事例紹介コラムです。
張っているアンテナ網で、サポティスタもよく観ていますが、今日観ていたら、おおっと思う記事が載っていました。「村井チェアマン直言 AED背負い仲間の命救った甲府サポーター」というタイトルのスポニチの記事でした。読んでみると、村井チェアマンのコラムですが、なかなか付加価値の高い内容で、思わず吸い込まれる内容でした。以下、抜粋して紹介。
3月27日のナビスコ杯でJ1甲府のホーム大宮戦で、バックスタンドで観戦していた女性サポが突如、心肺停止状態に。一般的なスタジアムであれば、一報を聞いたメインスタンドのスタジアムドクターがバックスタンドの現場に駆けつけて処置を施すことになるため、発見から対応までには若干の時間を要するが、中銀スタは違った。
J1甲府では'06年から地元の救急病院に勤務する医師の提案でAED救護ボランティアがスタジアム各所に配置されており、このスタジアムの命を救う力強いサポーター。現在、1試合に参加するボランティアは5人。彼らはAEDを背負い無線機を持ちスタジアムの各所で待機。今回の事故では巡回しているボランティアが即座にAEDを使用。会場ドクター、警備、クラブ運営が連携し、手配された救急車で搬送。その迅速さのおかげで女性は病院で意識回復し、無事帰宅できたとか。もし、スタンドにAEDボランティアがいなければ、女性サポの容体も別のものであったかもしれないと思うと、このボランティアの価値は多大。
AEDに言及する時、Jリーグでは'11年に起きた元日本代表の松田選手(松本山雅)の不幸が思い出される。あの事故がきっかけでAEDに対しての社会の意識が高まり、人々の命が救われたという話も耳にし、'13年から毎年群馬県で開催されている松田氏のメモリアル試合では収益金の一部で購入したAEDがスポーツ団体などに寄贈され、救命活動をPR。
J1甲府では、AED救護ボランティア導入を提案した医師は「試合には1万人以上の人が集まり、何かあった時のための態勢をつくっておくことは今後のクラブの付加価値につながる」という思いが根底にあったとかく。ボランティアは無報酬で試合運営を毎試合実施しているが、そこには医療従事者としての救急救命に対する熱い思いとホームタウンのクラブへの強い帰属意識の精神が存在。
Jリーグは'14年からスタジアムへのAEDの常設をルール化。スタジアムによっては8台のAEDを完備しているところもあるが、機器以上に大事なものは、そうしたものを確実に使いこなせる態勢づくりであり、最終的には人的資源をいかに持つかに関わってくる。サポーターがクラブを愛し、クラブにどう関与していくかを考えた時、クラブとサポーターの間に成立する協働の精神こそスポーツ界全体に伝えたいJリーグの大きな魅力。
スポニチ該当記事:http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/04/05/kiji/K20160405012343440.html
興味を持ったので、いろいろと調べてみました。 だんだん概要がわかってきました。現在のボランティアスタッフが、救命の資格を取っていったのではなく、医療や消防関係の人材が集まってきたようですね。他の情報です。
【J1甲府公式HPでの紹介文】
〔会場医事体制について〕
ホームゲーム開催時は、医師1名、看護師1名がスタジアム内で待機。J1甲府ではクラブ独自の救護体制として、各スタンドに「救護」と書かれたビブスを着用した「AEDボランティア」が待機。お客様ご自身が体調を整えてご来場していただくことが重要ですが、来場後、具合が悪くなったり、ケガなどをされた場合は、お近くの「AEDボランティア」もしくは場内係員にお声掛けください。
J1甲府公式HP該当ページ:http://www.ventforet.jp/ticket/check.html
J1甲府「ヴァンフォーレ日記」該当記事:http://www.ventforet.jp/vfkdiary/cate01/509109
この救護体制の確立が認められて、2013年にクラブは甲府地区消防本部から「救急関係功労者表彰」を受けたそうです。現在ボランティアは1試合あたり5人登録されるようです。山梨のいろいろ調べてみると、救急振興財団のサイトの中に詳しいページを発見しました。以下、抜粋して紹介。
J1甲府のAED救護ボランティア発足のきっかけは、J1昇格時、会場の医事に従事していた山梨県立中央病院救命センターの松田医師からの提案。松田選手の事故は2011年だったが、J1甲府ではそれ以前の2006年から既にAED救護ボランティアに取組、現在も継続。
AED救護ボランティアの救護対象は、基本的に観客やスタッフ。緊急時には無線で連絡して、ボランティアスタッフが手伝いに来るという臨機応変な対応が取れる。ボランティアスタッフには、山梨大医学部付属病院、山梨県立中央病院の看護師や山梨県内の消防本部の救急救命士が参加。仕事の合間を縫ってボランティア参加。参加資格は、救急法の講習を受講し、救急員または応急手当指導員の有資格者。
傷病者が発生した場合には、各エリアに配置された担架を使用して、応急手当をしながら、医務室へ搬送し、救急隊へと受け渡す事。すべての場所へ約1分以内にボランティアスタッフが駆けつけられる体制。2012年にはボランティアスタッフによって心肺停止状態の観客の蘇生に成功した事例あり。
一財)救急振興財団公式HP該当ページ:http://www.fasd.or.jp/kikanshi/kikanshipdf/no33s.pdf
長々と紹介いたしましたが、いかに甲府さんが優れたプロヴィンチャであるかよくわかりました。岡山県などよりも全然人口が少ないのに、ずっとJ1をキープし、平均観客動員数も1万人以上。その昔はクラブ解散の危機まで行ったというのに、今の栄光が眩しすぎます。当ブログでは、村井チェアマンには「そのうちきっと2ステージ制を壊してくれる」存在と一目を置いていますが、上にある記事でも再認識しました。立場上、なかなか表面には出てこないですが、何となくその辺りを感じます。
「クラブの付加価値につながる」という言葉がありましたね。当ブログで良く出る言葉が、自然と出ていましたね。甲府さんは、モノで人を動かすのではなく、心で動かしておられるんだと思いました。だから観客動員も余り減らないのかなとも。
AEDは大事ですね。OSS委員会でもAED講習会を2年に1回、サッカーシーズン開幕前に実施します。第1回講習会の告知記事は故松田選手を意識した内容でした。不定期で短縮版の1時間程度実施するのとは違って、毎回きっちり約3時間フル講習を行います。実際の現場ではどこまで携われるかというのもありますが、OSS委員会では「胸部圧迫等の交代要員でもいいじゃないか」という気持ちで、みんな取り組んでいます。本当は毎年が理想なのですが。
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