イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

ダイエットのために散歩する・・へん?(1/10 縄文世界を感じる時③)

2023-08-19 | 第八章「魂と聖霊」

コロナ禍の時期を経て体重が5kg増えてしまい運動をしなければと、夕方に大栗川を散歩。夏の夕日は北西側で、蛭ケ岳を意識して川の護岸工事をしたと言われる大栗川の景色はここ一つだ。しかし、鴨さんは元気に餌を探している。


縄文時代のハイヌヴェレ型の宗教を考えているせいで、生命体について関係することに注意がいく。先日も縄文友達から福岡伸一氏の動的平衡のことについて聞かされていて、8月末に閉店まじかの本屋さんで「生物と無生物のあいだ」(講談社新書)をかなり安価に購入した。16,17年前に購入して一度読んだのだが処分してしまった本だった。

「生命とは動的平衡のある流れである。」(167Pより)

私は一応管理工学という外から見ると文科系なのか理科系なのかよく分からない学問(本来理科系)を大学時代専攻したので、理科系の熱力学なども学びエントロピーの法則も学んだ。世の中はすべてエントロピー増大(崩壊)の方向に向かう。しかしこの流れに竿さしてエントロピー増大にならないような不思議な存在が生命体。この発見はDNA研究やシュレーディンガー他によって20世紀に発見された真理の一つなのだろう。

ものを食べ排泄するというのはこの生命現象の核であるようだ。通常私たちは食べるということをエネルギーももらうといった機械論で受け取り、太る太らない、散歩だ運動だと気にしているが、それは食べる・排出するの本質ではない。鴨ちゃんは川底を逆立ちして藻など植物を食べているが、食べたものが身体の中で変換されて鴨の身体の新たな細胞として置き換わる。我々もDNAやRNAの働きで身体を形成するたんぱく質等が再生されることをどこかで聞いたことがあると思うが、再生に使われるものは体の外から得たものである。エネルギももちろんいただくのだが、身体自身もいただく。不思議なことで私も自覚しにくいこととして、一年前の自分は身体的にはまったく異なるのだ。

都会育ちだった私も、幼いころは道端には犬の糞がたくさんあり、田舎に行けば田舎の香水が当たり前だった。生命が土から生まれ土にかえるということは、福岡伸一さんの本をよむまでもなく当たり前だったようだ。それ故に世界中に存在するハイヌヴェレ型の神話をベースにした宗教は、その本質をダイエットとか叫ぶ私たちより的確に生命の本質を見抜いていたのかなと思う。気持ち悪くなるような光景で食物をつくる神とその殺害、そして食べ物が死体から再生される神話。日本では古事記のオオゲツヒメは五穀と関係することを書いてあるが、日本書記のウケモチノカミは米以外に海の幸と山の幸を記述している。おそらく、この神話が生活に浸透していた縄文時代の食文化を考えるとウケモチノカミのが実態に近いかもしれない(拘る必要もないかもしれないが、ハイヌヴェレ神話の本質に近いかもしれない)と思っている。

ついでながら、宗教という言葉が出たので、有名な比較宗教学の大家ミルチャ・エリアーデの説明を一つ。「宗教的人間にとって、本質は存在に先行する。これは「未開」。東洋社会の人間と同様に、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒についても真である。・・・」(エリアーデ著作集7 神話と現実106P)。前々回に書いた糸川英夫氏の第一の懸念である自己愛の問題。これを回避するには宗教(宗教的人間)が大事なのかもしれない。今日も縄文をがんばります。
AMORの「子抱き土偶」⑤、⑥も関係するので是非ごらんください。こちら

1/10 縄文世界を感じる時③

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「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

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1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

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 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

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       森裕行


想いでの奈良坂のクスノキから・・(縄文世界を感じるとき② 10/10)

2023-08-06 | 第七章「光と復活体」

もう5年経つが、「奈良坂に行くなら、奈良豆比古神社(ならつひこじんじゃ)に行ったら・・」そんなKさんのアドバイスで、般若寺の近くの奈良豆比古神社に寄った。初めは巨木の存在を全く知らないで来たのだが、天然記念物のクスノキを見た時の感動は忘れられない。夕方近くで誰もいない巨木の周辺は普通の空気と違い、なんともいえない優しく神聖な空気に覆われていたようだ。その前年、山陰の三瓶小豆原埋没林を見て縄文小説を一部書き換えたが(2017年)、同じような縄文時代の情景をイメージできる木が目の前にあったのだ。日本人が神聖な仏像を木で作るのが主流になった理由が分かったようだった。木の文化の源流に触れたのかもしれない。

大木というのは世界で昔から神聖視されている。何故なのかよくわからなかったが、M.エリアーデの本を再読していたら、40日ごとに脱皮する蛇と同じように死と再生のイメージが樹木にあるようなのだ。これは別の本から知ったのだが、例えば樹齢5000年(現在の最長か?)といっても樹木全体が細胞レベルで5000年生き続けているというわけではなく、細胞レベルでは30年程度が寿命のようで、過去の遺産を使いつつ(すでに死んではいるが導管として機能している部分など)新たに再生しつつ5000年で大木を形成したというのが本当のところのようだ。

