イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

自分を知るために縄文を学ぶ・・・(4/10 縄文時代をどう解釈するか)

2024-02-19 | 第二章「五感と体感」

U先生から比較宗教学や文化人類学の影響を受けた臨床心理学の「生き甲斐の心理学」を学び続け、NPOに所属しその普及活動もさせていただいている。そんなことでU先生の「生き甲斐の心理学」のテキストは何回も読み返しているが、奥が深いので読むたびに何か発見がある。今日も何か新鮮な一文を見つけて感動してしまった。それは、人は自分の本音がなかなかつかめないということ。学術用語で自己覚知の話である。

生きていくと、利害得失や倫理観、プライド・・・そんなことにこころを奪われ、自分の本音が見えなくなる。本音とは深い意味がここではあり、生命体の核心にある知恵とも言えるかもしれない。それは真善美にも通じ、人生でぶつかる問題解決への道でもあろう。

そして、この本音が見えない時(もやもやする時)に助けてくれるもの、それについてテキスト78Pは次のように答えている。
「・・・もやもやする気持ちは何?と苦しむことがあります。理由が分からないが、気分が悪いとか。・・・親友がその気持ちを的確に表現してくれたり、小説、音楽、絵、香等の契機から、その理由が意識化できたことがありませんか?このように人は自分の事でありながら、本音が把握できない事があるものです。」

もやもやが消えていくのは、大切な人からのちょっとした囁き、五感からの知覚が大きな契機になる。確かにそうだなと思う。

ところで、私は10年くらい前から縄文に興味を持つようになり、そのうち2年くらいの時間をかけて縄文小説を7年前に上梓した。その後、「生き甲斐の心理学」の勉強もすすみ、縄文時代の勉強も拍車がかかってくる。そして、この1ー2年は縄文時代の研究も実際に遺物に触れたりすることや、縄文仲間も増えたこともあり、何か新しい領域に入ってしまったようで、縄文を見たり聞いたり触れたりする中で、新しい自分の出会うというか、自分を知るというか、オーと悟ることが多くなったようだ。

それは、私の幼い頃から青年時代くらいまでの生育史と密接につながっているようにも思う。夏休みになると広島県の父の郷里で葡萄畑の手伝いをしたが、土間や五右衛門風呂、ぽっとんトイレ・・当時はそんなものかというところだが、それが土器に触れたりすることとどこかで無意識につながってくるのだろうか、自分自身を知ることが多くなってきたように感じている。まさしく、「縄文を学ぶことで、自分の本音が見えてくる」

最近は身近な住まいの近くの遺跡についていろいろ謎に取り組むようになった。私の場合は祖先が何を信じ、どのように生活していたかが一番知りたい。1万年以上の縄文時代の流れのなかで、われわれが経験したことがないような災害も悲惨もあっただろう。そのときに生き抜いたのは何故か。

世界的に見れば、氷河期が終わるころから新石器時代が始まる。日本列島は農耕・牧畜といった典型的な文化ではないが宗教的には鳥居龍蔵氏がかつて「日本石器時代民衆の女神信仰」で指摘したように、女神信仰が世界的にあり、日本列島の縄文中期に花開く中央高地から西関東に及ぶ勝坂・井戸尻文化もその一翼を担ったのだと思う。私は記紀の記述や考古学の成果などから、縄文時代の特に中期は女神信仰・地母神信仰があり、想像以上に祖先達はその信仰を基盤に生きていたようだ。

そのような、ちょっと観念的な妄想が頭の中をふらふら横切るようなのだが、一方で田舎での土間の感触、ぽっとんトイレの不思議な空間感覚、五右衛門ぶろの入り方など、五感・体感の部分がざわめくのである。

考古学では余り扱われない、トイレとか、風呂とか、娯楽、鼓や笛、太鼓をともなった歌と踊り・・・ほんわか気分をどう味わったか、歌と踊りはどうだったか、よく寝るための工夫はどうだったか、料理はどのように手間をかけたか。生き甲斐づくりや宗教・アイデンティティの統合にどのような知恵があったか。

実はこういう問題は現代の埋もれた問題でもあり、危機に瀕した日本の様々な問題に何らかの回答を与えることもできるのではないかと妄想している。温故知新・・古くて新しい言葉だ。

