習機ラストフライト以来、基地へも小牧基地航空祭2006以来である。

Img_7256_1  今回はC.ジョニー氏にお教えいただいたスポットからの撮影である。航空自衛隊の基地を一望できる公園というものも珍しいと思うのだが、神明公園という小高い丘を人工的に造成した公園があり、管制塔を模した木造の展望台や、航空館BOONという小さな博物館、そして螺旋状の散歩道を有する一際高い丘がある。ここは嘉手納基地の安保の丘よりも基地に近く、更に民間のヘリコプターや隣にある三菱重工小牧南工場から搬出される自衛隊機、民間機なども撮影は容易である。

Img_7109  これまでは中央線春日井駅から徒歩やタクシー、若しくは名鉄小牧線牛山駅から、やはり徒歩という方式、更には西春駅からバスを利用し空港ターミナル付近から撮影しか方法が無いとおもっていたのだが、神明公園へは、栄からバスが出ていることを教えていただいた。なるほど、テレビ塔の膝元、あおい交通のバスを利用すれば30分ほどで到達することが出来る。到着すると、新田原からのT-4練習機が二機並んでいた。また、UH-60Jも訓練の為に飛行を開始する。

Img_7117  小牧基地、岐阜基地ともに撮影に適したところには多くの航空ファンがカメラを構えているが、こうした方々との雑談は非常に参考になる話が多い。さてさて、報道などでご存知のかたもいようが、KC-767の到着はボーイング社の不手際により大幅に遅れているという。数ヶ月の遅延の可能性もあり、伊藤忠商事は一日あたり1000万円の違約金を防衛省に支払っているとの事だが、小生は『アガンベンが終わったら小牧に行こう』とかなり前から決めていた為、下調べも兼ねて展開した。

Img_7158  小牧にいたのは給油の為であろうか、冒頭二枚目に挙げたT-4練習機が続々と離陸してゆく。高い木々に囲まれた岐阜基地とはことなり、もともと民間機が主体の飛行場(いまも航空管制は民間が行っているという)小牧基地はこのように撮影をすることが出来る。

 練習機以外にも連絡用や飛行点検機としても用いられるT-4は、多くの基地で見ることが出来るものの、九州から飛来した機体となると興味を引くものがある。

Img_7162  T-4が飛行してのち、何機か小型旅客機や民間ヘリコプターが飛行して後、三菱重工小牧南工場からF-2BとF-15Jが一機づつ搬出されてきた。小高い丘という立地から、F-2Bを高いところから撮影することができた。

 散歩に来ていた近所のおじいさんの話では、昨日はファントムが四機ほど並んでいたとの事である。今日は少ないね、といわれたが、何分航空祭以来の展開であり、小生には新鮮であった。

Img_7182  搬出されてより五分後、まずF-2Bが離陸する。岐阜基地であれば、いつも撮影している位置からは基地内は見えず、加えて離陸する機体も見ることは出来ない。

 他方、着陸する機体のみ真下に近い位置から撮影することが出来ることと、飛行開発実験団が運用する新装備などを撮影できる可能性があることから、基地展開は岐阜に重点を置いてきたが、こうした撮影風景があるならば、小牧も興味深いものがあるという印象である。

Img_7187  F-2B離陸から一分ほどのち、F-15Jも滑走を始める。力強いエンジン音とともに離陸する。さてさて、お気付きかもしれないが、北大路機関掲載の二月の岐阜基地展開や、12月の岐阜基地展開では何故かF-15Jにはご縁が無かったわけで、いきなりイーグルの咆哮を聞き、その雄姿を目の当たりにするとは思いもよらなかった。

 加えて、後述するが、このF-15Jには更なる驚きが隠されていた。

Img_7221  小牧基地にて撮影、というのが印象付けられる写真である。

 F15Jが離陸してよりしばらくは、二機のC-130Hが盛んにタッチアンドゴーの訓練を繰り返す。本当に盛んに実施するので、幾度か撮影に失敗しても次の機体が飛来するので安心である。

