イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

縄文人の個性の美 (8/10 今ここと縄文時代)

2024-12-30 | 第十章「今ここでの恩寵」

この頃「生き甲斐の心理学」の師匠であるU先生の影響か、個性の美についてよく考える。

人生を左右するようなその人の傾向と渇望、人生の方向性は意外に人生のスタート地点の0歳から2歳ごろ(少年少女時代もあるだろうが)に決まってくるのではという学説がある。記憶も定かでないころ。私は一年羽田飛行場の近くに住んでいた。まあ多摩川の河口の近くといえば言える。ただ、物心ついてからは四ツ谷坂町で就職してすぐのころまでそこに住んでいたので、四ツ谷生まれという自己イメージを持っていたが、その後の人生を振り返ってみると、多摩川の支流の大栗川下流域に20年近く、さらに中流域に20年近くとサケのように?しかもゆっくり遡っている。これは、私の源流を求めるような無意識の仕業ではあるまいか。笑ってしまうが、歴史の興味も飛鳥時代から始まり、今は縄文時代・旧石器。将来は20-30万年前のアフリカ(ホモサピエンスの原点)なのだろうか。そんな風に、自分の不思議な傾向と渇望を妄想してしまう。

ところで、個性とは何だろうか。こうした生育史的な要素もあるだろうが、身体的な要素、あるいは時代や空間を越えた生命体のもつ普遍的要素も想定したほうが良いかもしれない(魂?)。そして、統合されたほとばしるようものが個性なのだと思う。さらに思索すると、その個性は本来的には真善美にかなうのではあるまいか。

さて、人の原型の不思議さもあるが、文化にも原型があるように思う。このところ気になっているのは縄文文化の原型。

船橋の飛ノ台史跡公園博物館に12月28日に行ってきた。多摩から都心を通って車で行ったが年末であったが交通渋滞もなく快適だった。そしてそこでの縄文の原型探しの体験はとても刺激的だった。今話題の国史跡・取掛西遺跡や土偶については1月初旬のAMOR誌で触れるので、今回は同じ早期だが時代的には何千年か下がった8000年前頃の飛ノ台史跡公園博物館の庭園に保存されている貝塚から出土した男女の人骨。縄文早期の男女の合葬と考えられている。成年男子とまだ成年に達していないと思われる女性の合葬である。貝塚に埋葬されるということは、我々の感覚からすると、何かゴミ捨て場のようなイメージを持つかもしれないが、私は魂の送り場だと考えている。つまり神聖な場所であり、葬られた二人は村の長老とか祈祷師といった人の祈りとともに手厚く葬られたのだろう。

その男女の名前も関係も当然伝わっていない。そして生前の二人の間にあっただろう物語。そしてそれを送る人々(長老や祈祷師)の物語も当然ながら伝わっていない。しかし、私たちが生をいただいた祖先につながる人々であり、分からないながら手を合わせたくなる。この二人は当然ながら二人が意識しなくても、あるいは周りの人が意識しなくても各々生まれながらの傾向と渇望を持ち、個性を持って生き、きっとその個性の美ゆえに手厚く葬られたのだろう。今回は残念ながら詳細な推定年齢や遺伝子情報からくる関係性、さらにどのような食生活を送ったかなどがわからない。また、村の長老や祈祷師が60歳台だったのかなども。それがより分かれば、縄文時代の個性の美といったものがより浮かび小説も紡げる。

飛ノ台史跡公園博物館は、これだけでなくもっと多様な命の記録を残し(素晴らしい土器をはじめとする遺物など)、それに触れることで縄文時代の個性の美を垣間見せてくれるように思う。

8/10 今ここと縄文時代

WebマガジンAMOR「縄文時代のイキイキ生活」にも縄文に関する関連記事があります是非ご覧ください。こちら

この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

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1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

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  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行


イノシシが見えると言うこと・・・人格形成論を巡って。(7/10 今ここと縄文時代)

