「スカーレット」が終わってしまいました。
半年間、毎朝、このドラマを見る事が楽しみでした。
だから、日曜日の朝に目覚めたら
「ああ、今日は『スカーレット』はないのか。」と思ったら、つまらなく感じてしまったりもしたのでした。。
川原貴美子の半生を子供時代から丁寧に描き、いろいろと共感することが多数ありました。
彼女が信楽での女性陶芸家になって行く前も面白くて、思わずモデルになった神山清子さんを検索してしまいました。
すると吃驚するような内容が、そこには書かれていたのです。
モデルと言っても、完全な自伝ドラマではありませんが、大事な部分は同じかと思われます。ドラマ内の喜美子の作品も神山さんの実際の作品が使われたのです。
私が感じた驚くべきことは、彼女の陶芸家の夫が弟子と浮気して家を出ていく。また息子さんの賢一さんが29歳で白血病に侵され31歳で亡くなると言うものでした。そして、この神山清子さんは信楽の女性初の陶芸家であるばかりでなく、息子さんともども骨髄バンクの創設に尽力を尽くした人だったのですね。
まず最初に、あの優しくゆっくりと心を通わせ、所謂キュンキュンと言うのではありませんが、ジワーッと胸に染み入るような良い関係を築いていた、あの八さんと喜美子と言う夫婦が一体どうなってしまうのだろうかとドキドキして見ていました。
だけどあの落としどころ。素晴らしかったですね。
明るくて可愛らしい弟子のみっちゃんを嫌いになんてなれません。どうなるんだろうかと思ったら、みっちゃんの片思いの勝手に失恋と言う流れで、泣きながら信楽を去って行く三津。可愛らしかったし、胸がキューンとなりました。そしてそれとさして変わらない頃に、八と喜美子の陶芸と言う芸術を介しての、ひとたびの破局があったのです。
だから女性の弟子と出て言ったなどと言うろくでもない噂が出たというお話でした。
そして息子さんの白血病の運命も、知っていたのでやはりドキドキして見守っていました。
適合者がいなくて、なかなか骨髄移植が出来ない事も、そして彼の後の運命も。
だけど武志が大好きで、私はふと、これはモデルがいたとしてもそれを基にしたフィクションなのだから、もしかしたら違う結末が用意されるのではないかと思ってしまったのでした。
もう最終回間近・・・・・。
その時直子が言うじゃないですか。鮫島の名前を。
「そうよ、彼が居たじゃないの。鮫島~!!、カンバーック!!!!」と、淡い期待を持ってしまいました。
最終回のその時に、ギリギリに命繋ぐと。
でも・・・・・・・
そんな話ではありませんでした。
いえ、知っていたのです。そんな話ではない事を。
26歳の誕生日を前に武志は旅立ってしまいましたとナレーションが伝えます。
武志と喜美子の最後は、その2年前の
「ぎゅうしてあげようか。」と、照れる武志を無理やり抱きしめて、二人で笑いあって「幸せや」と武志が言うシーンで終わるのです。
子供の頃の武志へのぎゅうと抱きしめているシーンと最後のぎゅう・・・・って思い出すだけで、涙が出ます。
闘病シーンは無しです。だけどその最後の日々に垣間見せたエピソードを大崎医師が語ったり、母への感謝の言葉をさりげなく八さんが語ったりしました。
「スカーレット」のシナリオの素晴しさは、何気なく見せられていた日常のなんでもないエピソードやシーンが繰り返されるところですよね。
初回とラストも穴窯のシーンで始まり終わりました。子供の時代の武志と喜美子との触れ合いのシーンが病気になってからの病名告白のシーンや、ぎゅうのシーンなどに使われたのです。
八さんとの別れのシーンに、縁側に座り蜜柑を食べるシーンなども。
「またたくさん話そうな。」と八は言いました。
ずっとずっと離れていても寄り添う二人が描かれて、そこで涙した人も多かった事でしょう。