 先日明治村に行った際にも盛んにC-130Hが飛行していたが、おそらく小牧基地の情景もこのような状況であったのだろう。

Img_7243  訓練の準備を行う救難教育隊のU-125の前をC-130Hがタッチアンドゴーする。その背景には整備中のC-130Hが並んでいるのが面白い。機体の迷彩は、低空飛行を行う場合での上空からの脅威に対して、視認性を低める目的で施されている。正規軍からの脅威に対応する為には必要であるが、イラク派遣など非対称型の脅威に対抗するためには携帯式対空ミサイルによる攻撃を防ぐ観点から、空色に溶け込む一枚目に挙げたような水色の迷彩を施している。

Img_7252  C-130Hの流し撮りに挑戦した一枚。

 スローシャッターでカメラを被写体にあわせ撮影する方法で、航空祭などでは最前列に撮影位置を定めなければまず撮影できない写真である。広角レンズを用いての鉄道車両の流し撮りは経験があるが、手ブレを起こしやすい望遠レンズでの流し撮りに成功したのは今回が初めてである。これも何度もやり直しが利く小牧基地のこの撮影場所ならではの写真である。

Img_7267  離陸してより五十分ほどで、先ほどのF-15Jが戻ってきた。ここでわかったのだが、写真はコップピット後方に黒い通気口が設けられているので、MSIP機で近代化改修を受けた機体であることがわかる。なお、F15J着陸後、時間を置かずして二機のC-130Hが着陸態勢に入っているのが望見出来る。間隔が詰まりすぎれば旋回して対応する、今この瞬間にも発生する世界の大災害、そして危険な紛争地域へ人道支援任務に派遣されるかもしれないC-130Hは、こうして訓練飛行を行うのである。

Img_7278  F-15Jの着陸から20分ほどするとF-2Bが着陸してきた。着陸後、減速の為にドラッグシュートを開いて制動をかける。

 航空祭などではこののちドラッグシュートを切り離すのだが、今回はそうせず(切り離しても回収する車輌も要員もいなかったが)、そのまま小牧南工場に入っていった。ドラッグシュートは引き摺るのかとおもいきや、エンジンからの排気で地面にあまりふれずに、そのまま移動して行った。

Img_7313  訓練に向かい、救難教育隊のUH-60Jが離陸してゆく。なお、グレーのヘリは横田基地から飛来したと思われる米空軍のUH-1Nヘリコプター(多分)で、しばらくするとこの機体も離陸し、我々の頭上を越えていった。UH-1Nは陸上自衛隊でも運用しているUH-1Hの後継として導入されたもので、エンジンを双発化し安定性を高めている。

 UH-60JとUH-1Nは同じ多用途ヘリながらも機体の大きさがかなり異なることが写真から判る。

Img_7338  少し離れていたところにいたロービジのUH-60Jも訓練飛行を開始した。10㍍ほどの高度を上げ下げする訓練を行って後、慣れたのであろうか、そのまま飛行していった。写真には消防車が写っているが、大型の航空機用消防車もUH-60Jと並ぶとこのように見えるのか、という印象である。

 なお、航空自衛隊の支援車輌として消防車や電源車などの特集を過去に実施しているため、こちらと合わせてご覧いただければ幸いである。

Img_7089_1  部品補充だろうか、もしくは燃料の補給かは定かでは無いが、着陸してきたC-1輸送機が一時間ほどして離陸してゆく。

 さすがにこれは、この日撮り逃すとあとがないので、流し撮りではなく、通常のシャッター速度にて撮影する。C-130HとC-1の対比は非常に興味深い。なお、滑走距離が短い機体は流し撮りの対比をする地上建造物を背景に離陸しても、神明公園の横あたりでは完全に離陸してしまう為あまり適さないという印象である。

Img_7259  C-130Hの流し撮り撮影。神明公園にいたのは五時間ほどであろうか、この後、航空館と名古屋の書店に寄るべくあおい交通のバス停に向かった。

 岐阜基地を比較した場合、なんといっても基地の全景を見渡すことが出来、しかも神明公園自体が航空機の見学や撮影を前提としたとしか表現できないほどの立地であり、今回ここからの撮影は初めてであったが、満足し、公園を後にした。

Img_7387  C.ジョニー氏からお教えいただいた神明公園へのバスは、栄のテレビ塔が目印、写真のバス停より運行されている。名古屋からは地下鉄名城線で栄へ、もしくは桜通線の久屋大通駅から徒歩である。本数が少ない為注意が必要であるが、500円の運賃で、今回の撮影スポットに展開することが可能である。

HARUNA

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国産初等練習機T-3 ラストフライト予行?

