私は、自分でも時々忘れてしまうぐらいであるが、学生時代、管理工学を学んだ。その学問の中に品質管理や統計などの分野がある。そして、その知識は企業に勤めはじめ、企業でのISO9000などの品質活動やマーケティングなどで役にたった。
その中に、80:20の法則という経験則がある。例えば顧客を売上順にリストすると。上位20%の顧客で売上の80%を占めるというような理論である。そして、上位20%へより経営資源を投入すれば、より効果的ということでもある。
マーケティングでも、品質管理でも、この考えは実務をする人にとって常識であった。下位80%に、時間を使う人はよほどの事情があると思われた。
ところが、数年前であろうか、Web2.0の解説書にロングテール理論という聴きなれない名前が載っていた。インターネットの社会となり、投資コストを抑えられるため、日の当てにくい80%(しっぽの)から充分収益が得られる構造になりつつあるということだった。
ロングテール理論!なかなか洒落たネーミングである。
インターネットによる社会の変化。御存知のように、もの凄い変化をもたらしている。直接、生産者とエンドユーザが、従来の流通会社を通さず商売が成立したりすることが可能となり、この10年でも随分大きく社会が変わった(流通業の中抜きなど)。そんな変化の時代に、ロングテール理論が生まれたのかもしれない。
そして、日が当たらなかった分野により光があたり、今までと異なる傾向が生まれて来ているのだろう。それは、素晴らしいことでもある。ちょっとニュアンスが違うが「ナンバーワンよりオンリーワン」という最近の標語も、この雰囲気を味わえて象徴的である。
さて、インターネットとの出会いは、私もIT業界の人間であったので早かった。1980年代に村井純教授(当時は講師)の講演を聴いたりしワクワクした。ところで、このインターネットの発展(基本的概念)に貢献した人に、オーストリア出身の歴史学者。元イエズス会のカトリック司祭、イヴァン・イリイチがいる。
インターネットの仕組みは、世界の様々(多様な)なコンピュータが繋がって、特にインターネットの元締めの会社があるわけでなく、いつの間にかできている(基本的に無料の不思議なシステム)。さらに、災害にも強く、関西の震災でも活躍したと言われる。イリイチはその哲学的な意味を論じたとされている。
残念ながら、その1973年の著書「コンヴィヴィアリティの道具」を読みたいと思いつつ、まだ手に入れていない。今年こそ、読んでみたい。
*尚、イヴァン・イリイチに関しては、「信仰の美学」(阿部仲麻呂著 春風社)を参考。
<平和 2/6>
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