イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

超専門家の悩みを理解できるか?(こころを援助する意味⑪)

2010-03-31 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

 傾聴の2つめのポイントは、「理解」である。良い構えとは次のことである。

 ☆ 相手の要点を的確に理解する。

 さて、朝、目覚めた時に、ちょっと極端すぎる考えが脳裏を横切った。適切かどうかは良く判らないが、理解?していただくために使わせていただく。

 アインシュタインがカウンセリングルームに訪れ、私がカウンセリングをするという思いつきだ。この場合、私は何を傾聴し、的確に理解するかという問題である。勿論、言葉によるカウンセリングは母国語でないとうまくできないが、言葉の問題がないと仮定している。

 難しい数式の話が出てくるかもしれない。全く想像できないような、世界観の話がでてくるかもしれない。当然ながら、専門外でかつ能力に限界のある私が理解できる範囲は限られている。このような関係で、傾聴ができるか?

 結論からいうと、できるのである。

 極端な例ではないが、自分以外の他人は身体や生育史も異なり、当然ながら、固有の世界を持たれている。誰でも自分の世界を持ち、それを他人がちょっと齧って理解できないのは当然なのだ。他人(自分の子であったしても)は実のところ本来理解しにくいものなのだ。

  ただ、傾聴の中心的な理解は、相手の感情の理解なのである。どういう感情が、その方を苦しめているのか、それが中心だ。

 感情を中心に理解をする。このような理解は、U先生の生き甲斐の心理学を学ぶ前はしたことがなかった。そして、この勉強をしつつ、介護や福祉の仕事をしたり、教育活動をしたりすると、感情の豊饒な世界の神秘さにほれぼれすることが多くなった。

(こころの援助を考える⑪(1億2千万人のための生き甲斐の心理学) 12/60)

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寒さを熱意で乗り越える!(こころの援助を考える⑩)

2010-03-30 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

  昨日は、実に寒かった。早朝に八王子の奥ではぼたん雪まで降ったそうだ。3月の中旬の晩にも雪が降ったが(写真)、今年は雪も多いようだ。桜が開花したばっかりなのに。

 さて、6つのポイントを押さえた傾聴は、日常で余り経験しないものである。自分の過去を振り返ってみても、相談にいっても、反論されたり、お説教されたり、説得されたりが当たり前の歴史である。

 人のことも言えない。自分のところに誰かが相談に来ても(傾聴のことを知らない前は)、一方的に自分の意見を言ったり、お説教をしたり・・・である。逆に言えば、傾聴は日常では殆ど経験できない、特殊まものと言ってよい。

 「生き甲斐の心理学」のワークショップ(勉強会)に初めて訪れた時、2-3日の合宿であったが、U先生や諸先輩に、このロジャースの6条件、傾聴の雰囲気のなかで、別世界を過ごさせていただいた。

 終了前に、U先生から日常生活に戻る時は、喫茶店に行くなど少し間をおいて元に戻らないといけないと優しく注意された。確かに、こころの普段使っていない筋肉?を使って、へとへとになるところがある。また、こころの防衛機制も開放されていることが多いので、そのまま生活の場に入ると良くないのだろう。

 さて、傾聴の6つのポイントを押さえて行こう。まずは「熱意」である。

 ☆ 相手の方に興味を持ち、関心をもち、しかも態度で示すようにする。

 こうした構えが自然に出来るためには、自己肯定かつ他者肯定の人間観が重要で、私は、どんな人にも愛そのものが宿ると考えることにしている。そんな自己肯定・他者肯定が深いところで生まれてくると、相手の方の表情や言葉の中に、ますます関心と興味が湧いてくるから不思議である。

(こころの援助を考える⑩(1億2千万人のための生き甲斐の心理学) 11/60)

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命をかけた傾聴!(こころの援助を考える⑨)

2010-03-29 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」
 傾聴はどちらかというと、手法的である。それゆえ安易につまみ食い的に使われたり、考案した方の意図に反して曲げてつかわれたりする可能性もある。そんな、不安を昨日から感じていた。