2007-03-16 23:05:26 | 航空自衛隊 装備名鑑

■T-3との遭遇

 先月、T-3ラストフライト?として報じたT-3初等練習機であるが、三月一日にはT-3二機編隊での飛行を確認し、こんどこそT-3ラストフライトか、と考えたものだが、三月十三日、また、T-3練習機の飛行に遭遇した。

Img_7053_1  13日の撮影であるが、やや遅れて記載する。イタリアの哲学者、GIORGIO AGAMBENの“State of Exception”という非常に難解な書物を読解するべく院生の合宿研究会があったのだが、その読解の途上、おおT-3だ!と騒ぎ、小生区分の全訳は遅れ、皆さんには迷惑をかけてしまった(例外状態の要訳欲しい方なんているかな?、また全部理解した!というかたがいらしたらコメント欄に何か書いていただければ幸いです)、I様、T様、皆々様、ご迷惑おかけしました。申し訳ない。あと、アガンベンはもう勘弁!。

Img_7055_1  さてさて、今回撮影したT-3であるが、静浜基地にてラストフライトを実施した機体で、まだ飛行時間が構造寿命の関係で残っていたものが岐阜に回航されたというもののようで、雑誌“高空ファン 通巻652号”の『自衛隊航空2007(P73)』には、飛行開発実験団の部分に“T-3は3月末で退役しT-7が配備予定”とあるため、まだ飛行を見ることが出来るかもしれない。しかし、同じ頁に静浜基地の第11飛行教育団で“T-3は3月末で退役”とあり、既に2月22日に退役している為、この情報は書類上のものといえるのかもしれない。

Img_7056 栃木県の宇都宮飛行場に隣接する富士重工宇都宮製作所南工場において生産されたT-3は、“隼”“疾風”などの名機を生み出した中島飛行機が財閥解体に際して12の企業に分割された後、五社が協同して1953年に富士重工業を設立、鉄道車両の製造を行っていた宇都宮工場において航空機の製造を行い、T-1練習機などを開発した。定期整備にあたるT-1やKM2の整備とともに銀翼を連ねて生産されたT-3であるが、いよいよ最後のときが近付いているようだ。

Img_7066  T-3について、基本的にT-34練習機の機体に新型のライカミングIGSO-480エンジンを搭載したものであり基本的に古い設計の機体である、という人もいるが確かにその通りであるものの、米軍の初等練習機T-34CもT-34に新型エンジンを搭載したものであり、あたかもT-3が設計当時から時代遅れというような論評には若干の疑問を感じるのは小生だけであろうか。また、T-3の設計には富士重工自慢の軽飛行機FA-200エアロスバルの技術や経験が一部応用されたという。

Img_7064_1  静浜基地は流石に遠征も大変であり、岐阜基地や小牧基地に来なければもう見れまいとのことで、航空祭などでT-3を見る度に、これが見納めかと考えたのだが、縁があるというのだろうか、今度こそ飛んでいるT-3を撮影するのは今度こそ最後の機会と思うが、レシプロエンジンの音がいつまでも大空に響いていた。

HARUNA

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高知空港胴体着陸 ボンバルディアDHC8-Q400とは

2007-03-14 22:13:08 | コラム

■ボンバルディアDHC8とはどのような機体か?

