U先生と出会い、「生き甲斐の心理学」を学んできたが、卒論にあたる論文テーマに「持統天皇」が与えられた。それから何年か経ったが、持統天皇の課題は私にとって不思議なほど魅力的に観える。
私は、東京生まれの東京育ちであるが、父方が広島県の瀬戸内海沿いの町の出身であるため、幼い頃から第二のふるさとのように夏休みになると行った。さらに、社会人になってからも、関西につごう6年暮らし。飛鳥をはじめ関西も懐かしい土地となった。
一方、持統天皇は7世紀から8世期初頭(645-702)の女帝で、唐と新羅の連合軍と白村江で戦うために、瀬戸内海を通り九州に遠征したり、難波京や大津京もあった時代で海や湖にとても縁がある女帝だったようだ。そして、壬申の乱では大海人の皇子とともに戦う。奈良、吉野や伊勢、そして本拠地の飛鳥。どこも、私の好きな土地である。
そして、7世紀、8世紀も私にとってはもっとも好きな時代だ。高校生のころに、仲間と徹夜して乙巴の乱のころの放送劇?を作った楽しい思い出があるからだ。大学受験の最中で受験と関係もなかったが、好きだった日本史の授業は結局、高校紛争のため途中で終わってしまったこともあり、私の歴史の原形は7-8世紀に定着したようだ。
7-8世紀。私の祖先はどこにいたのだろうか?場所はわからないが必ず存在したので今の私が存在する。一世代ごとに二人の親が存在するので、1300年前くらいでは一世代30年で計算すると、ざっと43世代となる。当時の祖先の数は2の43乗なので、現在の世界人口70億人を遥かに超えてしまうので怪しいが、必ずや日本史に登場する人物の最低一人くらいは関係する祖先がいたのだろうと妄想してしまう。
持統天皇については、歴史家の著書、小説家の著書など実に多い。ただ、戦国時代の信長や秀吉、家康に匹敵する大政治家と思うのだが、残念ながら国民的愛読書はまだ出ていない気がする。
それがなかなか現れない理由は、いろいろあると思うが、ひとつは当時の非常に複雑な国際事情、政治事情、宗教事情、歴史事情を解明するための知識が乏しいのではと思う。恐らく、当時を理解するためには、世界的な視点を持った比較宗教学、比較文化学、心理学、歴史学などの学際的知識が必要なのだと思う。
とはいえ、持統天皇の時代の先人の努力のもとに生まれた小説。まだ、積ん読も沢山ある。以下に私が知っている小説である。まだ、熟読していない小説も沢山ある。皆様も楽しまれたら如何だろうか。数字は小説の舞台になる年代を参考に西暦で表している。
天の川の太陽 654−672 (壬申の乱)
落日の皇子 640-645 (蘇我入鹿)
闇の左大臣 665-717 (物部麻呂)
中大兄皇子 641-671 (天智天皇)
天風の彩王 664-720 (藤原不比等)
時間と空間の旅 ① 3/10