そこに祖先は生命体を象徴する何かを感じたのだろう。昨日も縄文土器に触れたりし鑑賞できる機会があったのだが、特に縄文中期の土器(勝坂・井戸尻式など)は逆さにすると色と言い沈線といい根のような口縁部の装飾といい神木の幹と根の部分ではと妄想してしまった。2-3年前に栗と土偶が似ているとして話題になったイコノグラフィー(この言葉は1984年に発刊された「縄文図像学Ⅰ」に紹介されており決して新しい概念や応用ではない)を軸とした本のようであるが、ここで新しい理論を提示するのではなく(理論を提示するには科学的に誰をも納得させるようなデータの提示と手続きが必要)みたいになってしまったが、根が上方に向かうという発想はとても哲学的・宗教的な気がしていて。何かそういう思いを想定すると見えない無意識の世界に眼を向けている縄文人が見えてくるようでうれしくなる。

最後にもう一つ。このクスノキのいわれについて。このクスノキは志貴皇子の晩年の邸宅に植えられていたという文書があるようだ。志貴皇子は持統天皇が吉野で6皇子が自分の息子でもあるとした吉野盟約を交わした皇子の一人であり、持統天皇が晩年、文武天皇擁立のときに大切な働きをした方である。万葉集巻一(まきいち)は持統天皇が編纂したという説がほぼ定説化されているが、この中に志貴皇子の歌がある。

采女の袖吹き返す飛鳥風 京を遠みいたづらに吹く

神木から女帝と志貴皇子の交流を想ったり、飛鳥の縄文遺跡を想ったり、真夏の朝の妄想は激しい。

縄文世界を感じるとき② 10/10

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真夏の読書は糸川英夫さん?から・・・(縄文世界を感じるとき② 9/10)

2023-08-03 | 第四章「愛とゆるし」

散歩がてら近くの古本屋さんをよく利用するのだが、先日寄ったらなんと8月いっぱいで閉店とのこと。この地に引っ越ししてから20年近くお世話になった本屋さんだけになんとも残念。本が売れなくなり、コロナの影響そして物価高。厳しい時代である。

ささやかな本屋さんへのお礼にでもと本を選ぶ。選んだのは糸川英夫氏の「日本創成論」(講談社 1990)。先月だろうか国分寺に用事があって行ったときに早稲田実業の前に糸川英夫さんの記念碑を見たのが遠因だったかもしれない。そして、パラパラと目次を読んで買うことを決めた。第一章がナルキッソスの話(人類の歴史は自己愛の問題の歴史ともいえる)、第二章が科学者の話(ハイゼンベルクをはじめ世界的な科学者の寄っているもの、理系のケンブリッジ大学の詳細)、第三章が日本に必要な第3のポイントについて(これは哲学というか宗教というかそういう領域)・・・最後は拝金主義との決別であった。30年前のわたしと言えば、きっと同じように目次を読んでも絶対買わない拝金主義者であった。そして今の世の中は30年前には想像もできない状態。バブルは弾け、コロナやウクライナ紛争で大変な時代。若者の自殺者がこんなに多い国は世界にあるのだろうか。読んでみると。そんな時代の処方箋がすでに30年前に書かれていたようだった。根源的なことを考えることの大事さというのだろうか。甘えの構造で思考停止するのは・・・

ところで、この数週間私は縄文時代の土偶。子抱き土偶を中心にいろいろ思索をしてきた。縄文時代は平均寿命が30歳程度という生きるのが大変な時代。この時代にハイヌヴェレ型の宗教があったようだ。日本ではオオゲツヒメとかウケモチノカミで有名。日本ではどういうわけか精霊信仰のように捉えられている。そこでエリアーデ世界宗教辞典を引いて調べてみると、これは先史宗教の項目ではなく密儀宗教として扱われていた。・・・神の殺害は、原初的時間から歴史的時間への移行を表し、死、植物の摂取、さらに男女両性によって子供をつくる必要性によって歴史的時間が特徴づけられる。犠牲となる神は「最初の死者」であり、この神はあらゆる有益な植物と月に変身する。・・・(エリアーデ世界宗教辞典 ミルチャ・エリアーデ ヨアン・P・クリアーノ 奥山倫明訳 せりか書房  1997 92-93ページより)

人は何故、生命をいただき生きるのか?これは今でも大事な哲学的な問いかけだが、現代ではそんなWhyを発する人はほとんどなくテレビを見ればおいしいものを食べる番組が実に多い(私も見てしまうが)。しかし、5000年前などの日本列島ではこうした問いかけによる祭儀が何百年も行われてきたのだ。わたしたちの祖先は今と違って哲学的だったのである。それゆえに生き抜いたのだろう。糸川英夫さん、現代日本を嘆くことはないかもしれない、強烈な哲学のDNAが我々に残されてる。

縄文時代の子抱き土偶についてAMORにも投稿しました。リンクはこちら

縄文世界を感じるとき② 9/10

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