 三月十三日0850時、伊丹空港発高知行きの全日空1603便旅客機が着陸時に前輪の稼動部分に支障を来たし、様々な施策を講じた後に1054時、胴体着陸を敢行、機体の一部が破損したものの幸いにして負傷者を出さず着陸した。

Img_0434  この不調に際して全日空機の今里仁機長は冷静に火災の原因となりうる燃料を消費、後輪のみによる滑走後徐々に減速し、機首部分を接地、この判断で火災などを免れ、機体は無事停止する。この機体は緊急時には手動にて脚を出すことが出来る設計ながら作動せず、着地時の衝撃を用いて脚の作動を意図したタッチアンドゴーも失敗に終わり、胴体着陸を決断したとのことだ。

 結果的に機長の冷静な判断が惨事を未然に抑止したとして報じられている。

Img_0236  日本国内では、エアーニッポンが五機、全日空輸が14機、天草エアラインが1機、オリエンタルエアブリッジが2機、ニホンエアコミュータが11機、琉球エアコミュータが5機を発注し運用中である。

 この他、国土交通省に納入され、海上保安庁でもYS-11型飛行機の後継として導入が決定している(なお、海上自衛隊、航空自衛隊の運用するYS-11輸送機の後継機は今尚選定中である)。

Img_0250  DHCとはデハビラントカナダの略で、胴体延長ごとに4シリーズがあり、30から70の座席数の需要に合致している。最初に導入を決定したイギリスのフライビー航空は、信頼性が高く就航率も高い、国内線用ではBAe146ジェット旅客機より速く、運用コストはボーイング737よりも安い、という理由を挙げている。特に高翼とT字尾翼は低速時の操縦性を担保し、短い滑走路からも運行が可能である為、ジェット旅客機の代替として考えられている節があり、全長32.8㍍、巡航速度650km/hと高い性能を発揮する。

Img_0563  特にターボプロップ機では、同規模の機体として競合する機体がサーブ2000が経営上の理由から中止となり、民間用に販売される機体としては単一機種となりつつある。このDHC-8は、1983年に初飛行した基本型の37~39席仕様のQ100型、胴体を延長し50~56席仕様のQ300型が1987年に初飛行し、1998年に初飛行した最新型のQ400型に移行している。独自の振動騒音抑制装置を搭載することで低騒音航空機としても知られ、QuietのQをとり、Qシリーズとも称されている。しかし、2006年11月28日の鹿児島空港において整備員が突如閉鎖した車輪格納庫に挟まれ重態となる事故もあり、13日の胴体着陸事故へ至っている。

Img_6167 この他、与圧異常や異常音、脚部分への手動操作など幾つかの問題があり、その発生率は全日空ではボーイング777の八倍、ボーイング737と比較しても1.5倍程度あるといわれ、この問題は韓国の民間航空でも見られるようである。しかし、一概に欠陥機というには、既にある運用実績などから難しく、冷静に原因を探求し、カナダ政府やボンバルディア社との協同での対応が望まれるのではないだろうか。

 なお、今回掲載した写真は、伊丹駐屯地祭において撮影したものを主に用いている。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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陸上自衛隊 春日井駐屯地祭2007

2007-03-13 12:59:38 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■昨年の春日井駐屯地祭と比較して

 春日井駐屯地祭であるが、天候を危惧され、展開を断念された方も多かったようである。しかし、同日開催された吹雪の饗庭野分屯基地祭に比べ晴天に恵まれた事は、春日井駐屯地祭速報にて記載した。今回は、昨年の行事との比較を中心に記載したい。

Img_4066  写真は第十偵察隊の観閲行進。斥候小隊の73式小型トラックが新型になっている。ただ、訓練展示では旧73式が仮設敵として登場したし、や即応予備自衛官部隊では旧型が使用されていた。

 さて、従来であれば短報、詳報に分け記載していたが、検索性という観点から今後は詳報は右サイドバーのアルバムを利用し、フォトアルバムも従来、五枚のみ掲載という方式から、今津駐屯地祭以降のものは25枚程度を掲載するという方向で編集する。

Img_4070  従って、十月一日の霞目駐屯地東北方面隊記念行事、十月七日の小牧基地航空祭、十月八日の守山駐屯地祭、十月十五日の岐阜基地航空祭、十月十五日展開の伊丹駐屯地中部方面隊記念行事、十月二十八日開催の豊川駐屯地祭、十月二十九日開催の浜松基地航空祭までは詳報を掲載したことで代え、従来どおり五枚程度のアルバムとなる予定である。ただし、十月二十七日に展開した自衛隊観艦式観艦式に向かう艦隊相模湾観艦式観艦式観閲飛行観艦式訓練展示は多くの写真を撮影したこともあり、五枚ごとの区分を細分化し、総合的に多くの写真を掲載する予定だ。

