flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

大ブロ石斧採集地

2016-09-07 00:00:00 | いにしえの人びと

(愛知県宝飯郡一宮町一宮字大ブロ 1993年5月20日)
 一宮中部地区区画整理事業が開始され、それまでの道が少なくかつ、細い道の畑が変わりつつあった。築造された町道の傍ら(23-44番地)に集石があり、その中に弥生時代中期とみられる太型蛤刄(はまぐりば)の磨製石斧(柄部欠損、現状長8.8cm,幅5.8cm)があった。道路築造の掘削によって出土したのか、耕作によって出土したのかは不明であるが、この付近にも古代の営みの痕跡が存在した訳である。今回の地点から西150mには、やはり石斧の出土した字大ブロの西部小学校。南250mから磨製石斧が出土した、字宮前のオーエスジー宮前工場。東400mの字西垣内、砥鹿(とが)神社背後(縄文~平安)。字宮前、砥鹿神社前方(縄文~桃山)等の遺跡がある。今回の地点と、西部小学校、オーエスジーの3地点はそれぞれ住居跡が存在したような遺物が出土していない。今後解明されるかもしれないが、現状では後の砥鹿神社付近の河岸段丘端に居住していた人たちが、樹木伐採や開墾等で3地点付近を訪れ、石器が破損したために置き去ったものが現在に至って遺物として残ったものと考えられる。因みに「大ブロ」等、この地方のブロの付く地名は、社叢(神域の森)を意味し、大ブロは砥鹿神社の大きい森を表す。

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