4/10 縄文時代をどう解釈するか

WebマガジンAMOR「縄文時代の愛と魂」にも縄文に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら

この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

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「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行


心の地層をたどる旅 (3/10 縄文時代をどう解釈するか)

2024-02-06 | 第三章「無意識の世界」

のんびりと谷川と渓谷の地層を見ながら温泉に入る。千葉県房総半島の真ん中あたりの養老渓谷周辺に縄文も楽しみながら素敵な小旅行をしてきた。今回はこの地層について語っていきたい。地層に大いに興味を持ち始めたのは若狭の福井県年稿博物館に行ってからだ。水月湖の底をボーリングして7万年分の堆積物(地層)を主な展示物とする年稿博物館。その年稿の美しさに気づいたのはMさんのお陰もあるが、地層もまったく同じである。

地層は考古学では遺跡の調査報告書には必ずと言っていいほど記載されていて、昔は飛ばして読んだものだが、最近は丁寧に読むようになった。小学生のころ庭に穴を掘ったりした経験なども繋がってきているようである。今興味を持っている多摩境の小山白山公園の245遺跡や周辺の粘土採掘場遺跡あたりの地層・・・今は綺麗に整地され写真で見くらべると全く異なる景色となっているが、縄文時代の人々はどのように地べたに思いを寄せたのだろうか。

縄文時代にも粘土の採掘場や黒曜石の採掘場遺跡があり、今と同じように穴を掘ったり地層を真剣に観察したのだと思う。土や粘土に対する思いは、記紀にもいろいろ出ていているが、粘土の神、土の神はしっかり記録されている。中には火の神(カグツチ)が結婚相手に土の神(埴山姫)を選んでワクムスビを産んだという記述もあったりする(日本書紀の(第二の一書))。これは山焼き、野焼きも彷彿させ、最近の研究成果などで蕨などの山菜を得るために野焼きしていた可能性と繋がってくる。また野焼き(焚火)で土器の焼成をし、それでできた深鉢などで、食物の恵を受けるという意味にもとれる。土器づくりと神話や伝承の関係ももっと研究されてもよいかもしれない。

さて、私は20年以上U先生の「生き甲斐の心理学」を学びNPOで教育活動をしていることもあり、地層ににどこか似ている生育史についていろいろ考えてきた。「三つ子の魂百までも」ではないが、生育史は性格形成だけでなく人生に大きな影響を与える。そして、この勉強は人助けにもつながるが自分のこころの健康にも役立つ。特に最近感謝していることに、過去の嫌な経験をふと思い出したときに、当時の自分の解釈の仕方と違う視点から再解釈をして、その経験を明るく爽やかにすることがある。もちろん事実は変わらないのだが視点を変えることで感謝の気持ちまで起こったりする。私たちは思いもかけない経験をすることがある、その時に過去のネガティブな経験が解決されていないと、時にその時の苦悩の外に過去の苦悩も一緒に背負ってしまい、時には限界を超え体調を崩したりすることも。そんなことで、自分の生育史を研究し解釈を変えてみる、視点を変えてみることは意外に大事なことだと思う。もちろん、気の合う人との思い出話などで視点が変わることもあるが、のんびりと内省することも必要な気がする。

最近の例だが、高校1年のとき、同じ学年のA君が突然自死されたことがあった。この事件は当時の同級生、同学年の生徒にも衝撃を与えた。私は高校1年は彼と同級ではなかったこともあり、自分にとって大した事件ではないように思っていたが、多感でまだアイデンティティが確立していない時期でもあり、それからの人生に結構影響を与えていたと気づいた。この事件の影響は、暗い感情として記憶されていたが、それは当時16歳の年齢に相応しい解釈があったためである。もちろん50年以上経った今では彼の死は事実としても、視点を変えることができて、解釈は大人の解釈となり湧きおこる感情も変化したように思う。彼のお墓参りに行きたいなと思うのは明るい解釈の証かもしれない。

ところで、自分の生育史を学ぶ延長に、自分の両親や祖父母、さらに遡って自分のルーツを学ぶということもでてくる。日本に住んでいると気づかないような無意識化された文化の存在。それを学ぶためにも縄文時代の研究は大切だと感じているこの頃である。

3/10 縄文時代をどう解釈するか

WebマガジンAMOR「縄文時代の愛と魂」にも縄文に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら

この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

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「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

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1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

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