Img_4005

 上の写真は、偵察隊の後備列を行進する即応予備自衛官。“自衛隊の予備自衛官・即応予備自衛官”として特集したが、偵察隊にも配置されているのは意外であった。

 整列した部隊の先頭に立つ幹部自衛官と共に並ぶのは、既報記事“陸上自衛隊最上級曹長制度は定着するか”において特集した最上級曹長。多くの部隊が駐屯する春日井駐屯地だけに、大隊や連隊付最上級曹長が三名も並んでいる。

Img_4004_1  さて、最上級曹長の腕章の中で、幾つかブルーとグリーンのものがあった。この点が疑問である。C.ジョニー氏やけーと氏とも話したが、職種で異なるのかな?と思いきや二枚の写真のマフラーの色(職種を示す)からみてそうではないらしい。となると、最先任と次最先任、という意味であろうか、若しくは低視認性を追求したのだろうか(とはいえ、戦闘時には取り外すのだろうし)、疑問である。もしご存知の方が見えたらばお教えいただければ幸いである。

Img_6768  訓練展示に飛来したOH-6D観測ヘリ、地上部隊との見事な連携で部隊の想定重要建造物への突入を支援していた。

 昨年は九月の事故の関係で、陸上自衛隊の関連行事においてヘリコプターの飛行自粛が行われていたが、一月の第一空挺団降下初から多用途ヘリや観測ヘリ、輸送ヘリの飛行展示を再開したようで、不時着事故の関係から飛行を自粛していたAH-1S対戦車ヘリも先月から飛行を再開している。

Img_6789  昨年とは基本的に訓練展示の展開は同じであったが、仮設敵の陣地位置や部隊突入方法が異なっていた。この点を幾つか特集したい。

 まず、仮設敵が持つ89式であるが、薬莢受の形状がスコープマウントとしても用いることができるもの(勘違いかも)に変更されている。ダットサイト付やスコープ付89式小銃を初めて見たのは2004年の伊丹駐屯地祭であったが、TYPE89 RIFLE +とまでは行かなくとも、各種装備の追加によりその能力は高められているといえる。

Img_6803  次いで驚いたのが、写真の無線機ケースのように、LEMシリーズを携帯した隊員が見られたことだ。LEMとは、米軍などが装備する各種パウチなどを参考に自衛隊迷彩を用いて防水性や摩擦などに強いコーデュラ1000を縫合したもので、パウチを後付できるMOLLEシステムを採用している。価格は高いが自衛官割引があるとのことで、中にはプレートキャリア(セラミック板を入れ、文字通り小銃弾に対しても防弾性能を発揮する)などがある(某駐屯地の売店で普通に売ってたのをみて流石に驚いたが)。

Img_6807  もう一つ、建造物突入時に強い味方の登場である。

 写真は第十偵察隊の隊員が訓練展示において想定重要建造物“春日井発電所二号棟”に突入する瞬間のものだが(蛇足ながら、こちらの隊員は通常の無線機入を使っている)、注目するべきはこの防盾である。機動隊が用いる防盾と比較した場合、小型であるがしっかりとしたグリップが装着されている。市街戦では野戦で想定しないような状況が恒常的に生起し、柔軟に対応するには柔軟な装備が必要となるということだろう。

Img_6893  防盾は防弾性を有するか不明だが、従来はジェラルミン製の防盾(二枚重ねると22口径普通弾が防げるらしい、しかし“あさま山荘事件”では貫通、恐らくSS109規格22口径弾は防げない)にOD迷彩を施し73式小型トラックに装着している写真や、機動隊の新型である透明ポリカーボネイト製の防盾を誘導隊が訓練に用いる写真を見た事があるが、このタイプのものは初めてであった。自隊工作試作のものにしては造りがしっかりしている。市街戦用か誘導隊用だろうか不明である。

Img_6889  最後に、二年ほど前から西部方面隊管区内で目撃されている“自作チェストリグ”の写真である。小銃手の多様な個人装備として特集したが、これを見たのははじめてである。弾帯を上の方に装着し、バックル部分を後ろに回すことで2連パウチ四個を装着できる。集約チョッキというものがあるが、それよりも手軽に製作できる。しかし、戦闘防弾チョッキにもパウチは装着されている訳で、その上から着込むと取れなくなってしまうような気がしないでもない(ヒートストレス対処用にまだ通気性が良く防弾性も高いプレートキャリアを採用した方が良いと思う)。

