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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

良き新年を産む!(9/10 縄文世界を感じる時)

2023-12-01 | 第七章「光と復活体」

一か月近く体調不良で外出もほとんどせず暮らしていた。気持ちは50歳台だがやはり体力は70歳台(入りかけだが)。いろいろ思い知らされた。しかし、自分の身体についていろいろ観察した経験は大きかった。食べるとは何か、排泄とは何か。体力とは何か・・・そして、暖かい心遣いも沢山いただいた。生命とは何かを身をもって体験できた貴重な時だったようだ。

一方、講座の準備や原稿作成もあって、のんびりしつつもこの期間の後半は人間の嫌な面の思索もした。恩師から「殺人の人類史」(コリン・ウィルソン、デイモン・ウィルソン著 青土社 松田和也著 2016年)を紹介されて読み始めたり。ちょうどウクライナ戦争も忘れてしまうようなイスラエルの戦争、さらに日本の政治の貧しさを実感する報道もいくつかあり、若いころから営業や福祉、教育といった分野を経験し、人間好きだったはずの私もさすがに落ち込むことも。ただ、こうした時の信仰はありがたい。人間への信頼がぐらつく時、その人間とは自分であったり他者であったりするが、身近な神仏への信仰はありがたいものである。

さて、縄文時代は10,000年以上続く狩猟採集文化であるが、定住を実現した不思議な文化である。世界に類を見ないと言ってよい。それ故日本の文化は今の時代にあって、国際的には珍しい文化なのだろう。いい悪いは別にして、甘えの構造や恥の文化を理解してくれる外国人はどのくらいいるのだろうか。なにしろ、縄文時代と並行して世界の大半は農耕・牧畜が基盤で金属器を使って戦争をしたりしていたのに。日本列島の縄文時代は殺人はあっても武器を作らず組織的な戦争をしなかった。そして、野焼きや山焼きはしても豊かな自然と共存できていた時代。

その要となる縄文時代の信仰について、この一年位随分考えてきたが、縄文中期に顕著になった誕生土偶(出産土偶)は当時の死と再生の信仰を考える上で象徴的だと思う。何故、誕生や出産がもっとも当時の人々にとって象徴性をもったか。それはホモサピエンスの出産が異常に危険で多くの母子が痛みや危険にさらされるだけでなく、亡くなることすらあったと思う。身近なイノシシもシカをはじめすべての動物は出産で苦しまず子供を産む。これは、人類がアフリカ大陸で生まれたころ、どういうわけか二足歩行/直立歩行をし、そのため骨盤等が発達し困難な出産の原因となったようだ。なぜそのような不思議な進化となったかは、謎に包まれていて、アフリカのサバンナでの適応とか、アフリカの海岸での適応とも言われているが真相は謎に包まれている。そして、今も縄文時代も、出産が犬のように軽く、あるいは猪のように軽くと祈ったのだろう。特に身近に狩猟をし医療体制ができていなかった時代は、その祈りはより切実だったと思う。さらに、出産や誕生は当たり前だが、命のバトンタッチという側面がある。これは季節的な植物の収穫や動物の誕生のイメージともつながり、さらに大きな神仏といった信仰の世界とつながっていく。

12月になった。今月22日は冬至である。世界的にシーズンズ・グリーティング。クリスマスや正月がやってくる。死と再生。すべてが新しくなる。来年は辰年、再来年蛇年。これまたどこか縄文時代と縁が深い蛇(へび)を思い浮かべてしまう。40日ごとに脱皮する蛇にあやかりたいという願いは正月の意味を倍加させるかのようである。気候変動が野生化した時代。生き残るためには戦争などしている余裕はないはずだ。出産に想いを馳せながら、戦争や気候変動を乗り越える創意工夫の良い時代をご一緒に産みたいものである。


9/10 縄文世界を感じる時

AMOR「縄文時代の愛と魂」に(⑩生命を頂いて生きる)を掲載しました。こちら

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       森裕行