京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 一本の茎の上に… 

2010年07月05日 | 日々の暮らしの中で
                               

雨続きでうっかり見忘れていたホテイアオイ。

熱帯アメリカ原産の多年生水草とある。何とか冬を越せないものかと思っていたが、オーストラリアから帰ってきて見れば、真っ茶茶。枯れた?腐った? 捨てることにした。
春先に、新たな株を買ってきた。早く咲いてね、とポッコリしたお腹を撫でながら肥料をやるでもない、眺めるだけにもかかわらず、ちゃんと応えて喜ばせてくれるとは。

嬉しいホテイアオイの初咲き。思えば思われる。なるほど、布袋さんは弥勒菩薩の化身とか、世の先を見通す力をお持ちだそうだが、人の心もわかっていてくださるということに。

「人間の顔は、一本の茎の上に咲き出た一瞬の花」…と茨木のり子さん。
硬い蕾もあれば初々しさもあり、今真っ盛りから散りかけに、もはやカラカラの実…。ただ、その様相だけではなく出自のはるかさに心を動かされている。
 人間も植物とさして変わりはしない。
 風や鳥に運ばれてきた種子のように、あちこち転々として散らばり、咲き出て、また風に 運ばれて…。 長い歳月のあいだに混じりあい構成されて日本列島で咲いている…。
 
     夕刻:左の花に残る蕾。新たな明日への一つと…

帰化植物となったホテイアオイ。一本の茎の上に六弁花が群がり開く。
この顔立ちに、透けるような肌。梅雨の晴れ間に、清涼な空気が漂う朝。
「お花が咲いた~」 今年はあのJessieの声が聞こえない。
コメント (2)
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