Img_6792_1  さて、昨年と比べた場合、幾つかの装備が近代化し、即応予備自衛官制度の導入や装備品の柔軟な運用などの相違点がみられた。他方で、装備品展示などで指揮通や偵察車のハッチを勝手に開けて中を撮っている人が少なからずいた。こういった人は、もし自分の車に同じ事をされたらばどう思うのだろうか、来年以降の装備品展示に柵の設置や規模縮小など影響を及ぼす可能性もあり、非常識なことはやめてもらいたいと思うのは小生だけではあるまい。

■T-3は今日も青き大空にあり!

 本文とは直接関係無いものの、2月27日掲載記事についてのコメント欄に情報が寄せられた。情報の出所は通りすがりさんから書き込まれた、あくまで噂話であり、信憑性については全くの未知数であるし、北大路機関としてはこうしたコメントがあった、という以上のものはない。

Img_7064  基本的に二月か三月上旬にラストフライトと思われたT-3について、情報収集はしないと二月期自衛隊関連行事にて述べたが、本日も飛行しているようだ。この写真が初等練習機T-3ラストフライト予行である可能性は何ともいえないが、T-3練習機、二機編隊での飛行として三月一日に情報を掲載していらいのものであり、飛行状態のT-3に出あったのは少々驚きであった。ラストフライトがいつかについて、確証ある情報は無いが、とりあえず、“今日も飛んでいた”という一報を掲載した次第である。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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名古屋市消防局 アエロスパシアルAS365N1ドーファンⅡ

2007-03-12 22:23:46 | コラム

■名古屋市消防出初式の写真から

 今回は、名古屋市消防局消防出初式の写真から記事を作成する。いずれ詳細を本ブログに掲載したい、という記載は行事閑散期への準備であるのだが、閑散期は閑散期の記事があり、実質未記載に終わるものが多い北大路機関である。今回はその一つを埋めたい。

Img_3088

 訓練展示において、海上正面から二機のドーファンが接近する。後方の機体が先頭の機体のエンジンから発する排気熱で霞んでいるのがみえる。

 名古屋市消防局は、航空救助任務を展開するべくヘリコプターを運用しており、ビル火災や山火事における航空消火、人命救助、水難事故に際しての捜索救難、救急救命士と共に要救助者を事故現場から医療施設まで搬送する航空救急任務などに充てている。名古屋市消防局が運用するアエロスパシアルAS365N1は、通称“ドーファンⅡ”と呼ばれ、フランスのアエロスパシアル社が開発した双発中型ヘリコプターである。民間型としては600機以上が運用されているベストセラー機で、軍用型としても海軍の捜索救難用、陸軍用では輸送型に加え対戦車ミサイルHOTや20㍉機関砲を搭載した武装型(AS365Nの軍用型がAS365Kであるが、軍用として発注を受けたのは武装型6機をアンゴラ政府より受注したので、武装型の印象が強いという方も見えようか)が幾つかの国で運用されている。

Img_2989  機動飛行を行うドーファンⅡ、引き込み脚方式を採用しており、高速巡航に適した機体である。

 性能は、乗員四名の他十名分の座席を有し、最高速度は315km/h、巡航速度260km/hで、滞空時間は165分。724hpのターボメカ社製アリエルICIエンジン二基を搭載しており、双発であるから突発的なエンジントラブルに際しても対処可能である。航続距離は715km、全備重量4100kgである。初飛行は1984年2月29日。

Img_3108  ドーファンⅡの各種装備であるが、山火事に対処する装備として500?型消火バケット、更に東京消防庁では配備が開始されているということで、遠からず普及が期待されるのが機外取り付け式消火装置ファイアーアタッカーで、ビル火災などに対して、水の投下ではなくポンプによる吹き付けにより文字通り消火する装置がある。この他、人員の救出に用いる電動ウインチ、拡声装置(航空機用に700kw型と900kw型がある)、1600wサーチライトなどがある。

