田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 103 じんじん

2013-10-09 18:32:06 | 映画観賞・感想

 久しぶりに“泣かされた” 映画だった。主演の大地康雄が何といっても良い味を出していた。そして脚本もいい。ベタなストーリーと酷評するレビューもあるが、「絵本の里 剣淵町」をキーワードに良く練られたストーリーだと私は思った…。 

               

 友人のH氏から「チケットが2枚あるので映画『じんじん』を観ませんか」とお誘いがあった。「じんじん」が北海道・剣淵町を題材にしているということで興味があったので一緒させていただくことにした。
 映画は映画館の一般公開ではなく、日経新聞の読者招待のような形で9月28日(土)午後、狸小路にある「プラザ2・5」で公開された。

          
          ※ 回想シーンで一人娘に語り聞かせる銀三郎の様子です。

 ストーリーを映画のHPから借用すると…。
 「立石銀三郎(大地康雄)は伝統芸能を伝える大道芸人。よくなついた一人娘は、銀三郎が毎晩のように語り聞かせるお話が大好きだった。しかし妻と別れてからは会うことを許されず、娘との思い出は彼女が6歳のまま止まっている。
 ある日、銀三郎の幼なじみが営む農場(佐藤B作 剣淵町)に農業研修で4人の女子高生がやって来た。そこに里帰りした銀三郎。出会いは最悪だったが、大自然に抱かれ、土に触れ、剣淵町の人々と触れ合ううちに次第に距離は縮まっていった。
 しかし、ただ一人、日下部彩香だけは心を開かない。いぶかる銀三郎は、ある夜、彩香の秘密を知ることになるのだった…。」
  ※( )内は私が加筆した。 

 紹介したストーリーは前半である。ここからの展開の中で、銀三郎の父親としてのやるせない思いが描かれるのだが、そのやるせなさを大地康雄が熱演しているのだ。あの厳つい顔ながらも、どこか人を惹きつける大地が演ずる父親の姿には涙せずにはいられないほどのせつなさとやるせなさが滲み出ていたのだ。

          
          ※ 映画「じんじん」は何といってもこの大地康雄がいなければ誕生なかった映画です。

          
 この映画は、大地康雄が剣淵町にある絵本の館で大人たちが子どもに読み聞かせをしている姿に感激して映画制作を思い立ったのが始まりということだ。企画にも参加したという大地の思い入れがうかがわれる熱演である。
 そしてストーリーもハッピーエンドに終わらせなかったところにこの映画の奥深さのようなものを感じさせたのだ。

          
          ※ 劇中で銀三郎が創作した「クロコダイルとイルカ」の絵本です。

 映画のタイトルとなった“じんじん”とは、この映画から温かな感動と優しい気持ちが“じんじん”と広がっていくことを願ってのネーミングということである。

 冒頭に触れたように、この映画は残念ながら全国の映画館で一般公開されていないという。いわゆる実行委員会形式で各地を巡っているらしい。このような素晴らしい映画が一人でも多くの映画ファンの目に留まることを願って止まない思いである。