以前からずーっと「一度は見てみたい」と思っていた映画である。この映画は穂別町(当時)のお年寄りたちがスタッフ・キャストを含め全て自分たちで制作した映画として一躍注目を集めた映画である。ようやく念願が叶った。
札幌のコミュニティ放送局としては老舗の一つ「三角山放送局」が開局15周年記念行事の一環として「田んぼ de ミュージカル 4部作一挙上映会」(観覧料1,000円)が10月8日~14日まで行われると知り、10月13日午後に琴似にある「三角山放送局」が入っている「レンガの館ホール」に駆け付けた。
入場の際にいただいたリーフレットに書かれていた文章が面白い!
「2003年、開町90周年の旧穂別町(現在は鵡川町と合併)でトンデモナイ映画が誕生しました。監督も撮影も脚本も役者も全て高齢者のスタッフによる映画作り。しかも、歌って踊るミュージカル!えー!?」
そうなんである。この映画は一般の映画のような期待をもって観る映画ではないのかもしれない。
それまで映画などには縁もゆかりもなかった田舎のお年寄りたちが一念発起して全て手作りで映画を創った、その背景を感じながら観賞すべき映画なのだと思う。
失礼ながら、セリフも踊りもそのレベルは小学生の学芸会並み、いやリズム感の良い子どもの方が踊りなどはずっと上をいっているかもしれない。
第一作「田んぼ de ミュージカル」は、お年寄りの拙いセリフ廻しやちょっとサマにならない踊りで笑いを誘いながらも、内容は戦争に翻弄された男と女の物語というけっこうシリアスな内容なのだ。
専門家から激賞されたという昔の結婚披露宴の様子は、私も子どもの頃に参列したことを思い出す光景だった。
笑いをとりながらも、観る者を考えさせる45分の「田んぼ de ミュージカル」だった。
映画の中で演ずるキャストのぎこちなさは笑いを誘うが、映画そのものは本格的である。映画監督であり、この映画作りの発端となった崔洋一氏が総合指導をしたこともあり、カメラアングルや、編集などは本格的だと感じることができた。
何よりテレを隠しながら演じていることが観る者に伝わってくる微笑ましさ、画面には見えないところで懸命に奮闘するスタッフ、その人たちの平均年齢が70歳を超えるお年寄りたちだというのだから驚いてしまう。
第一作を完成させ、予想外の反響に気を良くしたスタッフやキャストは、ますます元気になり、第二作、第三作、第四作と次々と完成させたのだった。
(続編については明日投稿することにします)