イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

クリスマスの抱負・・・(縄文世界を感じるとき 3/10)

2022-12-26 | 第五章「和解と平和」

のんびりと老後は縄文小説でもと昨年までは思っていたが、今年の大きな変化でその縄文小説も大きく変更しなければと思うようになってしまった。ウクライナーロシアの戦争が意味するものは何かとても気になるようになった。私は戦争を知らない子供たちで、自分の今を考えるうえで太平洋戦争後からしか考えない癖が身についていた。さらにベルリンの壁が崩れてから、戦争は他人ごとにように何か見ていた気がする。

ところが、今回の戦争は1980年代以前に時計をもどしたようだ。ものごころがついて祖父が吸っていたタバコの灰皿としての焼夷弾の蓋。小学校の頃のキューバ危機の何となく嫌な雰囲気。母の戦争嫌いとカトリックの信仰。学生時代の紛争・・・。災害とかコロナとかいろいろあったが、今回の世界的な緊張は平和ボケだった私にとっては、のんびり寝ていたところに冷水をかけられたような何かがあったように思う。

そんなことで、私にも変化の兆しが。その一つは何回も挫折したドストエフスキーに挑戦しようとしていること。日本の近代史なども真面目に勉強しようの変化。20世紀とはどういう時代だったか。

さて、写真は12月16日の田端遺跡から見た日没。蛭ケ岳(丹沢の最高峰で神奈備型の山)に太陽が綺麗に沈むところである。縄文時代は富士山は噴火をよくし、また古富士もあり山頂が二つあったという説もあり、信仰の対象にはならなかったようだ。この田端遺跡は縄文中期の遺跡があるなだらかな斜面を後期半ばに、集団による土木工事で結構広い領域を造成工事をし墓地を造り、さらにそのあとに積石遺構(ストーンサークル)を造ったようだ。それは3500年くらい前のことだが、そのあと700年近く祭場として祭りを続けた。

この縄文後期中葉から晩期にかけての時代。大陸はロシアまでが青銅器文明となり、日本列島も次の弥生時代を受容するための変化があったはずである。今の時代も大きな変化の時だが当時も同じようだったかもしれない。専門書などを読んでいると今に通じる東日本と西日本の文化の差が始まったようであり、社会の構造も良く分からないことがいっぱいだが弥生時代への橋渡しの時期だったように思われる。感情と直感の宗教的世界がある意味システマチックな理性を大事にする世界に変容していく。それはこの縄文後晩期にもあり、現代にもあるのだろう。システマチック化はある種の繫栄をもたらすかもしれないが徹底的な危機をも招く脆弱性を秘めている。

大きな歴史の流れからすると、大規模な気候変動が4300年くらいに数百年世界的にあり、それが落ち着いて大陸の文化も殷がはじまり、ロシアも青銅器文化がはじまるころだ。日本もおそらく焼畑や五穀の栽培なども当然していたと思われるが、まだ狩猟採集の文化の基本は揺らいでいない時期で、弥生時代のような世界がまじかに迫ってきたはずである。感情と直感の宗教的世界にも何か異変が始まっていたかもしれない。

しかし大きな変化の時代であっても、変わらない何かがあると思う。それを小さな自分のうちから見出していきたい。

縄文世界を感じるとき 3/10

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「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

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冬至は希望なのだろう・・・(縄文世界を感じるとき 2/10)

2022-12-22 | 第四章「愛とゆるし」

冬至を祝う。この伝統は世界各地に伝承されているようだ。日本や中国などは正月として、イスラム圏やキリスト教圏も当然祝う。太陽の光が弱まり夜が長く長くなる。朝眼が覚めてしばらくすると3時すぎになると夕焼けが東京でもまぶしく感じたりする。また、紅葉も東京でも進み景色は冬に。

特に今年はコロナも3年目となり、政治も信じられないようなロシアの侵攻。さらに、国内の政治も安倍元首相の死と混乱。秋にかけては皆既月食やサッカーなど明るい話題もあったものの、何かと不安感の強い一年であったようだ。

そんな12月。縄文を感じる日々が増えたようだ。知識面では生き甲斐の心理学で長年おつきあいしてきた白鳳時代の持統天皇の研究家でもあった吉野裕子さんの著書を通じて、縄文時代だけでなく日本の文化を五行陰陽説をとおして再認識できたこと。不思議なご縁から縄文土器を実際に制作するチャンスをいただくなど縄文人の五感体感に触れることができた(妄想か?)こと。そんなことで5-6年書かずの縄文小説作成に火がついたことがあげられる。

世の中は現在決して楽観できない状況である。しかし、古代の東洋であったら五行陰陽説。西洋でも占星術をはじめ希望の明かりをともす知恵があるように、希望はパンドラの箱に引っ付いていたようにしっかり残っているようだ。今日はこれから田端遺跡で冬至の最後の太陽を見に出かける。来年が良き年でありますように。

縄文世界を感じるとき 2/10

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       森裕行

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古道を歩き冬至を想う (縄文世界を感じるとき 1/10)

2022-12-13 | 第五章「和解と平和」

先日、誘われて多摩川水系・大栗川の源流に近い鑓水から古道を通り多摩境の田端遺跡あたりまで歩いた。この道あたりを縄文時代の人、弥生時代の人、戦国時代の人、江戸時代の人も歩いたと思うと何とも不思議な感じであった。今年は縄文を感じる経験をいろいろさせていただいたが(考古学の体験など)、古道をたどること(専門のガイドが必要)も立派な縄文体験の一つだとつくづく思った。次の写真は鑓水から多摩境までの風景。町田街道の古道まで経験した。

