イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

生き甲斐は与えられるもの?発見するもの?(3/10 五感と生き甲斐と縄文)

2020-12-27 | 第二章「五感と体感」

今年も冬至に東京都町田市の田端環状積石遺構に行き、冬至の入り日が丹沢山系の最高峰・蛭ヶ岳山頂に落ちる様を見に行った。残念ながら今年も雲が掛かり決定的瞬間は見ることができなかった。写真は2018年の12月23日。冬至に近い日だったように記憶している(当日だめでも前後一週間くらいはほぼ同じ位置と聞く)。この年中行事?は2014年に東京都埋蔵文化財センターの講座を受けさせていただいてからだ。

しかし、約3500年前という縄文後期にこの場所を発見し、そして土地を造成したり溝を作ったりし、ストーンサークルを作った人たちのパワーには驚嘆する。縄文時代はのどかで皆時間があり、のんびりと空を見上げてこの場所を見つけた・・・縄文時代について余り知らなかったころは、そんな想像をしていたが。どうもこのストーンサークルが作られた縄文後期は気候変動で自然災害が多く、冷涼化などもあり暮らしにくかった時代であり。のんびりと場所を見つけて何となくストーンサークルを作るという感じでは無かったようだ。

まず冬至の日を特定すること。今ではネットで調べればすぐに分かるが、3500年前はどうだったのだろうか?村ごとに入り日や日の出の太陽の位置を計測し割り出していたのでは・・・論理的には可能だろうが、専門の施設・情報があって何らかの方法で、今と同じように冬至/カレンダーの情報が広域に伝わっていったと考えたほうが自然だと思う。特に3500年位前は関東でも大規模な環状集落の時代は既に終わり、村は小型化分散化している。

さて、古代の天文施設というと金山巨石群を思い出す。金山巨石群(岐阜県)は以前行って長時間丁寧なご説明を頂いたが、考古学的には厳密な検証は難しいかもしれないが、かなり昔(縄文時代といった)の極めて精度が高い太陽暦に関係する施設であることは間違いない。冬至が近づき祭りをする。それはストーンサークルに限らず普遍的なことだったと思う(世界各国、今でも5000年前でも、正月もクリスマスも冬至と関係が深い)。しかし、ストーンサークルをつくるとなると、金山巨石群(グレゴリオ暦に相当する暦が創出できる)といった天文に詳しい技術集団により、この地が特定される。そして、ストーンサークルが作られ、冬至の日が知らされて毎年祭りが行われる。

冬至の祭りは600年以上続けられたようである。しかし、なにより不思議なのは有名な北海道の著保内野遺跡から出土した国宝の土偶とそっくりな土偶の頭部が出土していることである。当時の社会状況から西関東の集団と東北・北海道の集団との緊密な関係が浮き彫りにされるのだが、当然ながら海を渡っての交流であり、航海が天文学と結びつくことから、やはり当時の科学技術の水準もうきぼりにされる。

もともとは誰かが不思議な再生の場所であることに気づき、仲間の共感を得て集団の結束を高めるといった効果もよかったのか、祭りの場となる。やがて、遠い村からも人が集まる場所となり、厳しい時代を生き抜く美しい聖なる場所となっていく。しかし、祭りは初めのころはその意義(真善美)がうまく伝わったかもしれないが、次第にぼんやりとし時には忘れられてしまう。形骸化が起こるのは人間の集団の常である。

私は生き甲斐の心理学という比較宗教、比較文化の影響を受けた心理学を学ぶ学徒なのであるが、生き甲斐は基本的に自分の内部から発見するものだと考えている。昨日もU先生のテキストで勉強会を開催したが、サマリアの女(新約聖書 ヨハネ福音書 4章1-42)の勉強をした。これは、イエスが悩める女性と出会い、実に短時間の会話の中で女性のこころを開き、生き甲斐まで見いだせるということで、宗教家だけでなく欧米の心理療家が着目し研究しているようだ。ヤコブの井戸、水がキーワードであるが、人がどのように生き甲斐を見いだすかがよく分かる話でもある。

私の場合も人生の時々で生き甲斐を発見していった、ときには静かな会話の中で、あるときは食事の中で、あるときは公園の草の臭いが充満する中で何かを発見している。どうも理性的に論理を追って生き甲斐を見つけるというより、五感・感情の世界(当然ながらのんびりしていないと分からない)から気づきを得て見いだして行くようだ。

冬至も過ぎ、世の中はコロナ禍で静かな年末年始とか・・・

のんびりと五感を楽しませて年末年始を送りたい。

3/10 五感と生き甲斐と縄文

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<生き甲斐>となるもの、ならないもの (2/10 五感と生き甲斐と縄文)