Img_3123  航空救難は、パイロット二名、メカニック1/2名、そして二名の救急員により展開される。

 その特色としては、機体の性能から、装備できる器材に重量制限がある点、更にローターが巻き起こすダウンウォッシュが小型船舶や地震災害などにより生起した半壊家屋を破壊する可能性もある為、こうした際に瞬時の状況判断が求められる。更に救急員は機体が起こす突風と轟音の中で正確な判断を行い実行できる能力が求められるという。

Img_4549  航空隊の操縦士や救難員は救急隊員やポンプ士といった消防隊員から訓練生に選抜され、自衛隊のような直接志願する航空学生課程は無いという。その選抜競争倍率は30倍にも達するというが、こうした厳しい難関を突破した航空救難員が、日夜災害に備えているのである。

HARUNA

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春日井駐屯地 創設40周年記念行事

2007-03-11 21:29:19 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■春日井駐屯地祭速報

 中部方面隊にあって最強の機甲部隊、特科火砲を有する第十師団、その後方支援部隊の中枢である第十後方支援連隊などが駐屯する春日井駐屯地、その創設記念行事が開催された。

Img_6834_1  駐屯地祭に際して、最も危惧されるのは天候である。本日も、愛知県は降雨とされ、湖北の雪や暖冬から一転した寒気が不安を誘った。毎年一度は行事において豪雨に泣かされたものもあるが、降水確率60%の千僧駐屯地祭は一転して晴天に恵まれ、今津駐屯地祭でも豪雨の予報が奇跡的に一転、式典開催中は曇りに留まった。悪天候の回避は浜松基地航空祭小松基地航空祭でも周囲の反対を押し切って展開しあっさり晴天、ということもあった。

Img_4058  さて、本日であるがC.ジョニー氏一行と、昨日残念であったけーと氏とともに展開する合同調査となり、前日夕刻から天候は下り坂にあったとの事で冷や冷やしていたが、天気予報は刻々と変わり、午前雨天午後曇りから午前曇り午後雨と換わり、最終的には式典中は天候はもつのではないかとの希望的観測を行える状況となった。何分、電子機器であるデジカメユーザーにとり雨天は天敵であったのだが、車窓にツインタワーが見えてくる頃には雲の裂け目から晴天の兆しが見えてきた。

Img_6804  写真は訓練展示において突入する偵察隊員。式典は当初の発表の通りに実施され、駐屯地到着直後に待機する訓練展示の車輌を確認し状況を推測、昨年の春日井駐屯地祭の撮影写真などから状況の進展や撮影位置の研究が功を奏した。何分、昨年と同じ位置から撮影したのでは同じ写真しか撮影できないことは自明であるので、今年は教訓から思い切って撮影位置の転換を決意し、訓練展示は仮設敵陣地のすぐ隣にて撮影を行った。

Img_6812  今年度は駐屯地創設40周年ということもあり、何か特別な展示が行われるのではないかと期待はしていたのだが残念ながら特別な行事は行われず、あいにくの天候で来賓も訓練展示の頃にはかなりの人数が帰ってしまった。訓練展示や観閲行進も規模は同じであり、更に期待していたオートバイドリルも訓練展示において機動走行を展示したに留まったり、40周年という一つの区切りというにはやや拍子抜けという印象であった。

Img_6821

 昨年と異なっていた点は、立体席が一箇所増設されており、今回は立体席から高見の見物という撮影を行うことが出来た。しかし、報道のカメラが入ってしまう点と、贅沢を言えばあと2.5㍍横に位置していれば更に良い写真が撮影できたのかな、という感触であった。

 この他、訓練展示の仮設敵装備や車輌の展開位置が若干異なっていた。グラウンドの立地から訓練展示には限界があるようにも思えるが、来年度は例えば障害除去などの施設科部隊の活躍にも期待したい。

Img_6859_1  装備品展示の時間には青空が広がった。来年度は更に良い写真を撮影できるよう課題は残したが、幸いにして晴天に恵まれ、久々の駐屯地祭を満喫できたのは何よりであった。

 最後に、C.ジョニー様、T様皆々様、本日はありがとうございました。

HARUNA

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