縄文時代の話となると、現代との相違点に話題が集まりがちだが、10,000年以上の列島の縄文時代は確かに多様ではあるが共通点も沢山ある。
共通点の一つは現代人と同じような認知機能を持つ縄文人の存在。かつては進歩史観のような見方で原始的な人間等のイメージを私ももっていたが、脳科学やDNA等の科学の進歩で、文化の性格が違っていても人間そのものは同じと考えて差し支えないようだ。周りの愛に育まれ厳しい世界を生き抜き、そして身体は死んでいく人生。何の為に生きるのかを問い続けることは縄文時代も今も変わらないのだろう。
それから、自然をはじめとする環境も共通点が多い。10,000年以上つづく縄文時代なので、気候も16,000年前の草創期などは氷河期。そして、縄文前期の7000年前ころは逆に2-3度高く、縄文海進のピークであったようだが、縄文中期後半から後期にころからと現代は結構にている環境であるようだ。そして、都会の一部のように地形までも大きく改変されてしまうことはあっても、おおかたの地形も変わらず、例えば遠方の山々などの景観が一緒ということは凄いともいえる。
そんなことで、今の私が昔の面影を残している場所で、五感で感じることは縄文人のそれとさほど変わらないかもしれない。今回の小旅行も縄文時代を思い浮かべるために、そういった中部高地の旅をした。八ヶ岳の近くの富士見町、原村、蓼科、茅野市、長和町、下諏訪・・
高地なので八王子あたりと比べて1-2ヶ月季節が逆戻りしているようで、野の花もスズランがやっと咲き始めていたり、蛙の声が何か懐かしかったり。
八島湿原
阿久遺跡から蓼科山を望む
阿久遺跡
八ヶ岳美術館
さて、今回は原村の阿久遺跡をいろいろと学んだ。縄文早期から後期までで前期の環状集石がお目当て。阿久遺跡の有名な遺物も展示している八ヶ岳美術館にも立ち寄った。ちょうど地元の中学生が団体で見学中で熱心に説明を聞いていた。10年前にオーストリアのフロイト記念館で見学していたときも、地元の学生の団体が来ていて説明を受けていた記憶が蘇った。フロイト記念館に収集された古代の遺物が展示してあった。
八ヶ岳美術館には地元の実に美しい土器や黒曜石などと一緒に、現代の絵画や彫刻もあり、しかも建物自体も芸術的で心地よい。その組み合わせが何ともしっくりしていて素敵だった。
同じ場所で、違う時代であっても、五感体感で感じる世界はどこかで繋がる。そして、そこで見る真善美は響く。
そういえば、私の住む多摩の東京都埋蔵文化財センターや縄文の村もそうであり、さらに、私が考古学に興味を持ち始めた原点ともいえる井戸尻考古館もさらに深いところで響きあっているようだ。地域と密着することで本物になるようだ。
井戸尻考古館
現代はデジタル技術の発展で、3D化やデーターベースで、美術館や博物館、図書館、郷土館も垣根がなくなり統合化されていくと知人から聴いたが、五感体感で感じる地域が、その世界を開くドアになることは間違いないだろう。私の晩年の生き甲斐もそういったドアから始まってくる。旅で出合った方々に感謝である。
10/10 五感と喜怒哀楽
------------------------------------------------------------
縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。
「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」購入方法
1.紙の本の入手については・・・
四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。
電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)
住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2
なお、国会図書館、八王子市図書館には蔵書としておいてます。
2.電子書籍版は定価(1,000円)でアマゾンさんで、
Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。
サンプルもあります。
縄文小説 森と海と月 五千年前の祖先の愛と魂
森 裕行
--------------------------------------------------------