ちょっと日常を離れて、未知の旅をしたい。季節が良くなり、体調も戻ってきたのか、そんな好奇心というか欲望が激しくなってきた今日この頃である。
昨日は、Aさんからオーストリア・ウィーンの旅のお話しをお聴きした。単なる観光旅行も素敵であるが、趣味というか強い関心に裏付けられた旅行はさらに奥が深く、素敵だなとあらためて感じた。
私も5年前に、中欧を旅行した。観光旅行であったが、二つほど自分にとって関心があるところに行った。一つは「生き甲斐の心理学」の恩師U先生に勧められた、フロイトの胸像があるウィーン大学。そしてもう一つはフランツ・カフカのいたチェコのカフカ記念館であった。カフカは大学生のころに一時熱中した小説家で、今は余り興味はないものの自分の生育史上の出来事として気になったのである。
今、私は「生き甲斐の心理学」の勉強や普及、日本の原型ともいえる7-8世紀の持統天皇の時代、さらにもっと古い縄文時代、小説などの著作に関心を持っていて一見支離滅裂。しかし、自己弁護のためによく考えると、今私を取り巻く様々な現象の奥というか深層というか、そんなところへの心の旅なのかなと思う。
この数日、先月に久しぶりのお会いしたBさんの影響もあって、「コフートの心理療法」(中西信男著 ナカニシヤ出版)を熟読している。並行して持統天皇に関係する本を読んだり、さらに東京の縄文遺跡に関係する本も読み実際に出かけたりし、支離滅裂的なのだが、不思議なことに点が線に、線が面にといったように何かが繋がってきているように、最近感じている。
「コフートの心理療法」の初めのほうには、フロイトに関する説明が書かれていた。フロイトの人間観、「生き甲斐の心理学」にも影響の大きいロジャースの人間観が対比されているところは唸ってしまった。しかしフロイトの人間観を考える上で、フロイトのウィーン大学での学生時代の胸像への憧れ(ウィーン大学の中に、ウィーン大学が輩出した偉大な学者の胸像などが置かれている場所がある。フロイトはそこで自分記念が設置されることを夢見たそうだ)の逸話は面白かった。いくら天才フロイトといっても時代の子なのだろう。U先生からお聴きした話と重なり、無意識の意識化の先駆者であるフロイトの野心や苦労について、考えさせられた。
フロイト記念館の有名な寝椅子。催眠療法と決別した時期だそうだ。
コフートは、フロイトの影響を受けた弟子のひとりであるが、第二次世界大戦後の心理学のメッカと言われるシカゴ大学(ロジャース・・も)で助教授をするなどシカゴで活躍されるが、カフカにも興味を持ったようだ。
フロイトの生きた時代と異なり、コフートの時代はどうも、カフカ的な世界は無視できなくなってきたように思う。非情な権力や自然、官僚主義、・・・に晒されることによりへんになる世界。自己愛の問題が顕著になる時代と言えるかもしれない。
この現代的な問題を考える中で、ふと持統天皇を想う。持統天皇は6-7世紀の人とはいえ、非情な権力、官僚主義(律令)、と深くかかわったある意味先端的な方である。不思議に超現代的な方かもしれない。
ところで、こころの深層への旅に関しての注意事項を、もう一度・・・私は、運よくU先生に出会うことができ、自己分析もある程度してきたが、これは当初の予想と違って、結構楽しい旅であった。こころの問題は決して無理をしない。できるところを行い、時を待つ。このスタンスはデリケートで傷つきやすいこころの問題を扱うときに重要かもしれない。
小学校のころに愛読した、東海道中膝栗毛。まじめな志はあっても、旅は楽しまなくては!
大國魂神社の裏の大イチョウ。さらにこの裏(南側)には縄文遺跡もあるという。
他者との関係性とストレス曲線 4/10
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森 裕行 | |
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