          

さて、クリスマスも近づき、13日ごろからお正月の準備も本格化する。今年は12月22日が冬至で田端遺跡にもまた行こうかと考えている。冬至の太陽が丹沢の最高峰である蛭ケ岳(蛇のとぐろのような三角形の山頂)に落ちるのが目撃できる田端遺跡。その日に例えば私が歩いた道(あたりかな)を通って峠を越え田端遺跡に集まった像文時代の人は何を感じたのであろうか。もちろん毎年繰り返される冬至であることは知っていたろうが、太陽が冬(死)の極限になった日に新春の再生が始まるという形而上学的な深い意味を感じていたのだろう。その感性はきっと現代人以上だったのではないだろうか。

最近、吉野裕子さんの五行陰陽説関連の本をよく読んだせいか、鏡餅(横から見ると三角)を見ると形から蛇のとぐろを想像し、五行陰陽説の白と黄色と緑のハーモニーから弥生以降の再生のイメージにどきっとしてしまう。鏡餅の意味を教えてもらったりしたことはなかったので眼から鱗であった。ご興味のある方は吉野裕子さんの「カミナリさまはなぜヘソをねらうのか」をおすすめする。

こうした伝統がある冬至という変曲点は一つの希望につながるのだが、沈みゆく太陽にきっと大きな不安も感じただろう。日本の幽霊はピーと笛が鳴り、太鼓がドドドとなり丑三つ時(午前2時三十分)にでるが、これは7、8世紀の五行陰陽説の導入と深い関係があるようで冬から春への変曲点の恐怖も物語っている。

死というものは意外に自分自身はこの世では経験できないものかもしれない。そして、いくら年をとってもその本質は変わりない。年をとれば大切な人の死に接する頻度は高まるようなので、死は人の死を通しての経験するのだろう。そしてパンドラの箱の底に希望が張り付いていることを知ったときというのだろうか、すべては再生に向かう。狩猟・漁労の時代は死が身近であった縄文時代。死がなかなか見えにくくなった現代人とは違ったなまなましさを感じたのだろう。

今年の冬至=正月=クリスマスはなにか特別に感じる。今年ほど今の時代の脆弱性を感じたことはなかった。そして、私も年齢的に変わらなけれないけない年なのだろう。闇が深いほど希望は耀くようである。

縄文世界を感じるとき 1/10

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縄文時代の専門家集団の人間関係と宗教 (10/10 生き甲斐の心理学と縄文)

2022-12-03 | 第四章「愛とゆるし」

日本の浮世絵・工芸や能などの芸術、かつての製造等の技術、漆の技術は世界に認められる分野だが、こうした専門家集団の原型はひょっとしたら縄文時代まで遡るのではと思う。縄文中期の造形美豊かな土器は有名だが縄文後期・晩期のより蓄積された専門家集団の技と思える土器や土偶なども思わず凄いと言ってしまう時も。

こうした専門家集団はどのように育まれてきたのだろうか。そんなことを最近よく考える。これは今の世の中の様々な現象を見ていて気になるところでもある。良きにせよ悪きにせよかつては終身雇用とかで、人間関係は今より濃密で長期にわたっていたように思う。労働者の流動性はいい部分もないことはないが、専門技術という意味でどうなのだろうか。

師が弟子に教える。姑が嫁に教える。まあいろいろあるが、その関係は決して今はやりのサービス思想では成り立たない。マニュアルなしの伝授の世界。人を信頼する知恵と勇気・・それは基本だと思うが、信じてばかりいると突然の失敗など思わぬことも発生する。そこで、疑う知恵と勇気も必要になる。嫌らしいと若い頃は思ったこともあったが、濃密で長期にわたる専門家集団の世界では両方とも必要なのだろう。信頼と疑惑のハーモニー。

そして、その裏にはどのような思想があったのだろうか。多分それは深い精神世界に繋がる。その起源は縄文時代の宗教かもしれない。縄文時代の文化を調べると蛇に関わることが沢山でてくる。これは中国の文化にもあるが、オリエントやエジプトの文化にも共通するもの。異形の生物であるが定期的に脱皮を繰り返し、猛毒を持つこともあり、何かと人を畏れさせる。それは単なる生物の蛇を越え龍といった想像上の何かに姿を変えていく。縄やひもといった祭儀に関係するものも起源は実に古い。

蛇の外に私が注目するのは暦である。正確な暦はどうしても有史時代になるのだろうが、先史時代でも大切にされたことは確実である。古代の科学である五行陰陽説は日本では6世紀、7世紀ごろに整備されたが、それを受け入れるにも素地が必要であり。その素地を考えると、縄文時代に遡る(ひょっとすると旧石器)。

今年の冬至は12月22日。都内唯一ともいわれる田端遺跡は私の家から簡単に行ける。そこでは冬至の夕日が縄文文化人が好んだ三角の神奈備形(鏡餅型?)の蛭ケ岳山頂に落ちる。3500年くらい前から700年くらい続いた祭儀場の跡とも言われる。小さなストーンサークルのようでもあるが、何故か5000年くらい前の大型の石棒なども含まれたりしその目的への想像力を掻き立てられる。

破綻することなく、愛とゆるしの中で脱皮しつつ繰り返させられる何か神聖な存在。それは、日常の専門家集団のこころの裡とも繋がったのだろう。

今年の皆既月食の時も蛇を妄想したが、美しい紅葉のカエデも、ある学者は蛙手が語源ではないかと言われていたような。蛙も縄文土器に沢山現れるが、それも生物を越えた何かに繋がるのだろう。

10/10 生き甲斐の心理学と縄文

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