 そんなことを感じたのは、内田樹氏と釈徹宗氏の共著、「現代霊性論」を昨日からゆっくり読んでいる影響もあるようだ。この本は、日本社会に溢れている様々な霊的な情報(魑魅魍魎的なものも含め)を、お二人の慈愛。愛に溢れる見識によって、整理統合されてる。若い大学院生を対象にした講義録をベースにされていて爽やかですらある。
 
 さて、何で傾聴をするのかを、もう一度原点に戻って考えてみよう。

 「生き甲斐の心理学」(植村高雄著)の基本的思想は、<人の身体は神の神殿>という、聖パウロの思想にある。これは、現代福祉思想の原型的なものであり、いろいろ影響を世界に与えているものであるが、どんな難問も問題意識を持った人の身体と心の中に存在するという考えにも馴染む。
 
 そして、傾聴は問題を持った本人が自分の中にある回答を、援助者と一緒に探しだす方法とも言える。

 「生き甲斐の心理学」を学び始めて1-2年した時、思わぬ事態があり、この傾聴を真剣にするチャンスがあった。勉強したてであったが、この「生き甲斐の心理学」の知識はとても貴重であり、実に助けてもらった。恩人といってよいほどである。

 これから、傾聴の意味を深く考えつつ、これから6つのポイントを勉強していきたい。

 写真は聖跡桜ケ丘の桜。桜は、私にとっては再生のシンボルである。

(こころの援助を考える⑨(1億2千万人のための生き甲斐の心理学) 10/60)

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傾聴:何を聴くのか?・・・(こころの援助を考える⑧)

2010-03-28 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

 毎日どのくらいの人に挨拶をし、お辞儀をしたりしているのだろうか。そして、どのくらい人と話をするのだろうか。そんなことを昨日から考えている。

 私もそうだが、周りの人達もしょっちゅう挨拶をし、お辞儀をし、会話をしている。今日は日曜の午後2時であるが、私は既に7-8人には挨拶をしたものだ。

 そして何故、お辞儀(時には深々と)や挨拶をしたりするのだろうかと考えると、この世に生れてから父母や祖父母たちを始め皆が当たり前のようにしているので、身に付いたのだろうと思う。

 きっと数世代前どころか、平安時代、縄文時代、現世人類がアフリカから出立するころの気の遠くなるような昔の祖先たちも、何か挨拶やお辞儀があり、会話をしていたのだと思う。

 人、ヒトという言葉は、ヒ=日・霊 ト=場所という意味に分解できると学んだことがある。どうも、私たちは身体的、メンタル的な存在だけでなく、霊的(魂、霊性)な存在として人間を扱い、社会生活をしているように思えてならない。

 日本人は、世界有数の自殺率の高い国という事実はあるが、良く調べてみると、世界で有数の他殺率の低い国であることが判る。お辞儀をし挨拶をし・・・その結果かどうか人に害を加えることの少ない国なのである。自殺率は問題であるが・・・

 傾聴という言葉は随分普及してきた。傾聴ボランティア講座も良く目につく。終末医療の中で活動されることもある。

 傾聴、聴くという漢字があてがわれているので、恐らく、単に物理的な音を聞くという意味ではなく、メンタル面や霊性面といった深い人間の層まで聴きとる意味があるのだろう。

 私が学んできた、「生き甲斐の心理学」でも傾聴は大切にされている。心理療法の必要にして十分な6つの条件は、20世紀の画期的な発見だと私は思うが、それを実際に社会生活で活かす方法(カウンセリングをしたりする)として、傾聴があると思う。

 さて、傾聴で人の何を聴くかという問題を整理してみよう。人が<身体>と生育史からなるメンタルの部分<こころ>、そして霊性あるいは<魂>からなりたっているとすると、<身体>と<こころ>と<魂>から形成される「何か」を聴くということになるのだろう。