2020-12-19 | 第二章「五感と体感」

今年も縄文を中心に一年がたっていった。写真は岡谷美術考古館の壺を持つ妊婦の土偶であるが、7月に三十三番土偶札所巡りの御朱印帳を始め、11月に見学したときのものだ。このときは二日間車でまわって18の御朱印を頂いた。御朱印は今まで近くを通っていても行ったことのない資料館などに行くきっかけとなり実にありがたかった。また、御朱印は神社仏閣でもそうだが、御朱印をきっかけに、温かい会話ができることがあり嬉しい。それから、縄文になれていくと忘れてしまいがちな、土偶は本来祈りの対象であったことを再確認させて頂ける。

しかし、こうした<縄文=私の生き甲斐>は数十年前、あるいは10年前でも、私は想像だにしてなかった。

この生き甲斐はどのように生じたのだろうか?恥ずかしながら自分の生き甲斐の歴史を少し振り返ってみたい。

小学校の時に庭に穴を掘って、父のお古のパターでゴルフのまねごとを一人でやっていたが、大人になってからはゴルフに興味を持てず、もちろん生き甲斐になることはなかった。父も祖父も理科系で自分もそうかなと思ったが小学校のころは器械体操が得意で体育は良い成績だったが、他はそれほどでもなかった。ただ、一人であるテーマのことでノートを本のように手作りしたことがあった。中学に入ると国語の試験で長文の5択問題とかがあって、考えているとあっという間に時間が経ち、何回も悪い成績をとって嫌な思いをした。自分は国語は駄目だから理科系にでもと真剣に思った。しかし、高校生くらいから周りの刺激を受けて読書が面白くなり、創造性に興味を持ち、それは今の活動にも活かされてくる。社会人になってからは歴史小説を読んだり、さらに中高年になると心理学や宗教に関心が移ってきた。スポーツは小学校の時は体育は唯一の得意科目だったが、学生時代から集団で行うスポーツは気乗りがせず、時にジョギングに凝ったりするものの続かない。唯一気功・太極拳は背水の陣で取り組んで続いているが、鍵は一人でできることかもしれない。

このように、生き甲斐いは、当たり前だが自分の個性というか、三つ子の魂みたいな傾向と渇望に関係するのは間違いない(心理学者ロジャースの第4命題)。そして、それは水脈のように連綿と続き今に至っている。もう一つ、大事なことはU先生が指摘されていたが、真善美と関係することだろう。目的がはっきりしないお金稼ぎや名声づくりと異なり、この世だけで無くあの世に属している部分があることが生き甲斐作りにポイントかもしれない。

1/10 五感と生き甲斐と縄文

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オンラインの私たち、詫び・寂びの縄文人たち・・・ (1/10 五感と生き甲斐と縄文)

2020-12-16 | 第二章「五感と体感」

 年末になり、何となくこの一年を振り返り、来年はどうしようか・・などを考えることが多くなったようだ。今年はコロナ禍ということであったが、周りを見るとコロナ禍を契機に新しい動きが芽生え確実に変化が起こり始めているようだ。昨日も某所での生き甲斐の心理学の勉強会に参加して、つくづく感じた次第である。

 私はこの一年、「縄文」と「生き甲斐の心理学」に明け暮れ、縄文取材旅行も北海道、九州、千葉、甲信越もこなし、初めての経験で縄文を楽しむという市民講座にも講師としてお手伝いをさせていただいた。「生き甲斐の心理学」もオンライン勉強会を始めたり、なんと言っても2015年以降余り勉強をしていなかったが、持統天皇のケーススタディをこの10月から書き始め、勉強をするなかで目から鱗・・といった経験をしている。

「縄文」と「生き甲斐の心理学」。それから来年から本格化するはず?の「縄文小説」。その一見繋がらないようなことは、一つのキーワードで実は繋がる。それは五感・体感なのである。

 小学校のころ。私は肉や魚は好きだったが野菜は苦手だった。キャベツなどは良く食卓に上がったが残したりしていた。しかし、還暦をだいぶ過ぎて来年は車でも高齢者研修・・などの年齢になり、不思議なことにキャベツが好きになり、自分でもスーパーで買ってくるほどになってしまった。身体の変化で好みも変わる一例であるが、五感・体感で感じるものも年齢とともに変わる。好きとか嫌いとか・・個人にとって余り変わらないように思われる感情も移り変わるのだ。生育史を見つめていくと本当に変わる。嫌いだった人も好きになったり、嫌いだった宗教も好きになったりする。

