イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

イノシシを追って! 旧武蔵野郷土館・中原遺跡の土器と愛の原型・・・(6/10 今ここと縄文時代)

2024-10-27 | 第九章「愛」

少し前の10月25日に江戸東京たてもの館の展示を見に行った。目的は珍しく一つ。八王子市犬目の中原遺跡の土器の見学でした。残念なことに優品の土器二つの内一つしか展示されてなかったものの、四把手のキャリパー型土器(おそらく蒸し器)をじっくり味わうことができた。

このところ縄文中期の祖先たちがどのような食事をしていたのかに興味をもち、特に祝宴のご馳走をどのように作り共食していたかにうつつを抜かしていた。土器は煮炊きや蒸かし器などとして利用されたようだが、どのような材料を調理していたかが大きな関心事だった。中原遺跡の顔面把手深鉢や蛇体文土器、さらに同時期に非常に近しい関係にあった子抱き土偶で有名な、川口川対岸の宮田遺跡もイノシシに縁が深い集落のようで、旧武蔵野郷土館のイベントを知って猪突猛進で見学に来てしまった。

展示は正面ではなく横からの位置の展示で、猪の顔がよく分からないが、縄文土器大観(小林達雄編集 小川忠博撮影 小学館 1988)には展開写真もついているが、正面が写っていて、イノシシの顔が大きく窺える。横はウリボウ(イノシシの子供)の造形なのだろう。そんな訳で、この土器はイノシシの肉そのものや加工したハンバーグ状のイノシシを蒸かし共食したのではと、自然に想像してしまう。当時の料理の調味料は藻塩やハチミツ、香料(山椒など)なども使用し、かなり美味しい五感を楽しませるものであったはずだ。

さて、U先生から「生き甲斐の心理学」を20年以上学んでいることもあり、その心理的意味を思わず考えてしまう。祝宴には例えば100人とかの村人全員が集合するのだろうが、当然ながら多くの子供たちも招かれ(イノシシもウリボウを大切にするが)、おいしい食事を味わい貴重な愛の原型(他者から愛される経験で、その経験から愛され愛すという人にとって大切な行為の基盤となる)が形成されるのではと想像してしまう。かつて、私たちが「もういくつ寝るとお正月」と心待ちにし、各自の成長を祝い、共食し、見神欲も満足していたようにお正月やお盆は、愛の原型形成の大事な時であった。それは、この物質文明の中でも引き継がれ心理学を学校で勉強しなくても、伝統を通じて自然に学んでいっているようである。

このイノシシの顔(もちろん、その背後には当時の信仰の対象としての神等のイメージも重なっているように思うが)の土器は、煮炊きだと土器特有の匂いがついてしまうところを、蒸し器として、解放し調理を芸術的にも高めたのだろう。厳しい環境の中で生き抜かなければならない(今もそうだが)縄文人にとって、大きな意味があったと考えても良いのだろう。

縄文土器大観2(小林達雄編集 小川忠博撮影 小学館 1988)

巻頭の写真を含め、カラー写真は江戸東京たてものの園 「武蔵野の歴史と民族~「武蔵野郷土館」がのこしたモノたち」で筆者撮影。

 

6/10 今ここと縄文時代

WebマガジンAMOR「縄文時代のイキイキ生活」にも縄文に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら

この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

----------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行


ストレスの解放と縄文土器のものがたり (5/10 今ここと縄文時代)

2024-10-11 | 第三章「無意識の世界」

暑い夏から秋が何となく終わって急に寒くなったっこのごろ。季節の変わり目は体調を崩しやすいので注意していたものの、この数日体調がが今一つだった。

そんな時にU先生の比較宗教学や比較文化の影響を受けた生き甲斐の心理学のテキストを読み直していたら、体調を崩していたのはひょっとしたら心因性の問題も絡んでいたかと気づいた。年をとってから時間に追われるような生活を、年よりのひやみずでしていたこともあったのだろう。不安が怒りに、怒りが身体症状に・・・(このあとほっていくと身体症状がウツ、さらに錯乱と進む)亢進していったのかもしれない。

そうした時、生き甲斐の心理学では幼いころのウツの原型(体験)を思い出すことを勧められる。ある状況に陥ると変になっていく自分の傾向を知ることは大切だ。そうした傾向を知っていると、自分の環境を変えたり、無駄な心配から自己否定的になることを押さえることに気づく。また、生き甲斐の心理学を深めて行けば、その幼いころの解釈の問題に気づき、ウツが幸福感と隣り合わせであることを発見したり、愛の原型の理解を深めたりする。それは自分オリジナルの物語となって逆境のときに役に立ち、勇気と希望を与えてくれたりする。

さて、話は全く変わるが、縄文土器。特に中部高地から関東南西部に広がった約5000年前の井戸尻・勝坂期の縄文時代の芸術的にも評価の高い土器について考える。流れるような口縁部の装飾が4単位であったり、非対称の造形であったりするが、これは何を表現しようとしているのかと頭を抱えていた。この縄文中期中葉の時代にはメソポタミアやエジプトで文字文化が始まっていたが、縄文時代のそのころは文字を使っていなかったようだ。しかし、集団としての知恵や集団のアイデンティティなどは物語として語られ、口頭で伝授されていたに違いなかった。それは、時間とともに変化する土器や土偶の文様など物理的な遺物からも推察できるようであり、最終的には8世紀のころの古事記等の時代に統合され記述された神話などに結実化されている。しかし、その片鱗は縄文時代の例えば5000年前時代の遺物などにも残されているのでは。

 町田市忠生遺跡 特別展「縄文2021」にて2021年10月著者撮影) 

それは、土器等の文様として残されていたのではないだろうか。民族学でオーストラリア・アボリジニに詳しい故・小山修三氏は、アボリジニの七人姉妹の物語(最終的に昴のななつ星、プレアデス星団やオリオン座に昇華される)が現代にどのように語られながら、木の枝などで地面や木の葉に描かれる様を「狩人の大地」(雄山閣 1992)に解説されているが、まさに縄文時代の土器等の文様も同じように当時の独自の物語から生まれたように考えられていいのではないだろうか。

拙い私の物語も縄文時代の土器に描かれた物語も客観的にはよくわからないが、どこかで心を打つのは物語の背後にある人間観ではないだろうか。人には愛そのものの永遠性がある。そんな確信が救いをもたらすのではないだろうか。

5/10 今ここと縄文時代

WebマガジンAMOR「縄文時代のイキイキ生活」にも縄文に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら

この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

----------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行