2024-12-05 | 第一章「意識と知覚」

もう10年以上前だが、多摩動物公園のパスポートを購入して、しばしば動物を見に行った時期がある。まだ、縄文時代に開眼しておらず(笑)、U先生の比較宗教学や文化人類学をベースにした臨床心理学の研究の一環であった。写真のイノシシはさほど慎重に見なかったが、今のように縄文時代に興味があれば一日見学していたかもしれない。当時はシマウマの観察だった。大きなストレスがあるようでいつも飼育舎の前で怒り蹴ったりして暴れていた、その後仔馬が生まれて安堵したこともあった。動物のこころの成長は専門知識がなくて詳細は分からないが、ロジャースの人格形成論(19の命題)の半分以上は行動を見ていると当てはまるようだ。先のシマウマの異常行動/愛の孤独?も当のシマウマにとっては何らか意味があることはあきらかではあるが、それが何かは近しい関係(動物園の掲示を考えると嫉妬?)でないと、あるいは徹底した自己分析が背景になければわからないように思う。それは人間であっても同じだ。

さて、そんなことを思い出しているのは、どうも最近の縄文時代の研究の中で、自分のバックグラウンドからくるものの見方について、あらためて意識しなければならないと感じているからである。ある造形を見てこれは何かと分からず疑問に思ったりする。それが、ある日これはイノシシだという研究者が現れる。見立ての仕方に従うと確かにイノシシに見える。しかしその図像解釈がイノシシで正しいかは、時代的な変遷(編年)や他の文化との関係、環境などの客観的研究が必要である。空似ということもご存じのとおりあるからだ。そのプロセスを取らずとんでもないことを言うことは自由かもしれないが、しかるべき反論に対応しなければならない。

イノシシに見える。19の命題のような現象学的な知見に向き合うことを放棄することは、アンデルセンの裸の王様のような話に繋がる。

ところで、私が高校3年生の時、日本史のK先生の講義で天皇が神になった時代は持統天皇・天武天皇の時代と第二次世界大戦の時代と学んだことがあった。その言葉は比較宗教学や文化人類学もベースにした臨床心理学をU先生から学びながら、持統天皇の論文を書いている時に思い出した。本人(持統天皇)の意図を抜きにしてもそういう現象が当時あったことは事実だった。その論文は4年前に完成したが何か私が想像していたのと異なる反響もあるようで、まだはっきり分からないが縄文の研究にも寄与できる内容なのかもしれないと思い、これから春の某研究会にむかって思索してみたいと考えている。

U先生の心理学を学ぶ前は、例えば博物館で鑑賞する場合。絵画なら絵画の側の説明版を見て、それからおもむろに絵を眺めたりする。そして良かったか悪かったかの印象は意外に希薄だったりした。しかしU先生は、まずは感情を大事にして見るように勧められた。見ることで湧きおこる感情を大事にする。好きか嫌いか、怖いか怖くないか・・など原初感情を確かめたりも。こうした感情は非常に個人的かもしれない。しかし、味わい深くいろいろな気づきを与える。40億年の生命の歴史からなる喜怒哀楽の現れはある意味知性より優れているのではないだろうか。こうした現場で湧きおこる感情を大事ににする態度は、ロジャースの19の命題のように現象学の影響を受けた人格形成理論と相性が良い。そして、それは文化の違いや時間の違いを超えて、様々な人の理解に役立つように思う。さらに、発達心理学で教育分野では特に有名なエリクソンは、たたき上げの心理学者で天才的な8段階の人格形成論を表している。この二つの理論の組み合わせをベースにフロイトやユングや喜怒哀楽の理論などを組み合わせたブラウンやU先生の理論は、持統天皇の研究だけでなく、縄文時代の中でも比較的よく分析が進んでいる縄文中期前半の富士眉月弧文化圏の研究にも、役立つのではないだろうか。子抱き土偶がその一例のように思う。

昨年の終わりごろだったか、山梨県県立博物館で展示会があり、顔面把手付き土器などが一同に集められで一望できる素晴らしい機会であり、車にのって2回見学に行った。夥しい5000年前の中部高地から西南関東の土器や土偶に現れる図像。それは明らかに個人や集団のある意図のもとに作られたものである。・・・よく見ると、それは誕生土器や土偶に関連する成人・妊娠・出産というライフイベントと関係するものが多いことに気づいたのだ。そして、今子抱き土偶の研究、ほんのとっかかりの成果を前にしている。

有難いことに遺伝子科学の進展で今の人間も縄文時代の人間も、あるいは地域的にユーラシア大陸の西でも東でも人は皆同質で、同じ土俵で分析・理解できると考える。特に縄文中期の中部高地や多摩(富士眉月弧文化圏)の縄文人の情報は出産土器や土偶など豊富で、心理学的にも迫っていけるのではないだろうか。

7/10 今ここと縄文時代

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この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

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入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

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 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

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