 そして、つくづく思うが、変化は自分一人で変わるのではなく、何かとの出会いで変わる。それは人であったり本などの情報であったりもするが、ポイントは五感・体感で彩られた経験なのである。深い理解は頭の中の操作だけでは駄目で、五感・体感を伴なった出会いで生まれる。

 今年のコロナ禍。あたりまえだった年末年始の忘年会や新年会もなくなり、マスク忘年会やオンライン忘年会があれば良いほど。年をとればそれなりに出来ないことが増えるが、加速してできないことが多くなった。まあ、私は自宅でできることだらけなのでストレスは少ない方だが。しかし、コミュニケーションの面ではストレスが多い。リアルが会合がオンラインの勉強会に変わったりした。オンライン(Zoomなど)はコロナ禍がなかったら出会えなかった経験である。もちろん五感・体感をフル動員できるリアルな会合と違う。視覚・聴覚は参加者が設定したカメラとマイクのみ。臭覚・味覚・触覚はあり得ない。花形のように言われても、コミュニケーションとしてはいろいろ不足しているのである。しかも苦労して自宅で行うのが普通。

 しかし、その中でも不思議にコミュニケーションがすばらしかったりする。新しい出会いや発見、学び・・・

 ふと、昨年見た昔のハガキを思い出した。それは私が生まれたころで、社宅住まいの母に送られた祖父母をはじめ親戚一同?のぎっしり書かれた寄せ書きだった。絵があり、冗談があり、今と違って書き殴りのが当たり前のハガキ・・・それでも伝わる大きな愛。

 オンラインも、基本は同じなのだろう。そこには、工夫とプラスαが必要だ。

 不足や経年劣化を文化にまで高めた日本文化。それを詫び寂びというのだろう。芭蕉の古池やは一匹の蛙との出会い。しかし、詫び寂びの文化は決して江戸時代の特許ではない。持統天皇の白鳳時代。そして縄文時代にも。割れた土器を工夫して漆で修復したり・・・そんな祖先の姿は詫び寂び文化そのものかもしれない。

 1/10 五感と生き甲斐と縄文

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自分の真善美を楽しもう。(自己実現、今も昔も 10/10)

2020-12-07 | 第一章「意識と知覚」

 実は「生き甲斐の心理学」で話題になる真善美をこの数週間ずっと考えている。これは心理学の世界のはなしだが、考え続けているといろいろな真善美に出合う。

 コロナ禍で有名になったある学者のインタビュー動画をみていたら、科学者は基本的に一人で考えるところから始まる・・・そんなお話があり、はっとした。私も一応、理系の人間で卒論も数理モデルや実験心理学の分野だった。ある現象、領域でもいいが、それに興味を持ち一つの論を自分でたてることは本当に楽しいことであった。

 真理の追求に関しては師弟と言えどある意味で対等である。社会に入ると様々なしがらみから自分をねじ曲げるところがあるが、真理研究での自由意志を尊重する科学の精神は素晴らしいと思う。

 文系の学問については、私は生き甲斐の心理学を学び、さらに歴史や考古学に興味を持つようになっても基本は同じであるようだ。政治の世界では説明責任をきちんとしないで真理をねじ曲げるようなことが最近横行して実に悲しいが、真面目な学問の世界は、文系といえども同じ精神が流れている。真理の前では一人一人が対等。

 縄文時代の研究でも重要な研究をされている吉野裕子氏の「持統天皇」を再読している。古代の科学とも言える易経の論理をつかって、真理に肉薄しているのは、ピタゴラスの三平方の定理のように爽やかだ。真理追究の創造的喜びというのは貴重であり、執筆者もそうだろうが読者にも創造的喜びが湧き起こる。

 美に関しては、五感・体感という切り口を「生き甲斐の心理学」をとおして気がつかせていただき間口が広がったように感じている。だいぶ以前、視覚障害者が山に登る喜びを述べていて驚いたことがあったが、現代の視覚・聴覚偏重の世界は多分まやかしなのであろう。

 縄文時代の美についても、最近は土器の触感に目覚めてしまった。機会があれば土器を作ってみたいと思うほどだ・・・一万年以上も野焼きで作り続けてきた縄文土器。視覚的な造形の美も確かにあるが、もっとプリミティブな臭覚とか触覚の美もあるのではないだろうか。すでに私たちが忘れているような。

