今年の夏休み(仕事をしているので、飛び石的)は、期せずして『地獄』を意識した夏休みだった。エリクソンの61歳からの、智慧・自我統合性・絶望感という時期の私にとっては、とても良い経験だったようだ。
昔、子供たちを連れて、瀬戸内海の耕三寺というところで地獄めぐりをしたが、その時は地獄は子供のしつけにつかう?程度のものという感じであったが、今の地獄の実態を知ることは人間のこころの成長に大事な要素かなと、実感した次第である。
源信展で、地獄の絵と極楽の絵を対比しつつ拝見したことは大きな収穫だった。今ここの地獄を認識することは、辛いことだが心理学的に言っても大事なようだ(もちろん、人それぞれの状況によるが)。源信展の後で私の見た地獄とは。
1.島根県の山奥、三瓶山(活火山)の麓にある三瓶小豆原埋没林の地下展示を見たこと。4000年前の縄文後期に起った大災害。三瓶山の噴火で、三瓶山の山麓の谷の一つが土石流、火砕流で埋没し、谷の杉を中心とした森が、いくつかの偶然に支えられて、殆どそのままの状態で見つかったものだ。弥生のたたら等で殆ど今では見られない当時のリアルな森。それは、伊勢神宮の厳かな境内のように荘厳であった。当然ながら、近くに住んでいた縄文の祖先たちは多くの被害にあったであろう。自然が起こした地獄。それは、何かを私に示し、希望をもたらすようであった。
2.夜中に故郷の家で一人で見た、『告白~満蒙開拓団の女たち』。引き揚げという言葉は知っていたものの、その内実は全くと言ってよいほど知らなかった。最近、それを語る方が増えていて、私も関心をもっていたので、その内容はとても衝撃的であった。集団自死か苦難の中での脱出か。人間性とは何かを学び、自分の中の安易な仮面を打ち砕いたようだ。
ちょうど、ドストエフスキーの『罪と罰』を読み始めていたが(今まで何回も挑戦していたが完読できないでいた)、その内容も、この世の地獄をいろいろ教えてくれている。
さて、今回の旅の終点は、縄文の土器づくりを教えていただいた猪風来美術館だった。最近は縄文は一つのブームになり理解者も確実に増えているが、1980年代から縄文に魅せられて北海道に移住し実際に竪穴式住居で生活されてまで模索してきた美への熱意というか情熱には驚嘆した。そして、三瓶山の縄文の森の中で感じた、今は余りに細くなってしまった生命の力をそこに見出したように思った。それは猪風来さんの生き方だと思うが、私も自分の道を模索したい。
新しい体験 7/10
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森 裕行 | |
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