 最後に蛇足ではあるが、内田樹氏と釈徹宗氏の共著、「現代霊性論」を読んでいたら、1998年にWHOの委員会で健康の定義に霊的という言葉が追加され可決したが、その後総会で否決され、現在本部預かりの状態になっているという顛末が掲載されていた。

 霊的なものをどう考えるかは、健康的に生きる上で大変重要なことでもあるが、それが、広範に議論されつつあるというのは良いことではないかと思う。 

(こころの援助を考える⑧(1億2千万人のための生き甲斐の心理学) 9/60)

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心理療法の方程式!(こころの援助を考える⑦)

2010-03-27 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

 4回にわたり、ロジャースの心理療法の必要かつ十分な6つの条件の自己事例を紹介してきた。1958年の50年以上の前のことであるが、とても思い出深かった。そのアラスカの女性の先生(ネイティブだと思うが・・・)とは、その思い出深い出会いから2-3日後、父の意向もあり小学校を変わることで、突然お別れすることになった。

 何故変わったかは、父も亡くなり、今となっては謎といってよいが、何らかの事情でマイノリティ中心の小学校に入ったが、許可がおりて近くの小学校に移ることが出来たのだと思う。

 ただ、その女性の先生が、私が小学校を去ることを告げられたときの、悲しそうな顔を忘れられない。そして、彼女からは別れのプレゼント(白墨など)まで頂いたのである。名前も覚えていない先生ではあるが、今はどうされているのだろうか。

 ちょうど、その出会いがあった1950年代に、丁度カール・ロジャースが、心理療法の必要かつ十分な6つの条件を発表している。カウンセリングが世界的にポピュラーになっていく大切な理論だったと思う。その理論を、女性の先生が知っていたかどうかは不明だが、もし知っていたらと思うと不思議な気になる。

 もう一度、原文の6つの条件を以下に掲載してみる。難しい表現ではあるが、より詳しい解説はどうぞ「生き甲斐の心理学」2章等をご参照ください。

(1)  二人の個人が、心理的接触の状態にある。

(2)  クライエントと呼ばれるその中の一人は、不調和の状態にあり、傷つけられやすく 、または不安の状態にある。

(3)  治療者と呼ばれる第2の人は、その二人の関係の中で調和を保ち、統合された 状態にいる(純粋と一致)。

(4)  治療者はクライエントに対して、無条件のPositive Regard(好意、肯定的な配慮と関心)を経験する。

(5)  治療者はクライエントの内的枠組についてのempathic(共感的、感情移入的)な理解を経験し、この自らの経験を、クライエントに伝達しようと努力する。

(6)  治療者の感情移入的な理解と、無条件の肯定的な関心が、ある最小限度、クライエントに伝達される。

(佐治守夫著『カウンセリング入門』国土社P.171より<o:p></o:p>

 ロジャースが自分でも述べているが、この6つの条件があれば、クライアントに建設的な変容が起こるとしている。また、心理療法の場であっても、そうでなくても起こるとしている点も楽しい。

 6つの条件が、自分や大切にしている人にとって、本当に大切であることを実感するには、いろいろな方法があると思う。その中で、自己事例を考察するのも良いと思うが、小説や伝記、聖書などの古典に持っている話を事例と解釈して分析してもおもしろい。

 さて、私は創造のプロセス(創造工学)や品質管理などにも若い時に興味をもち今日にいたっているが、こうした条件やプロセスを知ることは、極めて大事であるが、それを応用して世のために使う段になると、多くの人が脱落してしまう姿も見てきた。そこを何とかしたいというのが、私の夢である。

 如何にこの6条件・プロセスを実現していくか。その対象は、掛買いのない自分自身の生き方であるかもしれないし、身近な大切の人の援助かもしれない。

 次回から、その実現方法の一つとして「生き甲斐の心理学」の傾聴について考えてみたい。

(こころの援助を考える⑦(1億2千万人のための生き甲斐の心理学) 8/60)

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