 善に関しては、コロナ禍は良いチャンスかもしれない。方丈記の中で鴨長明は飢饉で真っ先に死ぬのは心優しい人・・のようなことを書いている。自分の食べるべき食物を、愛する人のために捧げるのは良いが、愛すべき人をおいて先に死んでしまう。普通の世の中では善とされることが、飢饉の時代は決して善ともいえない。今もアイデンティティが揺すぶられ、善が見えにくくなる時代だ。しかし、こうした時代でも善はあると確信している。そして、先の真理ではないが一般的な善というものではなく、一人一人が考えることから始まる善なのであろう。そういう善に気づく感受性も大事なのだろう。

(自己実現、今も昔も 10/10)

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ほどよい自分の範囲(ディスタンス?)とは・・・(自己実現、今も昔も 9/10)

2020-12-01 | 第三章「無意識の世界」

11月の後半。所属するNPOの15周年記念展と信州・甲斐の旅(土偶と黒曜石の旅)があり充実した日々であった。さらにオンライン勉強会を控えていたので、あるテーマについてあれやこれや考えを深めることもできたようだ。それは、自分の範囲というようなことで、おぎゃーと生まれてこの世に誕生したのではあるが、独立した存在のようで従属しているようでもあり、道具その他と自分との関係も隔たったいるようだが、いつのまにか自分の一部となってたりもする。そんな、あやふやな存在としての自分とその範囲。

写真は中部土偶札所巡り27番の中道の香炉型土器である。以前、長野県長和町のポスターで見て一度見に行きたいと思っていたのが11日25日に実現したのである。この土器を信仰の対象としたのか、灯火のために使ったのか香炉などで使ったのかはよく分からない。しかし、私たちと同じ人間(脳科学的には同時代)があるモノを作り使ったりするのは、多分、現代の心理学者のエリクソンやロジャースの人格形成理論に則っていると考えても良いのではないかと思う。

幼い頃に自転車の乗り方を親や友達から教わり、乗れるようにやっとなる。やがて、乗り回していると自転車が自分の一部のようになっていく。これはロジャースの命題8を下手くそに平たく説明したものだが、道具とか生活の施設などもそういうものであるし、さらに親とか子、所属する組織の人なども自分の一部のようになっていくところもある。また、逆転し自分が家族や組織の一部になっていたりもする。

そういった曖昧模糊としている自分の範囲は、普段では気づきにくいところではあるが、道具が壊れたり、親しい人が病気になったり死を迎えたりすると大きな痛みとなって気づくものである。コロナ禍も私にとっては、そうした気づきを与えてくれた大切な出来事であったようだ。私の範囲はどこまでだろう。私のいのちとは何だろう。

ところで、最近は7-8世紀の記紀・万葉集が成立したころの文字の功罪ということが気になっている。万葉集の歌も本来は口承の歌謡等の縄文から続いてきた文化の流れをくんでいる。しかし、文字は万能ではなく一部の情報しか残せていない。民謡の抑揚や微妙な音の変化が完全に五線譜に残せないように、当時の人々が歌謡を通し知覚し愛した感覚は、どの程度文字に残されたのだろうか。そうは言っても、今、万葉集巻一巻二を読んでいるのだが、私たちの文化が失っていった、豊富な五感と体感に彩られた言霊文化の存在を感じてしまう。

当時は殯(もがり)の文化もあり、時には数年かけての葬式もあった。挽歌も万葉集では大事にされ沢山載っているが、自分の一部というかその逆もあるかもしれないが、その喪失の感情がビンビン伝わってくる。今も昔も同じだと。恐らく、もっと昔の中道の香炉型土器の時代でも同じような喪失感と葬儀が営まれていたのだろう。また、縄文時代のモノを送る貝塚文化もそうした視点で考えるととても分かる。自分の範囲に関する、今では失われつつある感覚が当時はイキイキとしていたのだろう。

自分の範囲という意味には、人が人を支配することも含まれるだろう。律令国家成立のころの時代は自分の親兄弟をも犠牲にするような世界が繰り広がれていたようだ。先にご紹介した壬申の乱のころの痛みはこの系図を見るとよく分かる。

さまざまな組織では自己愛?が問題になっているようだ。政治の世界にこうした問題が起こらないことを祈るばかりだ。

何となく暗くなる世相であるが、世の中には希望があるように思う。先日のNPOキュールの15周年記念展もそうであった。コロナ禍の困難な状況で15周年記念展が出来たのは何だったのだろう。喧嘩別れをするNPOが多い中、15年もU先生を中心に派手ではないが続けてこられたのは何だったのだろう。心地よい自分の範囲(ディスタンス?)をキープしつつ。ほどよい甘えとプラスα。感謝・感謝である。

以下、旅の思い出と記念展の写真を・・・

       

     

     

 

 

 

(自己実現、今も昔も 9/10)

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