私は大崎医師の言った手を握り返してきたと言う言葉にも、胸に迫るものがありました。
あの「みんなの陶芸展」の時に、元気を送る為に手を握るシーンがあったでしょう。
思ったよりも強い力で握り返してきた武志に驚いた大崎でした。
それは「生きてる」を伝えたかったのでしょうか。それとも武志からみんなへのエール返しだったのかしらなどと思えてしまったのでした。
最終週が素晴らしくて、他の事がなかなか書けません。半年やったドラマの感想を1回だけ書くと言うところに無理があるのかも知れませんが、子供時代・大阪でも家政婦時代・絵付をやっていた時代、みんな好きでした。
喜美子のお父さん、飲む人で無茶な所もあったけれど、みんなに愛されていました。それはその父がみんなを本当に愛していたから。お父さんは喜美ちゃんが大好きでって言うシーンがたくさんあって、そして可愛いお父さんでしたよね。
彼はちゃぶ台返しが生きていた昭和初期の男でしたね。どんな父であっても、その父の言う事に逆らわずにずっとたてて守っていた喜美子。そこにも昭和の初期の「家」の名残りがあったと思いました。女が穴窯に入れば穢れると言われていた時代。自分のやりたい事などの意思が通用する事もなく、親の言う事を聞いて生きていくというリアルな昭和が描かれていました。
その時代を生きた喜美子が、自分の意志を貫いて、去って行く愛する人も追いかけずに自分の本当にやりたい事を貫いたのは、ビンビンと響きました。
誰もが成功すると言うわけではありません。
だけどその覚悟と言う扉を開けた者だけに道は開かれるのだと思いました。
そして喜美子は陶芸家としての人生を手に入れたのですね。
なぜだか、胸が痛くなりました。
しかしその後の、つまり陶芸家として成功した後のこのドラマのテーマは、
「いつもと変わらない1日は 特別な1日」
だったのだと思います。
「今日が私の一日なら」
あなたは何と答えるのでしょうか。
私は、
「花をたくさん見て、笑って過ごす。」と言うでしょう。
手帳にメモが書いてありました。
「スカーレット、いいね。
『来たで、武志。』『やっと来たで。』
『父ちゃんかと思った。』」
そして私はちょっとまた泣いてます。
半年、ありがとう。幸せな時間でした。
ドラマの方言は本場😅の方には違和感ありなケースが多いと思いますが
私は母方が関西である事と友人に喜美子と似てどちらかと言えば低めの声質の方がいてまるでその人がそのまま喋っているように感じていました。
リアルタイム録画も含め毎回欠かす事なく、そして同じくネットでモデルの方の事を読んでどうなる事かと思いながら視聴しました。
実は武志と同級生、時代背景というのかセットも気にして観ていました。
>まるでその人がそのまま喋っているように感じていました。
そうだったのですか。そうだと、感情移入度もあがりますよね。
そうなると、やはりモデルさんの事を調べたくなり・・・・・って皆さま、皆同じ事をやっていたって事ですよね。
>実は武志と同級生
すると、私のすぐ下の妹と同級生なんだなと思いました。
>時代背景というのかセットも気にして観ていました。
懐かしく感じるものがたくさんありましたね。
ただ私は、あの時代は女は本当にちょっと大変だったんだよという事も同時に思い出していました。
そんなに豊かではなかった我が家など、上の学校に行く事も、策を練って父と闘わなければならなかった昔を思い出しました。
よく練られた良い作品でしたね♡
そして
コメントを、ありがとうございました。
嬉しかったです。
エンディンググの主人公の火を見る眼がよかったです。
彼らの関西弁は褒められていましたね。
YOUTUBEを見て練習したのだそうですよ。
ラストカット、素敵でしたね。
戸田さんの演技力を見せつけられたような気がし、ますます彼女が好きになりました♡
終わってしまって、寂しいです。