十一月に入った途端の変わり様で、冷たくどんよりとした空が広がった。近畿地方では10月29日に木枯らし第1号が吹いたが、今日あたりはそれに続くものかもしれない。
風で車道に吹き出された枯れ葉が、かさこそ音を立てながら円を描いている。Dead leaves were dancing in the wind. 風と戯れる枯れ葉の歌か。
外出先から戻ってみると、貴重な、たった1本の石蕗の茎が頭を垂れてぺにゃんとしている。風の威力に、多分頭が重いぶん太刀打ちできなかったのだろう。すわっ!とばかりに大急ぎで支柱で体を起してやることにして、自分のしていることがおかしくもあった。ひらりひらりと風の流れの隙をぬうように舞う蝶が、とまり場所を探していた。
藤本義一さんが亡くなられた。朝、洋書絵本の英単語を調べながらテレビを見ていたら、生前の姿が映し出されていた。
「(直木賞)受賞なんて交通事故みたいなもの」
(もう何歳だからなんて言わないで)「冒険に出なくっちゃ」
『「運」と言う字は「運ぶ」って読むでしょ。じっとしていたら運もやってはこないのだから、足を運んで、どんどん外に出ていこう』
若い時からほんまに素敵な義一さんでした。
命を燃やして、朽ちても美しくありたいもの、できれば…。