≪子供には言えない夢の話≫
ある日、夢の中で、既に大人になっているラッタさんが立ち上がったら、私の胸の辺りまでになっていました。
「どうしたの。これじゃあ、まるであなたは10歳の子供じゃない。」
それに続く物語もラッタさんのセリフも覚えてはいません。覚えているのは自分のセリフのみ。
「大丈夫よ。私が守ってあげるから。大丈夫よ。私が側にいるからね。」
◇ ◇ ◇ ◇
目が覚めて、私は悲しい気持ちになりました。
私は時を戻して、たぶん10歳の彼に会いたかったのです。そして言葉のとおり彼の側にいて、もっと母として彼を守ってあげたかったのです。その夢は子育てをそこからやり直したいという願望の現われなのだと思います。
過ぎてきた日々には、山のような「悔いる」と言う想いがあります。子育てと言う項目にも山のよう。私がまだその真っ最中なら、今日の後悔を明日に生かせばいいのですが、子供達は大人になってしまい、私の子育ては終了し、「悔い」は懺悔の海に放り込むばかりです。
私はひとしきり泣いて、その涙が乾いた頃、お仕事縮小中のラッタさんが起きてきました。
夢の話の真意は、子供には言えない話。でも私は笑いながら上澄みをすくって言います。
「昨日、君が10歳の少年になってしまった夢を見たよ。コナンみたいね。」
「止めてくださいよ。あんなに毎日のように殺人事件にめぐり合うような生活はゴメンですよ。」
続きはまた気の向いた時間に・・・